昨年7月に中咽頭がんを公表後、療養中の音楽家坂本龍一(63)が、映画「母と暮せば」(山田洋次監督、12月12日公開)の音楽を担当し、活動を再開することが2日、分かった。坂本は、山田監督の「男はつらいよ」シリーズの大ファンで「年をとるほどに味わい深く感じられ、最近はタイトルバックの江戸川が見えるだけで涙目になります。このような大作が病気からの復帰後第1弾の仕事なのですから、僕は本当に幸せ者」と話している。

 坂本と山田監督をつないだのは吉永小百合(70)だ。同作の企画段階で、山田監督は主役に吉永、音楽に坂本の起用をイメージ。吉永は10年7月にコンサート「平和への絆」を開催した際、坂本との初共演を熱望して実現した。その縁で、昨年4月、東京芸術劇場で行われた坂本のコンサートで山田監督を紹介。監督からの説明を受け、坂本が快諾するに至った。

 その後、坂本の中咽頭がんが発覚したが、製作サイドは回復を待ち続けていた。思いがかなった山田監督は「長年の夢。頭の中で坂本龍一の美しい音楽が鳴り始めています」。吉永も「うれしくてうれしくて舞い上がっています」と喜んでいる。