本盗で先手!! 「SMBC日本シリーズ2016」第1戦。広島が足技で日本ハム先発大谷を揺さぶり、得意の重盗で先制した。2回1死一、三塁で重盗を仕掛け、三塁走者鈴木誠也外野手(22)が本盗に成功。シリーズの本盗成功は69年第4戦の4回に土井(巨人)が記録して以来、47年ぶり。

 シリーズの本盗成功はすべて一塁走者との重盗で、51年第4戦の3回蔭山(南海=一走飯田)62年第6戦の1回吉田勝(東映=一走張本)68年第5戦の3回土井(巨人=一走王)69年第4戦の4回土井(一走王)に次いでシリーズ史上5度目。土井と王のコンビは2年連続で決めている。先取点が本盗は62年第6戦に次いで2度目だが、本盗が決勝点になったのはシリーズ史上初めてだ。ちなみに、69年はセーフの判定に不服の捕手岡村(阪急)が球審に暴行を働き、シリーズ史上初の退場処分を受けている。

 ◆土井の本盗VTR 69年巨人-阪急第4戦の4回裏無死一、三塁。0-3と3点を追う巨人は、一塁走者が王、三塁走者が土井、打者は4番長嶋。巨人はフルカウントから王がスタートし、二塁送球を見た土井は本塁に突入した(長嶋は空振り三振)。コリジョンルールなどない時代。阪急の岡村捕手は「オレはブロックしか能のない男」と自信を持っていたが、土井は左足を岡村の両足間に差し入れた。土井は「1度よけるようなフェイントをかけて、素早く左足でベースタッチ。その足で地面を蹴って、自ら吹っ飛んだ。そうしなければ足は折れてしまう」。セーフの判定を下した岡田球審に暴行した岡村は、日本シリーズ史上初の退場となった。テレビ中継のスロー再生ではアウトに見えていたが、翌日の日刊スポーツなどには土井の足が本塁に達する写真が掲載された。巨人はこの回に一挙6点を挙げて逆転。9-4で勝利した。