酒井とおるさんは今…「もう引退やなと思ってた」兄のくにおさんが慢性虚血性心疾患で急逝

公開日: 更新日:

酒井とおるさん(漫才コンビ「酒井くにお・とおる」/72歳)

「とおるちゃん!」「ここで笑わんと笑うとこないよ」などのギャグで人気だった兄弟漫才コンビ「酒井くにお・とおる」。昨年10月、兄のくにおさんが慢性虚血性心疾患で急逝し、多くのファンを悲しませた。残された弟のとおるさんは今、どうしているのか。

  ◇  ◇  ◇

「アニキが亡くなって5カ月ですね(インタビューは4月)。ええ、だいぶん落ち着きました。亡くなる5年前に腰の手術をした後、肺炎とかで3回救急車で運ばれたんですよ。ほかにも泌尿器科、皮膚科、脳外科とか5つも病院にかかってましたから、いつどうなってもおかしくない、と覚悟はしてました。でも、最後は弟孝行というか。いつも『ごめんな』と言うてたから、面倒かけないようポックリ逝きましたねぇ」

 大阪市内の所属事務所で会ったとおるさん、しみじみとこう言った。

「亡くなる4年ぐらい前に、自宅で倒れ誰にも連絡できず、2日間倒れたままやったことがあったんです。アニキは若い頃に1回結婚したんですけど4年ぐらいで別れて、子どももおらんでひとりやったからね。それで、毎朝9時半に、アニキからこっちへ電話してもらって、安否確認しとったんです。ところが、アタシの長男の東京での結婚式に行った翌々日、電話がなく、こっちから5、6回かけても出えへん。心配になって、電車で40分かけてアニキの家に行ったら、ソファの下の床に、横向きに眠るように倒れていました。呼びかけても反応がなく、『とうとう、このときが来たか』と……。きれいな姿でズボンも、カーディガンも、靴下もキチンと身につけとったから、どこかに出かけてたんやないかと思うんです」

 とおるさん、寂しそうだ。これからの活動はどうするのか。

「くにおの追悼公演では、10分ぐらい漫談をやらせてもらいましたが、52年間、せっかくアニキと作り上げたから、アニキ以外の人とはようしません。だから、亡くなった時点では、『もう引退やな』と思ってたんです」

 え、引退!? もったいないのではないか。

「そう、会社(事務所)からも『1人でやれる仕事をやったらどうですか』と言われて、ボチボチお仕事させていただいています。アタシは15、16年前に胃潰瘍をやった後は、元気。この3月、千鳥の『相席食堂』のロケで神戸に行ったのが、再スタートになりました。劇場で漫談もやって、4月末にはNHKラジオ第1の『上方演芸会』で新作漫談も。いただいた仕事は一生懸命にやらせてもらいます。でも、会社員で言うたら、とっくに定年を過ぎてる年齢。これからは人生のおまけみたいな気持ちで、気楽にいこうと思ってます」

 オフの日は、野球観戦やフォークギターの演奏が楽しみなのだという。

「これでも、高校までは野球部で、30代半ばまでは芸人の野球チームに入ってキャッチャーやってました(笑)。ギターは50~60曲は弾けますよ」

 大阪市内で、2歳年下の夫人と、40歳の長女と3人暮らし

「27歳のとき、楽屋へ出入りしていたカツラ屋の娘と結婚し、1男1女に恵まれました。長女は保育士。38歳の長男は東京で、障害者の作業所の所長をしながら、ライブハウスでギターを弾いとります。小さい頃、長女は脳腫瘍、長男は川崎病や結核を患って、大変な闘病生活でした。だから、2人とも、とにかく元気でいてくれたらハッピーや、と嫁サンといつも言うてます」

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2
    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと

    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと

  3. 3
    ドジャース山本由伸いきなり「投手史上最高の465億円」は“佐々木朗希込み”の値段だったか

    ドジャース山本由伸いきなり「投手史上最高の465億円」は“佐々木朗希込み”の値段だったか

  4. 4
    まともに相撲が取れない貴景勝いまだ現役の裏に「親方株問題」 3場所連続休場で9度目カド番確定

    まともに相撲が取れない貴景勝いまだ現役の裏に「親方株問題」 3場所連続休場で9度目カド番確定

  5. 5
    阪神・岡田監督に「契約延長説」急浮上…勇退説から二転三転も、背景に夫人のサポート

    阪神・岡田監督に「契約延長説」急浮上…勇退説から二転三転も、背景に夫人のサポート

  1. 6
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  2. 7
    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

  3. 8
    一人横綱・照ノ富士が満身創痍でも引退できない複雑事情…両膝と腰に爆弾抱え、糖尿病まで

    一人横綱・照ノ富士が満身創痍でも引退できない複雑事情…両膝と腰に爆弾抱え、糖尿病まで

  4. 9
    「飲みィのやりィのやりまくり…」高市早苗氏がブチまけていた“肉食自伝”の衝撃!

    「飲みィのやりィのやりまくり…」高市早苗氏がブチまけていた“肉食自伝”の衝撃!

  5. 10
    野茂英雄氏と借金トラブル 元1億円投手の佐野慈紀さんは今

    野茂英雄氏と借金トラブル 元1億円投手の佐野慈紀さんは今