芸能

1990年代 なぜ大物女優たちは次々に脱いだのか

 1990年代は大女優から人気アイドルまで、こぞってヘアヌードですべてを見せた時代である。1991年10月13日、当時18歳で人気絶頂のアイドルだった宮沢りえが、写真集『Santa Fe』で脱いだ影響で、若くて売れている時に脱ごうという雰囲気もできた。

 1993年には杉本彩が24歳、1994年には武田久美子が25歳、1995年には高岡早紀が22歳でヘアを露わにし、さらなる飛躍のきっかけとした。女優として伸び悩んでいた川島なお美は32歳の時に出版した『WOMAN』が55万部を売り上げ、その後ドラマ『失楽園』などで地位を築いた。過去に200冊以上の写真集を制作した編集者がいう。

「脱げば女優としてさらに売れるという多くの成功例ができ、口説きやすい状況が整った。また『あの人が脱いでブレイクしたなら……』と、女優同士での競争意識が働き次々と写真集が刊行されていきました」

 1994年には250冊以上ものヘアヌード写真集が出版され、そのなかには同年のミス日本入賞者である大竹一重もいた。実は1992年からの3年間で、同賞受賞者が5名もヘアを露出。この事態に、ミス日本事務局が「今後、無断でヘアヌードを発表した受賞者はミス日本を剥奪する」と発表するほどだった。

 一方で過熱するブームがトラブルも引き起こす。1996年3月、荒木経惟氏撮影の藤田朋子『遠野小説』は、藤田側が「ヘア写真を無断で使用された」と裁判を起こし、出版差し止め仮処分となった。

 記者会見を開いたものの、藤田は質疑応答を設けず、「ご迷惑をおかけしました」などと原稿を棒読みし、わずか1分半で打ち切った。会見場を去ろうとする藤田に報道陣が押し寄せ、「なんで逃げるんだよ!」と怒声が飛び交う大荒れの現場となった。

 翌1997年8月には、菅野美穂が20歳の誕生日に『NUDITY』を発売。初版10万部に対し、発売前に30万部の予約が入る大フィーバーとなった。

 だが、記者会見で「お友達はどういっていますか」と聞かれ、「怒られるかなと思ったら、みんな喜んでくれて……」というと両手で顔を覆い、約5分間も泣きじゃくった。菅野の涙は「出版は本意ではなかったのでは」などの憶測を呼び、その直後にCM契約を打ち切った会社もあった。

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