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2017.03.03

笑顔も涙も、かけがえのない“ひとつめ”の思い出。 “ラブライブ!サンシャイン!! Aqours First LoveLive! ~Step! ZERO to ONE~”レポート

笑顔も涙も、かけがえのない“ひとつめ”の思い出。 “ラブライブ!サンシャイン!! Aqours First LoveLive! ~Step! ZERO to ONE~”レポート

2月25日・2月26日、横浜アリーナにて“ラブライブ!サンシャイン!! Aqours First LoveLive! ~Step! ZERO to ONE~”が開催。これまで“イベント”は開催してきたものの、“ライブ”という形はAqours(伊波杏樹(高海千歌役)、逢田梨香子(桜内梨子役)、諏訪ななか(松浦果南役)、小宮有紗(黒澤ダイヤ役)、斉藤朱夏(渡辺 曜役)、小林愛香(津島善子役)、高槻かなこ(国木田花丸役)、鈴木愛奈(小原鞠莉役)、降幡 愛(黒澤ルビィ役))にとっては初のもの。しかしそれは“1stライブ”らしからぬ高クオリティかつ心に残る、きらめくステージだった。本稿ではその2日目の、彼女たちの最初の一歩の模様をお伝えする。

いよいよはじまった、ゼロをイチに変えるストーリー

客席に背を向けてリフトアップでステージ階段上に登場したAqoursは、TVアニメオープニング主題歌「青空Jumping Heart」のフル初披露からライブをスタート。9人の背負うメインスクリーンにはTVアニメのオープニング映像が、両サイドのサブスクリーンには9人の映像が映し出される『ラブライブ!』らしいステージだ。この日初めて9人を目にした人たちは、のっけからその精度の高さと笑顔の併存とに驚いたことだろう。
そのまま続けた「恋になりたいAQUARIUM」では、アニメーションPVの展開に合わせてオレンジの光が青一色だった客席に交じりゆく。のちに「めっちゃ緊張した!」と語ってはいたものの、この曲では笑顔で見せ場をまっとうし続けるセンター・斉藤の笑顔が止まらない。9人全員のパフォーマンスも実にエネルギッシュで、そのうえ2サビ明けの各メンバーの決めどころなど、ポイントを押さえたパフォーマンスでもあった。

MC明け、「ハミングフレンド」では今度は1年生組が前に出る番。その序章とばかりに、高槻がセンターステージへと向かう花道を移動する間にファンに向かって「まる!」のレス返しを決めれば、センターステージに到着してからはコールに合わせたタイミングで小林・高槻・降幡の1年生組3人が思いっきり跳ねる。そしてそのまま3人きゅっと集まり、仲の良さをありありと伝えてくる。

ここでライブはいったん休憩。横浜アリーナを目指すAqoursが、新横浜ではなく横浜に到着してしまい……?という幕間映像を挟んだら、お色直しした2年生3人が、TVアニメの幕開けを飾った「決めたよHand in Hand」を披露。パフォーマンスに元気さあふれる伊波・斉藤と、同じ振付ながらその中にしとやかさのにじみ出る逢田とのコントラストも絶妙だ。そしてそのまま、作中で3人が初ステージを踏んだ「ダイスキだったらダイジョウブ!」へ。この曲で伊波からは、言いようもないセンター感があふれ出る。決めどころは外さずに魅せ、それでいて他メンバーの土台にもなる――そんな彼女がいるから、8人がのびのびパフォーマンスを展開しても大丈夫なのだと、ひしひしと感じた。また、2コーラス目にセンターステージへと移動した際に、外周をぐるりとまわりながらずーっと高く跳ねる斉藤の元気さは、本当にとてつもない。のちのMCで汗だくな様子についても触れられていたが、これだけ終始アグレッシブに跳ねていれば当然の話で、それを「体力不足」と言うのはいささか謙遜のしすぎのような気もするぐらいだ。

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2年生組によるここ2曲の感想を挟んだら、ピアノのinterludeとともにセンターステージには1年生組が加わり、「夢で夜空を照らしたい」へ。温かみが強いこのナンバーでは、高槻が2サビで見せたすーっと引くような足運びが、滑らかで非常に美しい。また、作中“Aqours”の文字が提灯で彩られたシーンを再現するかのように、観客は会場をオレンジの光に包んだ。

再びの幕間映像を挟み、続いてはユニット曲ゾーンへ。まずはメインステージにCYaRon!(伊波・斉藤・降幡)の3人が登場。「元気全開DAY! DAY! DAY!」を、タイトル通り元気いっぱいに披露する。そのなかでも、サビでの元気さで一枚上を行っていたのは降幡で、そのまま間奏ではルビィらしく「ピギィ!」と叫び、センターステージへと花道を駆け抜けていく。一方続く楽曲は、ガラリと趣を変えたスローなバラード「夜空はなんでも知ってるの?」。しっとりと歌い上げる3人の動きに連動して、足元ではそれぞれのイメージカラーの光が輝き、サビではそれが光の線で結びついてトライアングルを形作るという美しい演出も。

替わってそのセンターステージに現れたのは、AZALEA(諏訪・小宮・高槻)。「トリコリコPLEASE!!」では、少々機械的なダンスをピシッと決めたフォーメーションで観る者を楽しませていく。すると続いては諏訪の「次はときめきを一緒に探しにいってほしい」との言葉から、こちらも2曲目はしっとりとしたEDM「ときめき分類学」へ。サビでの、振り付けに合わせて3人の後ろにメンバーカラーの花が咲き、それが後半では弾けて花びらとなりそれぞれが混ざり合っていくシーンは、他ならぬこの曲の見どころ。また、落ちサビでのその諏訪のソロでの歌声は、何物にも代えがたいしなやかさのあるものだった。

その雰囲気を一変させたのが、「Ready?」のコールとともに登場した、Guilty Kissの3人(逢田・小林・鈴木)。スタンドマイクとともにメインステージにリフトアップで登場し、メタル寄りの「Strawberry Trapper」で激しく魅せていく。やはりここでは小林の表情の入り方は格別で、しかもほかふたりが凛とした表情を貫いていたのに対し、彼女だけそこに笑顔が混じっていたのも本当に“ヨハネ降臨”しているかのようなワンシーンだった。そして投げキッスから幕を開けた「Guilty Night, Guilty Kiss!」は、ミドルテンポのデジタルラブポップらしく、先ほどよりもキュートめに愛を届ける。この曲ではひとりセンターステージへと向かった鈴木のパフォーマンスがとにかく光る。特にDメロでは振付とあいまってとてつもない愛らしさを発揮し、大サビ前に今一度会場全体へと投げキッスを放った瞬間は、会場中の視線を釘付けにしていた。

ユニット曲ゾーンが終わり、Aqoursが9人揃うまでをVTRで振り返ったら、作中での9人揃ってのはじめての楽曲「未熟DREAMER」の披露へ。3年生をクローズアップした3対6で前後列に分かれるDメロのフォーメーションなど、魅せ方でも胸を熱くさせるポイントが多い。また大サビのラストでは、ステージ後方で天井から逆さ吊りの吹き出し花火がアニメ同様にリアルに登場。思い出の光景を、現実へと連れてきてくれた。

不意のアクシデント、結びついた“物語”

曲が終わると、いつの間にか段上にはグランドピアノが。そしてその横に立ち、一礼して座る逢田。彼女のピアノから、「想いよひとつになれ」が始まっていく。作中では梨子がピアノコンクールに出場したため8人でパフォーマンスしたこの曲、ライブで彼女がそのピアノで参加することで、“9人のAqours”での披露が実現する。
しかしここで、生演奏ならではのアクシデントが発生。曲冒頭の逢田のミスタッチで、曲が止まってしまう。少々パニック気味に涙する彼女のもとに、すかさず駆けつけて、彼女を囲むメンバー。さらに、自然発生的に起きた「り・か・こ! り・か・こ!」のコールが、彼女を後押しする。8人の温かな言葉や視線と超満員の声援に支えられた逢田は、再びピアノに向き合い、改めて曲はスタート。持ち直した逢田は今度は堂々たる演奏を見せ、イントロ明けの彼女のグリッサンドが、今度は逆に8人のパフォーマンスに勢いを与える。

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それは図らずも起こったことであり、きっと起きなかったほうが幸せではあった出来事なのだろう。しかしこの一連の光景が、まるで一度ピアノを弾けなくなった梨子が、千歌やメンバーと出会って再び笑顔でピアノと向き合えるようになるまでのストーリーと結びつくようで、妙な感動さえ覚えてしまった。それは観客も同様だったようで、その証拠に客席のペンライトは、誰も何も言わなくてもピンク一色のまま。その光に、歌い踊る8人に支えられながら、最後の一音までしっかり奏できった逢田。曲明けには改めて感謝と喜びを語ってくれた。
そしてミドルナンバー「待ってて愛のうた」を、全員でダンスをシンクさせつつ、穏やかに披露。この曲では、ここまでとは違って切なげな表情を織り交ぜて恋心を表現する斉藤の表情にドキリ。ここまでのパフォーマンスとのギャップで、より映えて見えた。

曲が終わると、今度は9人揃ってから第13話までのダイジェスト映像が流れ、そこから本編中の“ラブライブ! 地方予選”のステージの再現が始まる。伊波のステップにカスタネット音を同期させるなど、“観るは易し、行うは難し”な再現を見事に披露。超満員の観客も“10!”の声でそこに参加する。その声に背中を押された9人は、「MIRAI TICKET」を披露。TVアニメでの集大成的な楽曲のフォーメーションをビシっと揃えて全力で届けると、9人は全速力でメインステージへと駆け戻り、千歌の第13話ラストのセリフをタイトルに持つ、Aqours自身のはじまりの曲「君のこころは輝いてるかい?」で本編ラストを飾る。ラスサビでは映像通りステージにシャボン玉が舞う演出も登場。サビのラストの、L字型にした指を天へと掲げる振付とともに、彼女たちはゼロだったAqoursをイチへと進め出すステージを務め上げた。

一歩を踏み出せた彼女たちの、この先の可能性は無限大!

9人がステージを降りるやいなや挙がったアンコールに応えたAqoursは「Pops heartで踊るんだもん!」でそのステージを再開。トロッコに乗りながらの落ちサビ中に、しれっと投げキッスを客席にプレゼントする降幡と、ライブビューイングのカメラに向けて目立たなくともそっと投げキッスする小宮とが、どうしようもなく黒澤姉妹な一面を見せる。そしてトロッコに乗った9人は、ステージ向こう正面で一列になり、「ユメ語るよりユメ歌おう」をED映像通りポンポンを手にして笑顔で歌う。メインスクリーンに歌詞が表示されたこともあり、ラスサビでは大合唱に。

と、曲明けに突然チャイムがステージに鳴り響き、“Aqours Next Step! Project”と題した今後の展開を発表。このプロジェクト自体のテーマCD制作やユニットCD・デュオトリオコレクションCDの発売、さらには今夏の2ndライブを、東名阪ツアーとして開催することが明かされた。そして最後に発表されたのは、待望のTVアニメ2期制作決定! 2017年秋の放送予定とのアナウンスに場内は大歓声と拍手に包まれ、ステージ上のメンバーもみな笑顔でその発表を見届けていた。

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歓喜に満ちた会場。終わり近づく1stライブの最後に、メンバーからそれぞれコメントが。涙混じりで言葉を届けた小林や、「想いよひとつになれ」のピアノに絡めてNext Stepでの成長を誓う逢田、“担当メンバーとして”ステージに立てた喜びを語る高槻・降幡など、様々な言葉が紡がれていく。そしてラストを飾った伊波は、イヤモニを外してその歓声を感じながら「もっともっとたくさんの人に、作品とAqoursと私たちが始まった場所を知ってほしいから、想いを込めて会いに行きます。そんなとき、笑顔で待っててくれますか?」と問いかけ、即座に返る大歓声という答えを受け取っていた。

そして最後はみんな笑顔で、会場中に灯る9色の光と一緒に「Step! ZERO to ONE」で、最後の最後まで楽しみ尽くす。しかしだからといって、そこに妥協は一切ない。2サビ明けのウェーブのように連動するダンスなど美しく見せ、全部を出し切っていった。
そして伊波が、改めて「これからも、9人手を取り合って、大切に歩んでいきます!」と宣言。ゼロからイチへと足を踏み出せたAqoursは、同時に次のステップに向けて歩を進め始めていった。

ユニット曲を交えつつも、基本的にはTVアニメ1期のストーリーをなぞる形でライブを進めていったAqours。TVアニメ放送前に開催される次のライブはどんな内容になるのか、この夏が楽しみだ。だって、足を踏み出し始めた今の彼女たちは、どの方向へも行けるのだから。その先に見える“Aqours色の輝き”は、予測不可能な分、期待も無限大だ。

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Text by 須永兼次

“ラブライブ!サンシャイン!! Aqours First LoveLive! ~Step! ZERO to ONE~”
2017.02.26@横浜アリーナ
【SET LIST】
M1.青空Jumping Heart/Aqours
M2.恋になりたいAQUARIUM/Aqours
– MC1 –
M3.ハミングフレンド/Aqours
– 幕間映像1 –
M4.決めたよHand in Hand/高海千歌(CV.伊波杏樹)、桜内梨子(CV.逢田梨香子)、渡辺 曜(CV.斉藤朱夏)
M5.ダイスキだったらダイジョウブ!/高海千歌(CV.伊波杏樹)、桜内梨子(CV.逢田梨香子)、渡辺 曜(CV.斉藤朱夏)
– MC2 –
M6.夢で夜空を照らしたい/高海千歌(CV.伊波杏樹)、桜内梨子(CV.逢田梨香子)、渡辺 曜(CV.斉藤朱夏)、津島善子(CV.小林愛香)、国木田花丸(CV.高槻かなこ)、黒澤ルビィ(CV.降幡 愛)
– 幕間映像2 –
M7.元気全開DAY! DAY! DAY!/CYaRon!(高海千歌(CV.伊波杏樹)、渡辺 曜(CV.斉藤朱夏)、黒澤ルビィ(CV.降幡 愛))
– CYaRon! MC –
M8.夜空はなんでも知ってるの?/CYaRon!(高海千歌(CV.伊波杏樹)、渡辺 曜(CV.斉藤朱夏)、黒澤ルビィ(CV.降幡 愛))
M9.トリコリコPLEASE!!/AZALEA(松浦果南(CV.諏訪ななか)、黒澤ダイヤ(CV.小宮有紗)、国木田花丸(CV.高槻かなこ))
– AZALEA MC –
M10.ときめき分類学/AZALEA(松浦果南(CV.諏訪ななか)、黒澤ダイヤ(CV.小宮有紗)、国木田花丸(CV.高槻かなこ))
M11.Strawberry Trapper/Guilty Kiss(桜内梨子(CV.逢田梨香子)、津島善子(CV.小林愛香)、小原鞠莉(CV.鈴木愛奈))
– Guilty Kiss MC –
M12.Guilty Night, Guilty Kiss!/Guilty Kiss(桜内梨子(CV.逢田梨香子)、津島善子(CV.小林愛香)、小原鞠莉(CV.鈴木愛奈))
– 幕間映像3 –
M13.未熟DREAMER/Aqours
M14.想いよひとつになれ/Aqours
– MC3 –
M15.待ってて愛のうた/Aqours
– 幕間映像4 –
M16.MIRAI TICKET/Aqours
– MC4 –
M17.君のこころは輝いてるかい?/Aqours
– アンコールアニメ –
EN1.Pops heartで踊るんだもん!/Aqours
EN2.ユメ語るよりユメ歌おう/Aqours
– MC5 –
EN3.Step! ZERO to ONE/Aqours


●作品情報
『ラブライブ!サンシャイン!!』TVアニメ2期
2017年秋放送予定
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●ライブ情報
ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 2nd LoveLive! HAPPY PARTY TRAIN TOUR
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8月5日(土)・6日(日) 名古屋・日本ガイシホール
8月19日(土)・20日(日) 神戸・ワールド記念ホール
9月29日(金)・30日(土) 埼玉・メットライフドーム(旧:西武プリンスドーム)

TVアニメBlu-ray第5巻~第7巻<特装限定版>にチケット最速先行抽選申込券を封入!
TVアニメBlu-ray情報はこちら

発売・販売元:バンダイビジュアル

●リリース情報
Aqours Next Step! Project テーマソング
CD制作決定!
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ユニットCDシリーズ第2弾&デュオトリオコレクション
CYaRon!:5月10日発売
AZALEA:5月31日発売
Guilty Kiss:6月21日発売

Aqours Next Step! Project特設サイトはこちら

発売元:ランティス 販売元:バンダイビジュアル

(C) 2016 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

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