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社長就任時の思い ― 経営理念 ―

210524

創業から7年目の1966年5月23日、稲盛は京都セラミック株式会社 代表取締役社長に就任しました。
「社長としての仕事は企業の基本理念を打ち出し、これを社内に広く浸透させる事」と自分の手帳に記し、それまで経営を通じて実践してきた「信念」を全従業員で共有する必要があると改めて決意を固めます。

基本的な考え方を「信頼と感謝の心を基本とした大家族主義、人を大切に 親子、兄弟の如き関係にて、社業の発展につくし、もって社員一同の生活の向上と幸福を達成せんとするにあり。利益配分の原則、社員株主制、労使協調、下請精神に徹する事」とし、これをメモに残しています。稲盛は、創業3年目に若手社員たちとの団体交渉でこれからの昇給やボーナスの保証を迫られた経験から「会社経営の最もベーシックな目的は、将来にわたって従業員やその家族の生活を守り、みんなの幸せを目指していくことでなければならない」(『ガキの自叙伝』)と考えるようになったのでした。

そして社長就任から9カ月後の1967年2月の取締役会にて、改めて正式に「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」と謳った経営理念を全会一致で可決しました。そこには、「会社経営の目的は従業員の幸福を追求することにある」という稲盛の揺るぎない信念が込められており、全従業員が共感できる経営理念として今に受け継がれています。

写真:1966年 社長就任時の稲盛