ストリートの靴音 ~原宿ホコ天バンドをいま振り返る

ストリートの靴音 ~原宿ホコ天バンドをいま振り返る
齋藤奈緒子
齋藤奈緒子
いまや、世界に「Kawaii」ファッションの発信地として知られている原宿。そんな原宿は、かつて「ホコ天(歩行者天国)」の街でありました。1977年から約20年間。代々木公園の交番前から青山通りまでの約2.2キロが、休日・祭日は車両通行止めになり、そこから若者中心のムーブメントが次々生まれたのです。カラフルでダボッとした衣装で、みんなで踊る「竹の子族」、50’sファッションでロカビリーを踊る「ローラー族」、そして80年代後半からは、この「ホコ天」で路上ライヴをしていたロックバンドが続々とブレイク、バンドブームの原動力のひとつとなりました。人気バンドの周りは通行が困難なほどの人だかりだったとか。今回は、その代表的なホコ天バンドをご紹介しつつ、ストリートと音楽の蜜月関係を振り返ってみましょう。
ホコ天バンドの代表格
(YouTube: junskywalkers jsw) 出典元:(YouTube:START) といえば、やっぱりJUN SKY WALKER(S)。わかりやすい言葉とキャッチーなメロディ、タテノリのビートを武器にホコ天で熱狂的な人気を集め、88年にメジャーデビュー。「歩いていこう」「白いクリスマス」「START」などがヒット、ザ・ブルーハーツ、ユニコーン、次の項で触れるTHE BOOMと並んでバンド4天王と称され、武道館4daysをソールドアウトさせるほどの絶大な人気を誇った。97年に解散するも、2007年復活、現在も新作をリリースするなど精力的に活動中。宮田和也(Vo)と森純太(G)のやんちゃぶりと、寺岡呼人(B)のクールさのギャップがいつもカッコよかったものでした。
ホコ天発、島唄行き
(YouTube: よしもとアール・アンド・シー) 出典元(YouTube: 多部未華子出演のTHE BOOM「星のラブレター」MV(Short.ver)) もうひとつ、ホコ天出身バンドといえばTHE BOOM。2014年に惜しまれながら解散しましたが、世界中で愛される「島唄」をはじめ、「風になりたい」など雄大な南国テイストの楽曲で知られる彼ら。しかし、ホコ天時代はスカバンドで、歌詞も相当シュールで尖ってました。そのホコ天時代のスカテイストとワールドミュージックの融合、そして後の「島唄」につながる抒情性が花開いた「中央線」が収録された、名盤の3rd『JAPANESKA』がKKBOXで配信されてます。必聴!
当時、現役高校生
 89年に高校3年生でバンドを結成、ホコ天に登場するや、キュートなルックスと軽快なビート・ロックであっという間に大人気に。当時の映像を見たことがありますが、広い歩道の向こうまで埋め尽くす人・人・人! 警察まで出動するほどでした。メンバーの急死を乗り越えメジャー・デビューしたものの、わずか3年で解散。代表曲「ぞうきん」「ピーターパン」などが一気にチェックできるベスト盤『TIME AND TIDE』が配信中。
ホコ天バンドブーム回顧録
 彼らの人気にはアイドル的な側面もあったかもしれませんが、パンク・ミュージックの空気を広く普及させたのもまた彼らでした。当時田舎の中学生だった筆者も、彼らのファッション(膝がやぶけたスリムジーンズにロンTをイン)、ジャケットやロゴにも大いに刺激を受けたものです。また彼らは、ストリートは表現の場であり、そこにはチャンスがある―ーと教えてくれたように思います。原宿のホコ天は98年に廃止され、表現の場としても、現在はSNSやYoutubeなどに役割を譲った感はありますが、だからこそホコ天バンドの輝きが、今よけいにまぶしく見えるのかもしれません。
齋藤奈緒子
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