地すべり
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北海道東部, 知床半島におけるランドスライド地形の特徴と最近の斜面災害
伊藤 陽司
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1996 年 33 巻 3 号 p. 32-41_1

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抄録

空中写真から, 645箇所のランドスライド地形を判読し, それらの分布, 形態, 規模や滑動方向の特徴, 地形, 地質との関係, 最近発生した斜面災害との関係を解析した。 “グリーンタフ” や凝灰岩薄層をはさむ頁岩を主とする新第三系分布地域には小規模なものが集中し, それらの多くは岩屑スランプの形態を示す流れ盤型地すべりである。地すべり多発地質である新第三系を覆ってキャップロック構造を形成する第四紀陸上溶岩類の周縁部には大規模なものが数多く存在し, それらは岩盤スランプ, 岩盤崩壊や岩屑なだれの形態を示す。第四紀成層火山体の山頂, 山腹にはその山容を大きく変える地すべり, 崩壊, 岩屑なだれやさまざまな規模の溶岩ドームの崩壊がある。ランドスライド地形の斜面では集中豪雨や地震に起因して古い滑動地塊の再滑動や滑落崖での新たな崩壊が発生しており, 防災上, 少なくとも住宅・道路に近接するランドスライド地形の斜面には注意が必要である。

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© 社団法人日本地すべり学会
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