陸上自衛隊装備図鑑

74式 アナログ式で弾道計算

 74式戦車は、レーザー測遠機で目標との距離を割り出し、砲弾の性能や気象条件などの諸元を計算機に入力して弾道を計算、主砲も油圧式ではなく電動で制御する射撃統制装置(FCS)を備えていた。その結果、従来は砲手の勘と経験に頼っていた砲撃の精度が劇的に向上することになった。74式のFCSに盛り込まれた技術は、制式化当時の世界最高レベルだったが、現在の技術水準に比べればレーザー測遠機の誤差は大きく、弾道計算機もアナログ式だった。砲安定装置の効果も限定的で、走行中に正確な照準をすることは難しく、停止直後の砲撃がしやすくなる程度で、やはり砲手の勘と経験が命中精度を左右することは変わりなかった。ただ、デジタル照準や目標自動追尾装置といった現在のハイテクがすべてを決めるかといえばそうでもない。あくまで射撃訓練での話だが、技量の高い砲手が搭乗した74式が、FCSの能力では格段に優れているはずの90式より好成績を上げることもあるという。また、長年運用してきただけに、現場部隊では74式に対する信頼感はいまだに強い。

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