陸上自衛隊装備図鑑

74式 「低姿勢」を徹底追求

 軍用車両は車高が低ければ、それだけ敵に発見されにくくなり、生存性が高まる。ただ、戦車は車体の上に砲塔を乗せなければならない上、車高を切り詰めると、主砲の尾栓が車内の天井や床につかえ、照準に制約が出てしまう。74式戦車は、車体と砲塔の高さをぎりぎまで抑え、さらに油圧式懸架装置を導入したことで、最も低い姿勢での車高は2.03メートルしかない。当時の主力戦車でここまで低姿勢にこだわった例はなく、74式と比較した場合、米国のM60は約1.2メートル、ソ連のT-54/55でも約30センチ車高が高かった。油圧式懸架装置は、スウェーデンのStrv103型戦車(Sタンク)が世界で初めて採用したが、74式はSタンクを真似たわけではなく、日本独自の発想と技術によって開発した。74式の油圧式懸架装置は10個の転輪をそれぞれ別に動かすことができ、車体の前後の高さを変えて主砲の上下動を補完するのはもちろん、横斜面でも左右の高さを調節することで車体を水平に保ち、主砲の命中精度を高めることができる。

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