英EU首脳会談、年内の移行期間終了を確認、交渉は9月まで継続

(英国、EU)

ロンドン発

2020年06月16日

英国のボリス・ジョンソン首相は6月15日、欧州理事会(EU首脳会議)のシャルル・ミシェル常任議長、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長、欧州議会のダビド=マリア・サッソーリ議長とビデオ通話で会談。新型コロナウイルス感染拡大による中断をはさみ、3月初旬から計4回にわたって行われてきた英EU間の将来関係に関する交渉(2020年6月8日記事参照)を振り返り、今後の進め方を協議した。

英EU双方は会談後の共同声明の冒頭で、英国がEU離脱(ブレグジット)後の移行期間を延長しないと決定したことを確認。離脱協定に基づき、移行期間は2020年12月31日に終了すると続けた。その上で、双方は将来関係の協議について過去4回の交渉ラウンドを踏まえ、新たな契機が必要との認識で一致。両交渉団が7月に集中協議を行い、交渉妥結につながる着地点を見いだす意思を示している。

首脳会談に先立つ12日、英EU双方は当面の交渉日程を公表。5回目以降の交渉ラウンドや分科会ごとの交渉は7月から9月にかけて行うこととし、保健当局による新型コロナウイルス感染防止に関する条件に従った上で、対面での交渉もブリュッセルとロンドンで交互に再開する。複数の交渉を同時に進展させるため、必要に応じて機密性の高い協議や特に合意が困難な事象に絞った協議なども行う。6月末から7月までの1カ月間は毎週協議を重ねる予定だ(添付資料表参照)。

ジョンソン首相はこれまで、将来関係に関する大筋合意を目指した6月までに妥結のめどが立たない場合は、EUとの協議を打ち切る可能性も示唆していた(2020年2月28日記事参照)。交渉決裂は回避されたが、双方の溝は埋まらない状況が続く。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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