バンダイナムコエンターテインメントより、2021年10月14日に発売された『アイドルマスター スターリットシーズン』(以下、『スタマス』)。『アイドルマスター』(以下、『アイマス』)シリーズの家庭用ゲームとしては、じつに4年ぶりの新作となる。

 プレイステーション4で発売された前2作と比べて、グラフィックやゲームシステムが大幅に進化しているほか、プレイヤーは765プロのプロデューサーとして、事務所の垣根を越えた大型ユニット“プロジェクトルミナス”のプロデュースが楽しめる。

 プロジェクトルミナスには、765プロの13人のアイドルを筆頭に、『シンデレラガールズ』、『ミリオンライブ!』、『シャイニーカラーズ』からそれぞれ5人ずつアイドルが参加。ここに新アイドルの奥空心白が加わり、29名からなるスペシャルユニットが誕生した。

 本作の発売を記念して、心白を演じた田中あいみさんのインタビューを実施。『アイマス』作品に出演できた喜びや、心白を演じるうえで意識した点などを伺った。

※本記事は週刊ファミ通2021年10月28日号に掲載したインタビューに加筆、修正を行ったものです。
※本インタビューは9月下旬に実施しました。

田中 あいみ(たなか あいみ)

4月28日生まれ、東京都出身。81プロデュース所属。第10回声優アワードで新人女優賞を獲得。代表作は『干物妹!うまるちゃん』(土間うまる役)、『上野さんは不器用』(田中役)、『トロピカル~ジュ!プリキュア』(くるるん役)など。(文中は田中)

『スタマス』田中あいみさん(奥空心白役)インタビュー。「演じているうちに、心白ちゃんはものすごく鈍感な子なんだなということに気付きました」
『スタマス』田中あいみさん(奥空心白役)インタビュー。「演じているうちに、心白ちゃんはものすごく鈍感な子なんだなということに気付きました」

オーディションに挑み続けて10数回。『アイマス』作品で念願のデビュー!

――新アイドルとして登場する、奥空心白役に決まったときの感想を教えてください。

田中最初にものすごく驚いて、その後うれしさを実感しました。以前、『スタマス』の生配信に出演させていただいたときに、『アイマス』関連の作品のオーディションを10数回受けたことがあるとお話したのですが、これだけ縁がないと、さすがにもう関われないんじゃないかと思っていたので。

――生配信では、心白はオーディションで決まったのではなく、指名だったというエピソードも披露されていましたよね。

田中指名だったから驚きが増したのもありましたね。「心白役に決まりました!」と連絡を受けたものの、「え! 私、オーディションを受けてないですよ」って(笑)。

――(笑)。

田中自分の中で整理ができてからは、うれしさが強くなったのですが、公表されるまでは誰にも連絡ができなくて。いただいた資料を見ながら、この子が心白ちゃんか~とひとりで舞い上がっていました。

――10数回オーディションを受けたということで喜びもひとしおだったと思いますが、そもそも『アイマス』を知ったきっかけは何だったんですか?

田中以前から名前は存じていましたが、同じ事務所の先輩である赤崎千夏さん(日野茜役)(※赤崎さんの崎はたつさき)や原紗友里さん(本田未央役)が『シンデレラガールズ』に出演することになって、強く意識するようになりました。その後、わりとすぐのタイミングで『アイマス』のオーディションを受けさせていただく機会があったのですが、10数回受からなくて。回数が増えるにつれてハマっていくと言いますか、『アイマス』という作品に自分がどんどんのめりこんでいきました。

――とくにお気に入りのシリーズはありますか?

田中やっぱり『シンデレラガールズ』ですね。知っている方が多く参加していますし、『シンデレラガールズ』のオーディションは何度も受けていたので、「シンデレラになりたい!」と思っていた期間が長くて(苦笑)。『シンデレラガールズ』には個性的なアイドルも多かったので、いつか自分の個性にピッタリ合った子があらわれるんじゃないかと、期待しながらオーディションを受けていました。

――そんな過去がありつつ、本作で心白役に抜擢されましたが、心白役が田中さんであると発表された後、周囲やファンの方たちの反応は?

田中私が『アイマス』に出たいことは事務所でも知っている人が多くて、『スタマス』に出演する同じ事務所の高橋李依ちゃん(詩花役)や南早紀ちゃん(白石紬役)たちは、「本当におめでとうございます!」と心から祝福してくれました。プロデューサー(『アイマス』シリーズのファンのこと)の方たちの反応も温かったですね。発表されるまでは、受け入れてもらえるのかなと不安もあったのですが、プロデューサーの皆さんが受け入れてくれたので、ものすごく安心しました。

――生配信でも温かいコメントが多かったですよね。心白の第一印象はいかがでしたか?

田中心白ちゃんはすごくいい子なんだなと感じた一方で、少し八方美人に見えるといいますか……。とっつきやすそうに見えて、じつはとっつきにくい、下手をすると嫌われやすい子になるんじゃないかという心配がありました。というのも、最初、心白ちゃんはいい子過ぎるうえに人当たりがよ過ぎてしまうので、本当は何を考えているのかよくわからないんですね。

――少しだけプレイしましたが、確かに本心がわかりにくい子だなと思いました。

田中でも演じているうちに、心白ちゃんはものすごく鈍感な子なんだなということに気付きました。周囲の人をよく見ているし、空気も読めるのですが、自分のことになると、とたんに何もわからなくなってしまう。心白ちゃんがどうしたいのか、時間をかけて自分でもわかっていくようなストーリーになっているので、グラデーションのように滑らかに変化していくことを意識して演じました。

――スタッフさんの演技指導でとくに印象に残っていることはありますか?

田中「(ストーリーが進むにつれて)心白は赤ちゃんになっていきます」というディレクションは、よく覚えています。ルミナスのメンバーとのやり取りやアイドル活動を通して、心白ちゃんはやりたいことや好きなことを見つけていくのですが、だんだん自分の意見を伝えるようになって、ときには周囲とぶつかったり、我を通そうとしたりするようになるんです。スタッフの方たちは、この心白ちゃんの変化を「赤ちゃんになる」と表現されていて、周囲に気を使わずに感情を素直に出してほしい、やりたいことに挑んでほしいということなのですが、それが印象的でした。

――確かに耳に残る言葉です。心白を演じていく中で、自分と似ているなと感じたところはありましたか?

田中周囲の話しを聞き過ぎてしまうところは似ているなと思います。私も周囲の空気を読んで、10個のうち2個ぐらいしか言えない性格なので、心白の気持ちがよくわかるシーンがありました。親しくなると会話が弾むところもそっくりですね。心白はほかのアイドルと1対1で会話するシーンがけっこうあるのですが、自分が興味のある話題のときはけっこうおしゃべりなんですよ。一度心を開いたり、ここまでやってもいいのがわかったりすると、相手のノリに乗っかることもあって。周囲のテンションにちゃんとついていきたい子なんだなと思います。

『スタマス』田中あいみさん(奥空心白役)インタビュー。「演じているうちに、心白ちゃんはものすごく鈍感な子なんだなということに気付きました」
『スタマス』田中あいみさん(奥空心白役)インタビュー。「演じているうちに、心白ちゃんはものすごく鈍感な子なんだなということに気付きました」

961プロの新アイドル・亜夜と心白の気になる関係は?

――もうひとりの新アイドル、亜夜の印象も教えてください。

田中亜夜ちゃんは心白ちゃんとは正反対のアイドルです。意志がはっきりとしていて、自分が思っていることを相手にしっかりとぶつけられる子だなと思いました。感情がはっきりしていてわかりやすいので、亜夜ちゃん目線で演技することも多かったですね。たとえば、このシーンで心白ちゃんがこういう反応をすると、亜夜ちゃんはものすごく腹が立つんじゃないかとか。心白ちゃんは亜夜ちゃんを怒らせるつもりはないのですが、気を使っていても、ちょっとした食い違いで相手をイライラさせてしまうことってありますよね。ふたりのやり取りからも細かいニュアンスを伝えたくて、亜夜ちゃん目線で台本を読んで、心白ちゃんの演技を考えています。

――『スタマス』をプレイする際は、ふたりのやり取りに注目ですね。ちなみに、亜夜のほかにやり取りが印象に残っているのは?

田中双葉杏ちゃんです。ゲームが好きな子なので、ゲームを遊んでいるシーンが多いのですが、心白ちゃんと対戦するイベントもあって。ゲームのうまい杏ちゃんと、心白ちゃんが互角に戦っていたのが驚きでしたし、杏ちゃんみたいなキャラクターとも相性がいいんだなと感じたのが印象に残っています。

――確かに、心白はゲームがうまくて驚きました。ちなみに田中さんが個人的に好きなアイドルも教えてください。

田中(諸星)きらりちゃんですね。ほかのアイドルの音声を聴きながら収録を進めたのですが、彼女にものすごくハマってしまいました。想像していた以上にかわいくて、セリフを聴いていて楽しかったです。あとは、田所あずささんが演じている(最上)静香ちゃん。声が心地よかったんですよ。まっすぐで、透き通っていて、すっと入ってきます。私は単純に、田所さんの声が好きだなと思いました(笑)。それに、静香ちゃんはしっかり者なので、心白よりも歳上だと勘違いをしていて。歳下だと気づいたときにビックリしたのも印象に残っています。

『スタマス』田中あいみさん(奥空心白役)インタビュー。「演じているうちに、心白ちゃんはものすごく鈍感な子なんだなということに気付きました」
『スタマス』田中あいみさん(奥空心白役)インタビュー。「演じているうちに、心白ちゃんはものすごく鈍感な子なんだなということに気付きました」

――本作のストーリーでは、アイドルがキーワードになっていると感じました。田中さんにとって、アイドルとはどのような存在ですか?

田中体育会系の部活のイメージが強いですね。アイドルにもいろいろな試練があると思っていて、試練を乗り越えていく姿が、試合に負けたら特訓して、つぎこそは勝つぞっていう体育会系の部活のノリに近いなって。アイドルたちが夢に向かってガッツでがんばっているところも、大会系の部活に通じるものがあると思います。

――プロジェクトルミナスは、実際に激しい運動もしているので、確かに体育会系の部活という言葉がしっくりきますね。『アイマス』シリーズは多彩な楽曲も魅力ですが、歌の収録はいかがでしたか?

田中歌はストーリーよりも前に収録したので、もう2年くらい経つのかな……。先輩たちがこれまで歌ってきた曲は、心白ちゃんだったらこう歌うのかなと考えて収録に臨んだのですが、新曲はどうしようかと悩んだのを覚えています。ディレクターさんと話し合い、心白ちゃんは歌詞から読み取れる些細な感情も、歌で表現できる子にしようと決めて、新曲の収録に臨みました。

――数ある新曲の中で、とくに印象に残っている楽曲も伺いたいです。

田中どの曲もステキなのですが、ひとつ挙げるなら冬楽曲の『GR@TITUDE』ですね。この曲は「思いっ切り、好きなように歌ってください」と言われました。心白ちゃんもいろいろなことから解き放たれて、自由に歌ったんだなと思うと、とても感慨深くて。

――まだ聞けていないので、冬公演をプレイするのが楽しみです! 今後、『アイマス』関連でやってみたいことはありますか?

田中いまの状況が落ち着いたら、プロデューサーさんたちの前でライブがやりたいです! バンダイナムコエンターテインメントフェスティバル(2019年10月19日、20日開催)のライブを会場で見ていたのですが、いつか心白ちゃんとしてステージに立って、あの興奮を私も味わいたいと思いました。

――観客を前にしてのライブは、多くのプロデューサーも待ち望んでいると思います。

田中リアルのライブが実現するまでは、『スタマス』のライブを楽しんでもらいたいですね。“S4U!(ステージフォーユー)”ならエフェクトなどの細かい調整が行えますし、カメラを切り換えながら写真が撮影できるので。もちろん、ストーリーも楽しんでもらいたいです。亜夜ちゃんとのやり取りはもちろんですが、心白にとっては(春日)未来ちゃんがキーパーソンになっているので、彼女のセリフにも注目していただけると物語をより深く楽しんでもらえると思います。プロデューサーの皆さんと、ストーリーや心白ちゃんについて語り合いたいので、ぜひ感想を教えてください!

『スタマス』田中あいみさん(奥空心白役)インタビュー。「演じているうちに、心白ちゃんはものすごく鈍感な子なんだなということに気付きました」
『スタマス』田中あいみさん(奥空心白役)インタビュー。「演じているうちに、心白ちゃんはものすごく鈍感な子なんだなということに気付きました」

週刊ファミ通で『スタマス』発売記念特集を掲載

 10月14日に発売した週刊ファミ通2021年10月28日号にて、本インタビューを含む特集企画を掲載。スタマスの注目ポイントやゲーム序盤のプロデュースに役立つ攻略情報などを紹介している。

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