朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)5月25日(月)放送 第49話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:西村武五郎

能登の状況よりもドラマ自体がカオスな「まれ」。

なんだか展開が場当たり的な感じがするんですよね。と小姑トークからはじめてしまうまれビュー49回です。
さて、第9週「再出発エンゲージケーキ」はどうなるでしょうか。
希(土屋太鳳)が雪の舞う能登へ帰郷してきたところからはじまりました。
徹(大泉洋)と藍子(常盤貴子)の離婚騒ぎを聞いて帰ってきたというのは建前で、正確にいえば、池畑大悟(小日向文世)の店の研修に不合格になり横浜に居場所がなくなったから。

新しいエピソードがはじまる月曜日なので説明が多いのは毎週のパターンですが、今回はその説明を、文(田中裕子)や一徹(葉山奨之)、藍子などによる再現芝居仕立てで見せていました。

さらに、ここのところ説明要員化しているみのり(門脇麦)が、一子(清水富美加)の希への気持ちをやっぱり説明し、一子に「あんた 何すっぱぬいとるげね!」「もうぶっちゃけ過ぎやろ」と咎められます。
これまでも何かと視聴者の突っ込みにアンサーをもうけているかのような脚本を書いている篠崎絵里子さん、今回もやはり視聴者の思いを一子の台詞にして書いてくれました。
49話は、一子が視聴者の代表のようで、ほかにも
「希には分からん!
望んだら すぐ夢追って
横浜行かれて
好きやった男に応援されて
励まされて
ほんな希には 絶対分からん!」という朝ドラヒロイン全般への批評のような台詞も出ました。
思えば、「花子とアン」ではヒロインの妹・もも(土屋太鳳)が、「あまちゃん」ではヒロインの親友・ユイなどが、こんな思いを担わされていました。
そう、土屋さんは、「花子とアン」では一子的な役を演じていたのです。人生山あり谷あり、光あれば影ありです。


一子は、夢に邁進できない分、地元の彼氏(圭太)にすがってしまう。それを
希は「こんな事グダグダ考えんと」なんて言っちゃう。「こんな事」(圭太とのこと)って、完全に失言ですね。こういう毛羽立った紐が絡み合ってほどけないような感情のやりとりがいいなあ。
また、「うちはちゃんと仁義きったがに」と一子は言いますが、だったら、つきあう前に「つきあっていい?」と聞くべきでは。結局なんだかんだで自分に都合いいようなことを言って張り合ってるだけというのも人間くさくていいなあ。
こういう辻褄の合わなさを「おもしろ」として掬い上げてほしい。
【今日の、気になる小道具】
その1:希のほうき。旅するときに背負ってるほうきは魔女姫人形を思わせます。
その2:徹の星柄の服。先週も今週も、前にも着てました。やっぱり夢見ている象徴なんでしょうか。

(木俣冬)
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