22nd annual mark twain prize for american humor
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デイヴ・シャペル(Dave Chappelle)

コメディ番組「サタデーナイトライブ」に出演、映画でも活躍しているデイヴ・シャペル。スタンダップコメディアンとしてステージでも公演を定期的に行い人種差別など社会問題や政治などをテーマにした辛辣なトークで人気を集めている。しかしNetflixで配信が始まった特別番組「デイヴ・シャペルのこれでお開き」で披露したジョークがLGBTQsコミュニティから猛批判を浴びている。

問題となっているのはトランスジェンダーに関するジョーク。シャペルは自分を「トランスフォビア(トランス恐怖症)」だと自称しているがステージでも「俺はTERF(訳註:トランス排除的ラディカルフェミニスト。女性の権利を考える際にトランスジェンダーの女性を対象に含めない)だ」と公言。「ジェンダーは事実だ。トランスの女性が女性でないと言っているわけではない。俺が言っているのはプッシーの話だ」「(トランス女性の)プッシーがプッシーではないとは言っていない。つまり”プッシーを超越してる”、あるいは”不可能なプッシー”なんだ。わかる?」「プッシーの味はするけどちょっと違う。血じゃなくてビーツジュースなんだ」。

またトランス女性であるケイトリン・ジェンナーもジョークに。「ケイトリンは女性になって1年目に『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』を受賞した。生理も経験したことないのに」。

執拗にトランス女性の体を笑うシャペルを俳優で監督のテイラー・アシュブルックは批判。「トランス女性として私はデイヴ・シャペルの特別番組をいつも弁護してきた。ものすごく面白いしトランス女性たちをネタにしたジョークが意図的に傷つけようとするものには感じられなかったから。でもこの番組で考え方を変えた。これは極めて怠惰で誠実さに欠ける。とても残念だ」とツイートしている。

mark twain prize at kennedy center
The Washington Post//Getty Images
デイヴ・シャペル(Dave Chappelle)

またもう1つ批判を集めているのはシャペルがダベイビーやケヴィン・ハートを弁護した部分。ダベイビーは今年の夏にコンサートのステージで同性愛者を差別する発言をし、その後複数のコンサートを下された。またハートは過去に同性愛嫌悪的なツイートをしていたことが改めて批判され2019年のアカデミー賞授賞式の司会を辞退した。シャペルは「もう君たち(トランスジェンダー)をネタにジョークは言わない。俺たちが心から一緒に笑えるようになるまでは」「君たちのコミュニティに俺が謙虚な気持ちで求めることは1つ。どうか俺の仲間を攻撃するのをやめてください」。ダベイビーやハートがLGBTQsのバッシングの犠牲者だと示唆した。

ネット上には「ハートやダベイビー、シャペルの方から先に攻撃したことを忘れている」という意見が浮上。また「シャペルは白人のトランスジェンダーが黒人男性を攻撃していると捉えている。黒人のトランスジェンダーやゲイがいることに気がついていない。彼にとって黒人のトランスは存在していない」と指摘する人も多い。シャペルはこれらの反撃に対してまだ何も答えていない。なんらかの反応を示すのか、注目が集まっている。