憂鬱な通勤生活が始まる… 究極の2階建て車両もあった「電車の混雑対策」5選

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(5)デュアルシート

■首都圏では“簡易優等車両”と化す

 デュアルシートとは、クロスシートとロングシートの両方に設定できる“二刀流”の座席である。開発したのは近畿日本鉄道で、1996年に2610系を改造し、営業運転を開始。ラッシュ時はロングシート、日中はクロスシートにすることで、混雑緩和と快適性の向上を両立させた。その後、改造車、新型車両の投入により、数を増やしている。

 JR東日本でも、2002年に仙石線用205系3100番台の一部編成に導入し、通勤客と観光客の双方の需要に対応した。

 デュアルシートの“概念”を大きく変えたのは、東武が2008年に東上線に投入した50090系だった。基本的に一般列車はロングシート、有料列車〈TJライナー〉はクロスシートに設定するという、使い分けをしたのだ。6月14日に〈TJライナー〉がデビューすると、連日満席の大ヒット商品と化した。その後、西武鉄道、京王電鉄、東急電鉄、しなの鉄道、京浜急行電鉄が相次いで投入し、首都圏や信州のデュアルシートは“簡易優等車両”としての地位を築いた。

【取材協力:小田急電鉄、阪急電鉄】

岸田法眼(きしだ・ほうがん)
レイルウェイ・ライター。1976年栃木県生まれ。『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、フリーのレイルウェイ・ライターとして、『鉄道まるわかり』シリーズ(天夢人)、『AERA dot.』(朝日新聞出版)などに執筆。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(ともにアルファベータブックス)がある。また、好角家の一面を持つ。引き続き旅や鉄道、小説などを中心に著作を続ける。

デイリー新潮編集部

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