栄養価が高い上、カロリーが低くヘルシーと女性に人気食材のお豆。その中でも特に最近注目を浴びているのがレンズ豆です。

栄養価の高さはもちろん、とても小さく、乾燥豆なのに下準備が要らず短時間で煮えることで使い勝手がよく、時短料理を可能に! 今回はそんなレンズ豆についての栄養価や種類、使い方やおすすめのレシピまでをまとめました。

レンズ豆とは?

原産地域によって大きさや色は異なりますが、直径4~8mm・厚さ2~3mmの平たい丸形でまるで光学レンズのような小さなお豆。「形がレンズに似ているからレンズ豆?」と思いがちですが、実はその逆! 後に発明されたカメラなどのレンズは、このレンズ豆に形が似ているところからレンズという名前をつけられたものだそう。英語だと「lentil(レンティル)」と呼ばれています。

レンズ豆は「人類が最初に栽培した植物の一つ」といわれ、紀元前5500年頃のトルコの遺跡からも見つかっているのだとか。起源はメソポタミア地域で、徐々に西方のエジプト、ギリシャ、ローマ、インドなどへと広まっていき、現在は世界中のさまざまな国で食べられています。

日本では生産されていないのであまりメジャーな食品ではありませんが、海外ではではお馴染みの食品。主な生産国は、インド、トルコ、カナダ、アメリカ、オーストラリアなどで、日本で流通しているレンズ豆はアメリカかカナダからの輸入品が多いです。

レンズ豆の特徴と栄養

調理時間が短く楽

薄い形なので短時間で火が通り、浸水や下ゆでをする必要がないことが特徴です。一般的な乾燥豆は硬く熱が伝わりにくいため、下ごしらえとして一晩水に浸して戻すのが基本ですが、レンズ豆はその手間がかかりません。

また、一般的な乾燥豆は料理に使う前に、調理時間短縮とアク抜きを兼ねて下ゆでをする必要があるのですが、レンズ豆の場合はアクが少なくすぐゆで上がるため、下ゆでは不要、もしくはするにしてもごく軽くOK。

食べやすい味と食感

風味や食感がよいこともレンズ豆の魅力。噛むと枝豆のようなほのかな甘みが口の中に広がり、ほっくりとしたジャガイモのような柔らかな食感も楽しめます。一般的な豆特有の味や食感が苦手な方にもおすすめ。

高い栄養価

レンズ豆は豆類の中でも鉄の含有量がダントツで高いです。レンズ豆100gあたり9.0mgの鉄分が含まれていて、普段の料理でよく使われる大豆やインゲン豆、小豆、ひよこ豆と比べ、約1.5倍以上の量。

また、脂質は豆類の中で特に少なく、100gあたり1.5g。一般的な大豆は100gあたり19.7g、ひよこ豆は5.2g、インゲン豆と小豆は2.2gなので、脂質の低さは一目瞭然。

さらに他の豆類同様、食物繊維量や葉酸などのビタミンB群も多く含まれ、身体の調子を整えるお手伝いをしてくれます。動物性タンパク質よりも体に負担がかかりにくい植物性タンパク質が豊富なのも特徴です。

レンズ豆の種類や選び方

乾燥タイプと水煮タイプの違い

乾燥タイプは長期保存可能で、茹で加減で好みの硬さに調整できます。茹でたての一番美味しい状態で食べられるだけでなく、コスパが高いんです。それに比べて、水煮タイプはフタを開けたらすぐ使える利便性の良さが最大の特徴。

美味しさやコスパから著者自身は圧倒的に乾燥タイプ推しなのですが、自分のライフスタイルに合わせて選んでみましょう。

皮あり・皮なしの違い

日本で手に入るレンズ豆の種類は、皮付きの褐色をしている茶レンズ豆(ブラウンレンティル)と、皮なしで赤橙色をしている赤レンズ豆(レッドレンティル)の2つが主要。

皮がついている茶レンズ豆は煮崩れしにくく豆特有の食感を味わいたい人に◎。皮のついていない赤レンズ豆は煮崩れしやすいため、トロトロに煮込んだり、マッシュにしたりして食べても美味しいです。

どんな料理に使うのかや、形を残したいかそうでないかなどで使い分けてみて下さい。

red and brown lentils in bowls
Westend61//Getty Images
▲右上が茶レンズ豆・左下が赤レンズ豆

レンズ豆の使い方

レンズ豆はさまざまな料理に使うことができますが、乾燥タイプのレンズ豆は作る料理によっては、前もって茹でておく必要があります。そこでレンズ豆を美味しく食べるために、レンズ豆の基本の茹で方をご紹介。

レンズ豆の茹で方

  1. レンズ豆をサッと水洗いして塵や汚れをとる
  2. 鍋の中にたっぷりの水とレンズ豆を入れて強めの中火にかける
  3. 沸騰したら火を弱めて柔らかくなるまで10~20分程茹でる(赤レンズ豆の方が早く茹で上がります)

※下味をつけたいときは、水の中にスパイスやハーブ、出汁などを入れてみて。塩分は茹でた後に入れるようにしましょう(茹でる前から入れると豆が硬くなります)

茹でたレンズ豆の使い方

茹でたレンズ豆はサラダに散らして食べたり、野菜や調味料と和えてマリネにしたり、コロッケにしたり、ご飯に混ぜ込んだり、フムス風のディップやひき肉代わりにしてパテやボロネーゼを作ることもできます。

他にも下茹でせずにスープや煮物の具材や、小豆の代わりにレンズ豆を使ったレンズ豆餡など幅広く使えます。

レンズ豆の保存方法

乾燥したレンズ豆の保存方法

乾燥タイプは未開封の状態なら1~3年は保存できますが、パッケージに書かれた賞味期限を確認して、そちらを目安にしましょう。

開封済みの場合は、密閉できるガラス容器などに入れて高温多湿を避けて保管してください。

茹でたレンズ豆の保存方法

多めに茹でて保存しておく場合は、保存容器などに移し替えて、冷蔵庫で5日程度を目安に使い切りましょう。

レンズ豆を冷凍保存する方法

茹でたレンズ豆は冷凍保存も可能です。プラスチック製の保存容器などに茹で汁ごと入れて冷凍すると、2~3カ月は保てます。使う際は、冷蔵庫で一晩ほど置いて解凍するか、常温で自然解凍してみて。

curried lentil soup
Fudio//Getty Images

レンズ豆のレシピ

今回は赤レンズ豆を使った、下茹で不要の「トマト煮込み」のレシピをご紹介。作り置きできて「安い・簡単・美味しい・ヘルシー」の四拍子が揃ったレシピ。日持ちするので、お弁当のおかずや常備菜として毎日のおかずなどにぜひ!

材料(作りやすい分量)

  • 玉ねぎ(角切り)…中1個
  • にんにく(みじん切り)…2片
  • 赤レンズ豆…1カップ
  • ホールトマト缶…400g
  • お好みの野菜(人参、セロリ、椎茸、ピーマンなど)…刻んだもの2カップ程度
  • お好みの調理油…適量
  • 水…適量
  • 塩(塩こうじや醤油でも◎)…適量

作り方

  1. お鍋に油を入れて弱火にかけ、にんにくを加えてじっくり火を通す
  2. ニンニクの香りが立ってきたら、玉ねぎを入れ少し透き通ってくるまで中火で炒める
  3. お好みの野菜を足し、よく混ぜたらフタをして3分加熱
  4. 軽くすすいだ赤レンズ豆と、トマト缶、ひたひたになるくらいの水を入れて、トマトを潰しながら全体をよく混ぜ、強めの中火で加熱する
  5. 沸騰したら弱めの中火にして、10~15分煮る
  6. 途中で鍋底が焦げ付かないように混ぜたり、水が少なくなってしまったら水を足す
  7. レンズ豆の芯がなくなって、水分が飛んで好きな水分量になったら火を止め、塩で味を調えできあがり

※お好みでバジルやタイムなどのハーブを加えたり、カレースパイスを足してみたり、みりんやお味噌などで風味を変えるのもおすすめです。

レンズ豆は栄養価が高いだけでなく、美味しくて手軽に使える便利な食材。まだあまり馴染みがない食材かもしれませんが、お役立ち食材なのでぜひ覚えておきましょう!