名古屋テレビ塔(中部電力ミライタワー)「8つのヒミツ」後編 3度も破壊された過去…怪獣映画の話ですが【企画・NAGOYA発】
2023年1月27日 12時00分
第14回 名古屋テレビ塔(中部電力ミライタワー)8つのヒミツ・後編
日本初のテレビ放送用集約電波鉄塔として1954年に開業した名古屋テレビ塔が昨年12月に国の重要文化財に指定された。名古屋のランドマークとなって今年で足掛け70年目。2021年にはネーミングライツ契約で「中部電力 MIRAI TOWER(ミライタワー)」の新名称になるなど、地道な進化も続けている。名古屋市の市章にちなんで8つの“ヒミツ”に迫る。最後は前編、中編に続く後編。(鶴田真也)
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◆ヒミツその6・怪獣映画で3度“破壊”された
怪獣の特撮映画でテレビ塔は3度も破壊されている。いずれもモスラが登場する映画だ。
“初被害”は1964年公開の『モスラ対ゴジラ』。三重県四日市でゴジラが出現するストーリーで、ゴジラの尻尾が当たってテレビ塔が倒壊する。2度目は92年の『ゴジラVSモスラ』。倒したのはゴジラでもモスラでもなく、怪獣バトラが成虫になる前の幼虫の時に破壊した。
最後は98年の『モスラ3 キングギドラ来襲』。名古屋に来襲したキングギドラが翼でテレビ塔をなぎ倒す。
なお、モスラはテレビ塔に対して物理的な害を及ぼさなかった。
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◆ヒミツその7・開業時と階段の段数が違う
2021年9月に屋外階段の駆け上がり競争が久々に開催された。名古屋テレビ塔では開業2周年事業として1956年に1度だけ実施されたことがあり、65年ぶりだった。
高低差は約90メートルで階段は現在410段。開業当時は393段で17段ほど少なかった。テレビ塔の事業部は「途中、タワー自体の部分改装や階段のルート変更などもあり、69年の歴史の中で公式段数は変化しているのではないか」としている。屋外階段は2020年のリニューアル前は地上からではなく3階からの運用で245段だった。
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◆ヒミツその8・松尾芭蕉とも縁がある
テレビ塔の南東側に「蕉風発祥の地」の碑が立っている。「蕉風」とは「おくのほそ道」で知られる江戸時代の俳人・松尾芭蕉が確立した俳句の作風のことだ。
芭蕉が1684年に名古屋に立ち寄り、地元の青年俳人らと連句の会をこの地で催し、句集「冬の日」を刊行。言葉遊びのたぐいでしかなかった俳諧を、初めて文芸の領域まで向上させたといわれる句集で、この事象によって「蕉風」が発祥した地と考えられている。
この辺りは江戸時代は名古屋の城下町の東の外れに位置しており、町家などが並んでいたという。(終わり)
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▼中部電力 MIRAI TOWER(名古屋テレビ塔) 1954年6月に名古屋市中区の久屋大通公園内に日本初のテレビ放送用集約電波鉄塔として開業。設計者は、のちに大阪の通天閣(2代目)、東京タワーなども手掛けた建築家の内藤多仲。タワーの高さは180メートル。2005年に国の有形文化財に登録された。11年にアナログテレビ放送終了に伴い、集約電波塔としての業務を終了。一時は解体も検討された。21年に命名権売却で名称が「中部電力 MIRAI TOWER」に変更。昨年12月に国の重要文化財に指定された。
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