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【北の富士コラム】やる気がない大関を優勝が懸かる千秋楽の結びに対戦させる手はない ファン無視もいいところだ

2022年5月22日 05時00分

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照ノ富士(左)が寄り切りで正代を下す

照ノ富士(左)が寄り切りで正代を下す

◇21日 大相撲夏場所14日目(両国国技館)
 「あんた、泣いてんのね。だから言ったじゃないの」。昔、こんな歌がありましたね。そうです。松山恵子さんのこの歌は当時、大ヒットしたものです。小生も大々ファンで、東京・有楽町の日劇で彼女のワンマンショーを一人で見に行きました。入場料は確か500円だったと記憶しています。昭和36年ごろの500円は私にとって大金でした。それでも松山恵子さんの歌が聴けて大満足でした。
 それがどうした。すみません。本分を忘れるところでした。私の言いたいことは、昨日、照ノ富士と正代の割りを見て、なぜこのように無駄な取組を作ったのかと。反対したはずです。相撲内容は見るに堪えないものです。私は千に一つも勝てないと言っている。
 「だから言ったじゃないか」。明らかに審判部の手抜きです。この流れで行くと、千秋楽は御嶽海を持ってこないとおかしいではないか。まさか、そんなばかなことはできない。私は若元春しかいないと思う。全くやる気のない大関よりよほどましだろう。
 断っておくが、私は照ノ富士に不平を言っているのではない。照ノ富士は正代相手でも決して気を緩めなかった。彼は立派だった。
 隆の勝は一足先に3敗を守った。しかし、勝ったが勝負の流れは霧馬山にあった。立ち合いは隆の勝もいい当たりを見せたが、霧馬山がすぐに左で前みつを引いた。このところの霧馬山は右でも左でもまわしを引くと、相当の力を出す。そこは十分に読んでいる隆の勝が左半身となり、右から攻めて前みつは取らせない。
 相撲は長引くと思わせたが、霧馬山が何を思ったのか、左足を飛ばし、外掛けに出た。これは見ていた私も驚いた。一気に勝負に出たのだろうが、なんぼなんでもこれは強引過ぎた。自分で体勢を崩した霧馬山の大失敗だった。この機を見逃さずに攻めた隆の勝が押し出して3敗を守った。
 負けた霧馬山はニタリと薄笑いを見せていた。面白い力士である。
 これで3敗は隆の勝と照ノ富士の2人。このくだりを書いている時点で、明日(千秋楽)の割りはまだ届いていない。おそらく照ノ富士の相手が決まらないのだろう。まだ大関との対戦を推す親方もいるのだろう。ここまで来ると、この両力士に勝ってもらい、決定戦になるのが一番いいと思うが、どうでしょう。
 まだ少し紙面があるので前出の続きをしようか。さきほどの松山恵子さんのヒット曲に「未練の波止場」というのがある。そこで私は大関陣を「未練の大関」と名付けたい。私の師匠、千代の山は不調を恥じて「横綱を返上したい」と申し出たが、奮起するよう激励され、返上はならなかった。4度目となるかど番正代にそれほどの責任感があろうとは思わないが、協会は何らかの手は考えてもいいだろう。
 お待たせしました。千秋楽の割りが分かりました。照ノ富士の相手は負け越しが決まっている御嶽海とのこと。今日の貴景勝との一番でも全く力が出ていない。やる気がない。そのような力士を優勝が懸かる千秋楽の結びに対戦させる手はないだろう。これではファン無視もいいところである。照ノ富士の師匠、伊勢ケ浜親方が審判部長だから、弱い大関と対戦させたと思われても不思議ではない。審判部長も地に落ちたものだ。そんなことは前例がなければ作ればいいではないか。
 相撲協会は過去にもいろいろと大改革をしてきている。
 どうやら少し血圧が上がってきたようです。目まいがするので、この辺で。ちょうど、焼きそばの差し入れがありました。それにスッポンのスープ。たまりません。それではお休みなさい。(元横綱)
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