寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」(JR西日本提供)

 国内で唯一残る定期運行の寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」が、今年デビューから20周年を迎えた。東京駅と高松駅、出雲市駅を結ぶ二つの電車が連結され、首都圏と四国、山陰をつなぐ貴重な交通手段として活躍を続ける。夜間に移動できるメリットが利用者に好評で空の便にも対抗。新幹線にない、長時間旅行の魅力を味わえる列車としても人気だ。

 ▽長旅の魅力・快適な空間

 サンライズは1998年7月10日に運行開始。「ブルートレイン」と呼ばれる青い塗装の寝台列車が健在だった当時、朝焼けや朝もやをイメージした赤とベージュの斬新な車体が注目を集めた。

 車両はJR西日本とJR東海の共同開発。ブルートレインのような機関車が客車を引っ張る列車ではなく、電動車を組み込んだ編成の電車タイプ。加速や減速がスムーズで、新幹線などと同様、両端がともに先頭車両の役割を果たすことができ、方向転換も容易だ。

 客室は1人用や2人用の個室が5種類。カーペットでごろ寝ができ、寝台券が不要の「ノビノビ座席」もある。住宅メーカーの「ミサワホーム」とも連携、内装は木目調で、照明も電球色にして、プライベート空間としての快適性を高めた。開発に携わった同社の入矢健二さん(46)は「それまでの寝台列車は夜の冷たいイメージだったが、温かみのあるデザインにした」と振り返る。

 2013~16年には、洋式トイレへの変更やシャワー設備などのリニューアルが施された。

 東京に向かう上りは高松、出雲両空港から羽田に向かう空の便の始発より早い時間に東京都心へ到着できるのが強み。JR西日本によると、デビュー以来、客足は好調で、最近5年間の乗車率は7~9割程度と高い状態を維持しているという。