英駆逐艦、紅海で攻撃用とみられるドローン撃墜 海運大手は当該海域の航行見合わせ

画像提供, Ministry of Defence

画像説明, イギリス海軍の駆逐艦「ダイヤモンド」がドローンを撃墜した海域に到着したのはつい最近だと、グラント・シャップス英国防省は述べた。画像はスコットランド沖で撮影された「ダイヤモンド」

イギリス国防省は16日、紅海で英海軍の駆逐艦が攻撃用とみられるドローン(無人機)1機を撃墜したと発表した。紅海では最近、イエメンの反政府武装組織フーシ派が支配する同国の地域から船舶への攻撃が相次いでいる。こうした中、デンマークの海運大手は、紅海を経由するすべての通航を一時停止すると発表した。

イギリスのグラント・シャップス国防相は、英海軍の45型駆逐艦「ダイヤモンド」が目標物の撃墜に成功したと語った。国防省によると、同軍が敵対的な空中目標を撃ち落としたのは数十年ぶり。

同省は、攻撃ドローンの所属については言及しなかった。ただし、紅海で最近起きた複数の攻撃をめぐっては、イエメンの反政府武装組織フーシ派が関与を主張している。

イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まって以降、フーシ派はこの地域で外国船を標的にしている。フーシ派はハマスへの支持を表明しており、イスラエルへ向かう船を狙っているとしている。

シャップス英国防相は、16日のドローンは商船を狙っていたとみられると述べた。

紅海は北アフリカとアラビア半島の間に位置し、スエズ運河を経由して地中海とインド洋を結んでいる。

石油や燃料の輸送において、紅海は世界で最も重要な航路の一つとなっている。

シャップス氏は声明で、「ダイヤモンド」は「海洋安全保障を維持するための国際的取り組み強化のため」、2週間前に同地域に派遣されたばかりだと説明。こうした攻撃は、「国際通商と海洋安全保障への直接的な脅威」だとした。

「イギリスは世界貿易の自由な流れを守るため、引き続き、こうした攻撃の撃退に取り組んでいく」と、国防相は強調した。

画像提供, Minstry of Defence

画像説明, グラント・シャップス英国防相は英駆逐艦からシー・ヴァイパー対空ミサイル1発が発射され、目標の破壊に成功したと述べた。画像は英ポーツマス海軍基地を出発する駆逐艦「ダイヤモンド」

海運大手が紅海航行を見合わせ

こうした中、デンマークの海運大手マースクは15日、紅海を経由するすべての通航を一時停止すると発表した。

これは、イランの支援を受けるフーシ派が支配するイエメンの地域からの船舶への攻撃が相次いだことを受けた決定。

米中央軍によると、駆逐艦「カーニー」は3日朝、バハマ船籍でイギリスが所有・運営する貨物船「ユニティ・エクスプローラー」の近くで、対艦弾道ミサイルが爆発するのを探知した。

「カーニー」に向かってもドローンが飛来し、「カーニー」はこれを撃墜した。ただ、カーニーを標的にしていたかは不明だという。

ドイツの海運会社ハパックロイドも、マースクと同様の措置をとっている。

世界有数の海運会社マースクはBBCに充てた声明で、「この海域における最近の商船への攻撃は憂慮すべきものであり、船員の安全と安心に重大な脅威をもたらしている」と述べた。

マースクが所有する船舶も最近、攻撃を受けている。

同社は、「昨日のマースク・ジブラルタル号が巻き込まれたニアミス事故、そして今日発生したコンテナ船に対する別の攻撃を受け、バブ・アル・マンデブ海峡を航行する予定のすべての船舶に対し、追って通知があるまで航行を一時停止するよう指示した」という。

アラビア半島のイエメンと、アフリカのジブチとエリトリアの間に位置するバブ・アル・マンダブ海峡は、幅が20キロと、航行に危険が伴うことで知られる。

紅海の南側からスエズ運河に向かうには、この海峡を通過する必要がある。同海峡を回避する場合、アフリカ大陸の南を経由することになり、スエズ運河経由よりもさらに時間がかかる。