ローマ教皇、ロシア軍の少数民族部隊が「最も残酷」 ロシアは反発

Russian soldiers

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ローマ教皇庁(ヴァチカン)の教皇フランシスコは、雑誌のインタビューでロシア軍の少数民族部隊をとりわけ残酷だと評した。ロシアは反発している。

キリスト教カトリック教会トップの教皇は、アメリカのイエズス会系雑誌「アメリカ」によるインタビューの中で、チェチェン人とブリヤート人部隊が「最も残酷だ」と述べた。

また、1930年代にが旧ソヴィエト連邦がウクライナで引き起こした大飢饉(ききん)「ホロドモール」はジェノサイド(集団虐殺)に当たると述べた。

ロシアは、一連の発言は「曲解」だと反発し、少数民族も「一つの家族だ」とした。

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インタビューの中で教皇は、ロシアのウクライナ侵攻を直接的に非難するのをためらっているように見えるのはなぜかと質問を受けた。

教皇はこれに対し、「部隊の残酷さについて多くの情報」を受け取っていると説明。

「一般的に、最も残虐なのはロシアの伝統に沿っていないロシア人、例えばチェチェン人やブリヤート人などだろう」と述べた。

一方で、「侵略しているのはロシア国家だ」と付け加えた。

チェチェン人はロシア南西部チェチェン共和国出身で、大半がイスラム教徒。ブリヤート人はシベリア東部に先住するモンゴル系民族で、仏教やシャーマニズム信仰を持っている。

ロシアは国内に、こうした異なる民族や宗教から成る多くの共和国を抱えている。ロシア全体での主流の宗教は、キリスト教のロシア正教会。

「名指しせずとも」

教皇はまた、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と電話で数回、会談したと明らかにした。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とも、在ヴァチカン・ロシア大使を通じて連絡を取ったという。

プーチン大統領を直接非難していないとの批判に対しては、「私は時には、誰を非難しているのか明らかであっても、気分を害さないように特定せず、むしろ一般的に非難するようにしている。名前と苗字を示す必要はない」と答えた。

その後、「プーチン氏と名指しせずとも、みんな私の態度は分かっている」とも話した。

教皇はさらに、ホロドモールから90年に合わせて祈念したいと発言。この飢饉はジェノサイドであり、現在の紛争の「歴史上の前例」だと述べた。

1932~1933年にかけてウクライナを襲ったホロドモールでは約400万人が犠牲となった。当時のソヴィエト連邦のヨシフ・スターリン政権による農業の集団化が原因とされる。

ロシアは発言を非難

ロシア国営放送RTによると、同国外務省のマリア・ザハロワ報道官は、これらの発言を非難。

「もはやロシア恐怖症どころではなく、どう呼んでいいのかさえわからないレベルの曲解だ」と述べた。

ザハロワ氏はその後、通信アプリのテレグラムに、「私たちはブリヤート人、チェチェン人、そして多国籍・多民族から成る私たちの国の他の代表者たちと共に、一つの家族だ」と書き込んだ。