初代「007」俳優サー・ショーン・コネリー死去 90歳

映画で初めて「007」ことジェイムズ・ボンド役を演じた英スコットランド出身の俳優、サー・ショーン・コネリーが亡くなった。家族が31日、明らかにした。90歳だった。

Sir Sean Connery

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家族によると、サー・ショーンはバハマ諸島の自宅で家族に囲まれて、眠りながら息を引き取った。

「ここしばらく体調が悪かった」と息子ジェイソン・コネリーさんが明らかにした。「バハマまで来て父のそばにいられる家族は全員、集まっていた」という。

「こうなったばかりなので、この巨大な出来事を理解しようと家族全員が努力している」とジェイソンさんはコメントし、「父を知って愛していた全員にとって悲しい日です。そして、父の俳優としての素晴らしい才能を楽しんだ世界中の人にとって、悲しい損失です」と述べた。

今年8月に90歳の誕生日を迎えたものの、最近は体調不良が懸念されていた。

現在のボンド俳優、ダニエル・クレイグさんは、「サー・ショーン・コネリーはボンドとして、そしてそれ以外の本当にたくさんのものとして、記憶されていく。ひとつの時代、ひとつのスタイルを決定した人だ。スクリーン上で表現したウイットや魅力は、メガワット単位で計れるほどだった。現代のブロックバスター映画を作り出した1人だ」とコメントし、コネリーさんを「映画にとって本当に偉大な存在の1人」とたたえた。

「これからもずっと俳優や映画人に影響を与え続ける」とクレイグさんは続け、さらにコネリーさんがゴルフを愛していたことを念頭に「どこに行ってもそこにはゴルフ場がありますように」と追悼した。

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「歴代最高のボンド」とも

7本の「007」映画でイギリス情報部のスパイを演じ、「歴代1位」の評価を広く得ているほか、「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」、「レッド・オクトーバーを追え!」、「ロシア・ハウス」、「薔薇の名前」、「ロビンとマリアン」、「ザ・ロック」、「丘」など数々の作品に出演した。

Sean Connery in Never Say Never Again

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画像説明, 映画「ネバーセイ・ネバーアゲイン」でボンド役に復帰したコネリーさん

映画「アンタッチャブル」ではシカゴ・マフィアと戦うアイルランド系警官の役を演じ、1988年にアカデミー賞助演男優賞を獲得した。この役ではゴールデングローブ賞も獲得している。また、「薔薇の名前」では同年の英アカデミー賞主演男優賞も受賞している。

若いころはサッカー選手を目指したこともあったが、演劇にひかれるようになり、俳優を志した。1953年にはボディビル大会に出場するためロンドンを訪れ、ミュージカル「南太平洋」にコーラスの一員として出演するきっかけをつかんだ。そこから舞台俳優の道が開け、テレビ・ドラマやテレビ映画にも出演するようになり、やがて1961年にはついに初のボンド映画「ドクター・ノオ」(1962年英米公開)でボンド役に抜擢された。

2000年にナイト爵となり、故郷エジンバラの英王室ホリールード宮殿で、エリザベス女王から叙勲された。

「揺るぎない愛国者」

Sean Connery with wife Micheline Roquebrune arriving at the opening of the first Scottish Parliament in Edinburgh in 1999

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画像説明, 1999年のスコットランド議会開会にはミシュリーヌ夫人と出席した

スコットランド独立を熱心に支持していた。2014年の住民投票の前には、もしスコットランドがイギリスから分離するなら、バハマからスコットランドに戻るかもしれないと複数の取材に答えていた。

スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相は、コネリーさんの訃報を受けて、「サー・ショーン・コネリーが亡くなったと今朝になって知り、心が砕けるほど悲しかった。深く愛されたこの国の息子の死去を、この国は今日悲しんでいます」とコメントした。

コネリーさんと親しかったアレックス・サモンド前スコットランド首相は、「世界で最も偉大なスコットランド人、最後の本当のハリウッド・スター、ボンドの決定版」とコネリーさんを呼び、「どれもショーン・コネリーだったが、彼はそれよりはるかに大きい存在だった。ゆるぎない愛国者で、深く思索する、傑出した人間だった」とたたえた。

さらに、「『スコットランドよ永遠に』とタトゥーで腕に入れていたが、それだけではない。その思いは、彼の魂に刻まれていた」としのんだ。

ボンド映画の製作者、マイケル・G・ウィルソンさんとバーバラ・ブロッコリさんは、訃報に「衝撃を受けている」とコメントを発表。「常に初代ボンドとして記憶されるし、その登場は映画の歴史に決して消えない強烈な印象を残した。『名前はボンド、ジェイムズ・ボンドだ』と言うあの名乗りは、決して忘れられない」と振り返った。

「セクシーでカリスマ性にあふれる情報部員を、渋く、そして軽妙に演じた。ボンド映画シリーズの成功の大部分は紛れもなく(コネリーさんの)おかげで、私たちはいつまでも感謝し続ける」