【女子W杯】 アメリカが4回目の優勝 ラピーノが得点王とMVP
サッカー女子ワールドカップ(W杯)フランス大会は7日、決勝戦があり、アメリカがオランダを2-0で破り4回目の優勝を果たした。2大会連続のタイトル獲得で、最多優勝記録を更新した。
アメリカは3大会連続で決勝に進出。2011年ドイツ大会では日本に敗れたが、2015年カナダ大会で栄冠を手にした。2大会連続優勝は、2007年中国大会でドイツが達成して以来。
アメリカは1991年中国大会、1999年アメリカ大会でも優勝している。
PKで先制
前半からアメリカが攻勢に出てシュートを4回放ったが、オランダGKサリ・ファン・フェーネンダールがそのたび好セーブを見せ、両チーム無得点のまま後半を迎えた。
後半13分、アメリカのFWアレックス・モーガンがオランダのペナルティエリアに攻め込むと、オランダのDFステファニー・ファン・デル・フラフトが足を高く上げてボールを奪いに行った。
ビデオ審判(VAR)との協議の結果、主審はこれを反則と判定。アメリカにペナルティキック(PK)が与えられた。
これを、アメリカのベテランFWメガン・ラピーノが冷静にゴール右側に押し込み、先制点を奪った。
欧州王者は好機つくれず
勢いづいたアメリカは後半24分、MFローズ・ラヴェルが長いドリブルでオランダのゴール正面までボールを持ち込み、そのまま左足で鋭いミドルシュートを放った。ボールはゴール右下隅へと吸い込まれ、リードを広げた。
ヨーロッパ王者で、2回目のW杯出場で決勝まで勝ち進んだオランダだったが、決定的なチャンスをほとんどつくれないまま、試合終了を迎えた。
ラピーノが2冠
この日、PKを決めて大会6点目を挙げたアメリカのラピーノは、ゴールデン・ブーツ(得点王)に輝いた。チームメートのFWアレックス・モーガン、イングランドのFWエレン・ホワイトも6得点で並んでいたが、規定によりラピーノに贈られた。
ラピーノは、ゴールデン・ボール(最優秀選手)も獲得した。
プレー以外でも…
アメリカ代表チームは今大会、プレー以外でも話題を集めた。
ラピーノは雑誌の取材で、アメリカ代表チームがホワイトハウスに招待された場合のことを聞かれると、個人的には断ると表明。これに対しドナルド・トランプ大統領が、「私たちの国を軽視している」と批判した。
モーガンは2日の準決勝のイングランド戦でゴールを決めた後、紅茶を飲むしぐさを見せた。紅茶はイギリスの「国民飲料」であることから、このパフォーマンスに対し、同国などで「無礼だ」という声が沸き上がった。
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「歴史をつくった」
アメリカ、ジル・エリス監督の話
このチームは驚くべき選手たちの集まりで、素晴らしいしなやかさを見せてくれた。
この大会に全身全霊を注いでくれたことに感謝し切れない。試合後すぐには声を出すことすらできなかったが、選手たちには「歴史をつくった。それを味わおう」と伝えた。
アメリカ、メガン・ラピーノ共同主将の話
私たちのチーム全員が、信じられないほどがんばった。友人も家族もここに来てくれている。現実じゃないみたいだ。
<試合データ>
- 女子W杯の3大会に先発したのはメガン・ラピーノ(2011、2015、2019年大会)が2人目。1人目はドイツのビルギット・プリンツ(1995、2003、2007年)
- アメリカは今大会、計26得点を挙げた。これは女子W杯における1チームの最多記録
- ラピーノは女子W杯決勝でPKを決めた最初の選手となった。また、決勝で得点を挙げた最年長(34歳と2日)の選手となった
- アメリカはこれでW杯12連勝となり、男女両方のW杯における最長記録をつくった
- オランダのGKサリ・ファン・フェーネンダールはこの試合、8つのシュートを防いだ。今大会決勝トーナメントの1試合における最多記録
- アメリカは2017年のオーストラリア戦以降、45試合連続で得点している。総得点は148点に上り、直近12試合では複数点を挙げている