米国、韓国のミサイル防衛システム開発を支援へ

北朝鮮のテレビは発射したロケットからの映像を放送(7日)

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米国防総省は8日、高度なミサイル防衛システムを韓国に配備する計画について、できるだけ早期の実施を支援すると方針を示した。7日に長距離ロケットを発射した北朝鮮の脅威拡大に対抗し、韓国の防衛を助けるためという。

米国の最新鋭地上配備型迎撃システム、終末高高度域防衛(THAAD)ミサイルを南北国境付近に配備するため、米韓は近く正式協議を開始する方針という。

AFP通信によると、国防総省のクック報道官は「具体的な日程はともかく、できるだけ早く実施したい」、「韓国との協議を今から、近日中に開始する。速やかに前進すると予想している」と述べた。

THAADミサイルは配備がしやすく、地球大気圏の内外で敵のミサイルを迎撃する。

中国国境近くへの配備について中国の強い反発が予想されるが、クック報道官はあくまでも北朝鮮を対象にしたもので、中国を脅かす意図はまったくないと強調した。

米政府は8日、北朝鮮が人工衛星か何かの飛翔体を周回軌道上に載せたが、これは長距離ミサイル発射技術を実験するための口実だったと批判した。

北朝鮮は、あくまでも平和的な宇宙開発計画の一環だと主張している。

8日に放送された米CBSテレビのインタビューでオバマ米大統領は、ロケット発射には特に驚かなかったし、北朝鮮の行動について米政府はかねてから懸念してきたと述べた。

大統領は北朝鮮を「独裁国家だ」と呼び、「挑発的な国だ。繰り返し国連決議に違反し、核兵器を実験・製造してきた上に、今ではミサイル発射システムを完成させようとしている」と批判した。

米国とその同盟諸国は、北朝鮮のロケット発射について、米国本土を攻撃できる大陸間弾道ミサイルの開発追及の一環だと批判している。

平壌の金日成広場に集まり、打ち上げ成功を祝う市民(8日)

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東京ではロケット打ち上げで号外が配られた(7日)

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北朝鮮ロケット発射 これまでの経緯

・2016年2月――人工衛星を搭載しているという説明のロケット発射

・2015年5月――北朝鮮は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を初成功させたと発表。他国は信ぴょう性を疑う。

・2012年12月――人工衛星の打ち上げ名目で3段式のロケット「銀河3号」を発射。米国防総省は軌道上への到達を確認。

・2012年4月――3段式ロケットが発射直後に爆発し、海へ落下。

・2009年4月――3段式ロケット発射。北朝鮮は成功したと主張するが、米国は失敗して海へ落ちたと。

・2006年7月――長距離ミサイル「テポドン2号」の発射実験を実施。米国は、発射から間もなく失敗したとみている。