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「凍る滝」に熱〜い視線 袋田温泉(茨城県)

2009年2月13日10時41分

写真:一部結氷した先月中旬の滝一部結氷した先月中旬の滝

写真:滝から流れる滝川に臨む露天風呂(思い出浪漫館)=大子町滝から流れる滝川に臨む露天風呂(思い出浪漫館)=大子町

地図:【所在地】大子町袋田【交通】JR水戸駅から水郡線袋田駅まで約1時間20分で、そこから車で5分。常磐道那珂インターから車で約50分。【泉質】単純温泉【所在地】大子町袋田【交通】JR水戸駅から水郡線袋田駅まで約1時間20分で、そこから車で5分。常磐道那珂インターから車で約50分。【泉質】単純温泉

 凍る滝として知られる「袋田の滝」だが、今シーズンはまだ一度も完全結氷せず、もう凍ることもないだろう。「凍らないと観光客の入りが全然違う」と地元では嘆き節が聞こえる。

 落差120メートルは栃木県・日光の「華厳の滝」を上回る。水が急傾斜の岩の上を滑るように流れるため、寒い日が続くと徐々に凍っていく。氷は日に日に厚さを増し、滝全体がオブジェのようになる。日本では珍しい巨大な氷瀑(ばく)を登る、アイスクライミングを楽しむ人も多い。ライトアップでキラキラと光る滝は、幻想的な雰囲気を醸し出す。

 というのが30、40年前の気候であれば当たり前だったのだが……。

 大子町役場の担当者は「温暖化してますね。名産のリンゴの色づきも遅いし、紅葉も遅くなった」と話す。ここでは地球温暖化は身近な問題なのだ。冬になると「凍ってますか?」という問い合わせの電話が頻繁にかかってくるため、毎冬、町のホームページで朝の滝の写真を日々更新している。

 冬でも集客が見込める氷瀑は、貴重な町の財産。昨年、展望台から51メートル上の地点に「新観瀑台」を設けたら、観光客数が倍になる月もあった。一昨年のような完全結氷が、今度はいつ見られるだろうか。

 立ち寄った温泉の露天風呂は、滝から落ちた水の流れを見ながらつかるぜいたくなもの。氷瀑を見て凍えた体が、じっくりと温まる。そういう楽しみも失いたくはない。

(文 田代温 撮影 上田頴人)

    ◇

 ●袋田温泉 大子温泉、月居温泉などとあわせ奥久慈温泉郷とも。温泉宿は「袋田温泉 思い出浪漫館」(電話0295・72・3111)1泊2食付き1万3650円から、「滝味の宿 豊年万作」(電話0295・72・3011)1泊2食付き1万3800円から。

 ●袋田の滝 日本三名瀑(めいばく)の一つ。昨年9月に新観瀑台がオープンし、従来より51メートル高い位置から滝のほぼ全景が見られるようになった。300円。小中学生150円。[前]8時〜[後]6時(11〜4月は9時〜5時)。

 ●奥久慈しゃも 地元のシャモに名古屋コーチンなどを交配して誕生。「しゃもすき」「しゃも鍋」などが人気。駅弁としても利用できる「奥久慈しゃも弁当」は要予約(950円、電話玉屋旅館0295・72・0123)。

 【問い合わせ】大子町観光協会(電話0295・72・0285)。滝の写真は、http://www.town.daigo.ibaraki.jp/で。

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(2009年2月10日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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