小型旅客船の甲板・隔壁、水通さない構造に 25年度めどに義務化へ

古城博隆
[PR]

 北海道・知床半島沖で昨年4月、観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故を受け、国土交通省は4日、小型旅客船の甲板全体と船底を区分けする隔壁について、水を通さない構造にすることを義務づける方針を明らかにした。関係省令を改正し、2025年度をめどに実施する。

 国交省によると、甲板はこうした「水密化」の対象をこれまでの船首部のみから全体に拡大。隔壁は設置義務がなかったが、浸水しても船底全体に水が広がらないよう設置を求める。既存の船で対応が難しい場合は、浸水警報装置と排水装置を設置するか、船体に浮力を持たせるか、いずれかの代替措置を義務づける。

 国交省は、甲板から船底への浸水経路となり得るハッチについて、全国1646事業者を対象に実施した緊急点検結果も公表した。36事業者39隻でハッチのふたの留め具の劣化など不備が見つかったものの、是正を確認したという。

 国の運輸安全委員会は昨年12月に公表した事故の報告書で、ハッチのふたの留め具の一部に摩耗があったことや、隔壁に開いていた穴から水が船底全体に広がったことが沈没の要因と指摘。国交省に対し、ハッチの緊急点検と隔壁の水密化の検討を求めていた。(古城博隆)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません