ヤマトタケルは郷土の「偉人」 亀山市が民間の助成で漫画刊行

松原央
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 神話に登場するヤマトタケルとその妃オトタチバナヒメは、亀山を代表する「偉人」です――。そんな漫画を三重県亀山市教育委員会が、民間財団の助成を受ける全国市町村の「偉人マンガ」の一つとして、刊行した。他の自治体は日本の近代化に尽くした人物らを選んだが、市教委は「いわゆる『偉人』ではないが、市民の『モデル的人物』」と評価したという。

 亀山市内には、宮内庁がヤマトタケルの墓と定める能褒野(のぼの)王塚古墳のほか、オトタチバナヒメが生まれたという伝承がある忍山神社がある。市は今年1月にJR亀山駅前に銅像を建てるなど、市のシンボルとしてPRしてきた。

 漫画は、B&G財団(東京)の「ふるさとゆかりの偉人マンガ」事業の助成金300万円を受けて刊行された。助成を受けた他の99市町村は、江戸時代に慶長遣欧使節団を率いた支倉常長(宮城県川崎町)や建築家の丹下健三愛媛県今治市)ら、江戸期以降の政治家、文化人、実業家らが大半を占める。神話から採用したのは亀山市だけだ。財団の担当者は、市教委から「まったくの架空の人物ではない」との説明を受け、助成を決めたという。

 市教委によると、他に登山家の尾崎隆や言語学者の服部四郎ら市出身者が候補に挙がったが、国の小学校学習指導要領に「神話・伝承を活用し、我が国の歴史に親しみを持てることが大切」との表記があることなどから決めたという。

 市教委の担当者は「いわゆる『偉人』には当てはまりにくく、物語の信憑(しんぴょう)性も検証しようがない」としつつも、「亀山の地域性を伝え、市民の誇りにつながる『モデル的人物』として子どもたちに語り継ぎたい」と話した。

 B6判で122ページ。6千部を市内の小中学校や図書館などに置く。市販はしない。(松原央)

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