被爆体験者助成にがん追加 予算に12億円 精神疾患の条件変わらず

岡田真実
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 長崎の原爆に遭いながら被爆者と認定されていない「被爆体験者」への医療費助成事業で、がんが新たに対象となった。政府が23日に閣議決定した2023年度予算案に、これを見込んだ事業費約12億円が盛り込まれた。例年より4億円の増額となった。

 新たに助成対象となるのは胃、大腸、肝、胆囊(たんのう)、膵(すい)、乳、子宮体の7種類のがん。支給範囲を長崎県外在住者にも広げ、対象となる被爆体験者の数は約2200人の見込み。今後、がんの種類の追加も検討する。

 国が定める被爆地域の外にいた被爆体験者について国は、「原爆投下時に発生した放射線による直接的な影響はない」と健康被害を認めていない。一方で、被爆体験による心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神疾患と、それに起因した糖尿病などの合併症に限り、医療費(自己負担分)を補助してきた。

 今回も放射線による健康被害を認めたわけではない。医療費は、精神疾患に伴って発症した合併症と発がん性の関連を研究する事業の研究協力への対価として支払う。このため、被爆体験による精神疾患があることが条件となる。

 被爆体験者らは、被爆地域を拡大した上で、被爆体験者を被爆者と認めるよう求めている。(岡田真実)

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