重さ100キロ背負う「究極の重労働」 尾瀬で生きる「歩荷」の覚悟

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平林大輔
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 100キロを超す荷を背負って歩く――。そんな苦行のような仕事をする人たちが、尾瀬にいます。山小屋に食料などを運ぶ「歩荷(ぼっか)」になって10年目の石高徳人さん(34)は「この仕事を一生続けたい」と、その魅力を語ります。

大阪市生まれ。高校卒業後、引っ越し作業などの仕事を経て富士山の小屋で働く。2013年に尾瀬へ。体重は七十数キロだが、歩荷を続けていると65キロほどに落ちる。

 背丈より1メートルほど高く積み上げた荷を背負い、ミズバショウが咲く尾瀬ケ原(群馬、福島、新潟の3県境)の木道をゆく。一度に運ぶ荷物の重さは、最盛期の夏には100キロ近くになり、最大で140キロを担いだことも。ハイカーの山旅を陰で支えている。

 「究極の重労働」とも言える歩荷を始めて10年目になる。登山シーズンの4月下旬から10月末まで、同僚6人と手分けして、10軒ほどの山小屋に野菜や肉などを届ける。この間、みずから運ぶ荷物の重さは17トンにのぼる。週6回、おもに群馬県側の登山口・鳩待峠(はとまちとうげ)から入り、夕方前にはふもとに戻る。

 使う道具は、木製のはしごのようなものに、肩ひもをつけた「背負子(しょいこ)」だけ。機械化が進む世の中にあって、「めちゃくちゃシンプルな物流ですよね」。

 されど単純な仕事ではない。並外れた重さを背負って歩くには、相応の技や知恵がいる。

 出発前、重さや形が違う段ボ…

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