15歳ワリエワ、衝撃の世界新265点 男子チェンに迫る技術点 

岩佐友
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 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第2戦、スケートカナダ最終日は30日、バンクーバーで行われ、女子は15歳のカミラ・ワリエワ(ロシア)がフリーで180・89点、合計265・08点。フリー、合計ともに自身の世界最高得点を更新し、GP初優勝を飾った。

 三原舞依シスメックス)がフリーで3位、自己ベストの合計210・01点で4位に入った。

 樋口新葉明大)が6位、河辺愛菜(木下アカデミー)が9位。

 男子はネーサン・チェン(米国)が優勝した。山本草太中京大)が7位だった。田中刑事(国際学園)が10位。

ワリエワ、世界最高を15点更新

 衝撃的なGPシリーズデビュー戦となった。

 15歳のカミラ・ワリエワ(ロシア)が10月上旬のフィンランディア杯で自身が出した世界最高得点を、15点以上更新する合計265・08点で優勝した。

 フリー「ボレロ」では三つの4回転ジャンプを成功した。冒頭の4回転サルコーでGOE(出来栄え点)3・33点を引き出すと、4回転―3回転の連続トーループ、後半の4回転トーループを含む3連続ジャンプも決めた。

 トリプルアクセル(3回転半)で減点があったものの、「ミスはあったが、小さなものだった」と納得の内容。長い手足を生かしたスピンも光った。演技後は両拳を握りしめた。

 次元が違う構成だ。フリーは180・89点。その技術点は、2位のエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)を25点以上上回る106・15点だ。この日、男子フリーを演じた世界王者のネーサン・チェン(米国)に1・53点差まで迫った。

 「予定していたことはすべてできた。それが私にとって最も重要なことだったが、スコアには興奮している。より良い演技を目指すけど、スコアはジャッジが決めること」。2020年世界ジュニア選手権女王は淡々と語った。

 4年前のシーズンではアリーナ・ザギトワ(ロシア)が、シニア転向1年目の15歳で平昌五輪を制した。同じエテリ・トゥトベリゼ・コーチに師事する15歳の新星がその道を再現するのか。北京五輪の金メダル最有力候補に躍り出た。(岩佐友)

三原、会心の4位

 三原は会心の演技だった。冒頭の3回転ルッツ―3回転トーループをはじめ、七つのジャンプ要素をすべて成功した。2019~20年シーズンは体調不良で休養。3季ぶりとなった海外でのGPシリーズで自己ベストを更新して4位に入った。「合計点が『210』と見えて、すごいうれしかった。まだまだ強くなれる」。自信もつかんだ。

 男子総合優勝のチェン 「(3位だったスケートアメリカより)良い演技ができた。少しずつ前に進みたい。家に戻って練習するのが楽しみだ」

 男子総合7位の山本 「前半二つのジャンプは調整が不足していた。後半に立て直せたのは成長した部分だと思う」

 男子総合10位の田中 「不安なところがそのまま出た。自分の演技ができていないので、食らいついていく以前の問題」

 女子総合4位の三原 自己ベストを更新。「最後の最後まで集中できていた。まだまだ強くなれる。毎日が試練だと思って、頑張っていきたい」

 女子総合6位の樋口 トリプルアクセルを成功。「緊張した中で決められた。点数は足りない。五輪に行くためにミスのない演技で140点を超えたい」 女子総合9位の河辺 トリプルアクセルを着氷。「海外だと周りのレベルが高すぎて、他もたくさん跳んでいる。安心してはいけない」

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    吉永岳央
    (朝日新聞スポーツ部記者=冬季競技)
    2021年11月1日22時30分 投稿
    【視点】

    フィギュアスケートにおけるロシア女子のレベルの高さには、いつも驚かされます。ただ、驚きとともに小さな引っかかりを覚えるのも事実です。 今回GPシリーズ・スケートカナダを制したのは、シニアデビュー1年目の15歳、カミラ・ワリエワ選手。彼

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