民間委託で丸投げ、中抜き…経産省の独自ルールに問題か

有料記事経産省の民間委託

箱谷真司 新宅あゆみ 高木真也
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 政府事業の民間委託をめぐる問題で、経済産業省のルールが他の省庁に比べて企業・団体側に有利になっていることがわかった。事実上の丸投げや中抜きを招きやすい仕組みになっている。経産省は持続化給付金事業で批判を浴び、ルールの見直しの検討を始めた。

 民間委託は統一ルールがなく運用は省庁ごとに任されている。例えば「Go To キャンペーン」の事業ではトラベルは国土交通省、イートは農林水産省、イベント・商店街は経産省が、それぞれの基準で委託する。

 経産省は中小企業などを支援する持続化給付金事業(今年度第1次補正予算分)を、一般社団法人サービスデザイン推進協議会に769億円で委託。協議会は749億円で広告大手電通に業務の大半を再委託し、電通は子会社5社へ645億円で外注した。

 ここで問題となるのが、協議会が受託額の97%に相当する金額で再委託したこと。農水省のルールでは、再委託は原則として受託額の50%以内に抑える。事業の半分超を自前でできる業者に委託先を絞り込むことで、事実上の丸投げを防ぐためだ。農水省の担当者は「手を挙げたのに事業をほとんどできないというのは考えられない」と話す。厚生労働省にもほぼ同様のルールがある。

 経産省では委託先を含む「履行体制図」などを提出すれば、委託額の制限はない。

 事業が丸投げされると全体像が見えづらくなり、受託した企業・団体の責任があいまいになる。協議会については電通が業務を担うための「トンネル団体」になっていたのではないかとの懸念もある。

「中抜き」でも独自基準、経産省は「緩くはない」

 経産省のルールでは中抜きの問題も指摘される。電通が再委託された額と子会社5社に外注した額の差は104億円。その内訳を見ると、電通の利益のベースになる「一般管理費」が68億円あり、これが多額の中抜きにつながるのではないかと野党は問題視する。

 電通が6月の会見で示した資…

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