2009年の米映画「THE SOLOIST」の原作。ノンフィクションです。
50代のコラムニストである著者が偶然出会ったのは、ミステリアスな過去を持つホームレスの黒人ナサニエル。美しい音楽を奏で、インテリジェンスに満ちた言葉を語る彼が、同じ街に住んでいながらあまりに悲惨な境遇にあることに胸を痛めたコラムニストは、それまで経験したこともない慈善行為を行うことになる・・・。才能ある路上生活者を自分のコラムに取り上げることで読者の感動を呼ぶ が、「友人」として接することで多くの犠牲を払うことにもなって悩む。だが、見捨てることも出来ず、安住の場を与え「病」の治療 を受けさせようと東奔西走する。
徐々に明かされるのは、精神に異常をきたした音楽家の成功の頂点と、その後の転落の過去。ヨーヨー・マ、ゲーリー・カー等の著名な音楽家も登場してナサニエルの才能を語りますが、失われた輝かしい未来を思うと胸が詰まります。そして、「病」を根治させることの難しさを実感させる場面が幾度も繰り返されますが、周囲に必要なのは、冷静で期待しすぎず、しかも希望を失わない忍耐強い心の持ち方だという事が少しずつ分かってきます。
新 聞のコラムに取り上げられたと言う事からも分かるように、アメリカンドリームの裏側にある人種差別 や競争社会、心に病を得た人々が社会の底辺で苦しんでいる現状等を告発する作品でもあり、単なる「感動のエピソード」とは違って「現実は厳しい!」というため息が聞こえて来るような結末が印象的です。
狂 気に囚われた天才音楽家の物語・・・それは悲劇的な人生としか言いようが無いのですが、一人の人間の奮闘が、二人の関係を徐々に変え、努力と忍耐によっ て、ついには社会も変えていく様子は感動的です。そして、同時に感じるのは音楽の与える「慰め」と「生きる力」、さらには、登場する多くの音 楽家たちの「無私」の姿の美しさですね。
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路上のソリスト 単行本(ソフトカバー) – 2009/4/24
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購入オプションとあわせ買い
コラムのネタを探していた『ロサンゼルス・タイムス』記者である著者、スティーヴ・ロペスは、ふとしたきっかけで、路上でひとり、演奏していたホームレスの音楽
家と出会う。ウォルト・ディズニー・コンサート・ホールで演奏することを夢見るそのホームレスに興味を持ったロペスは、取材を重ねるうちに、ナサニエルという彼の
名前と、彼がかつて音楽の名門校・ジュリアード音楽院に通っていたことを知った。
ナサニエルは、統合失調症に罹り、ジュリアード音楽院をドロップアウトしていたのだ。
ナサニエルに接するうちに、何とかして彼の病気を治せないものかと悩み、さまざまな関係者に相談するロペス。同時に、数十年前の州の政策の弊害により、精神病棟
がクローズされ、患者らが街に放置されていることもわかった。
彼の病気は治らない。普段は天使のようなナサニエルは、突然悪魔に変貌する。振り回されるロペス。常に自問自答する。「自分がやっていることは、果たして本当に
ナサニエルのためになっているのだろうか?」
コラムニストと、ホームレスの音楽家。彼らの互いの人生を変えることになった出会いと友情、それは決して終わることのない、まったく先の見えない戦いでもあった
…。
家と出会う。ウォルト・ディズニー・コンサート・ホールで演奏することを夢見るそのホームレスに興味を持ったロペスは、取材を重ねるうちに、ナサニエルという彼の
名前と、彼がかつて音楽の名門校・ジュリアード音楽院に通っていたことを知った。
ナサニエルは、統合失調症に罹り、ジュリアード音楽院をドロップアウトしていたのだ。
ナサニエルに接するうちに、何とかして彼の病気を治せないものかと悩み、さまざまな関係者に相談するロペス。同時に、数十年前の州の政策の弊害により、精神病棟
がクローズされ、患者らが街に放置されていることもわかった。
彼の病気は治らない。普段は天使のようなナサニエルは、突然悪魔に変貌する。振り回されるロペス。常に自問自答する。「自分がやっていることは、果たして本当に
ナサニエルのためになっているのだろうか?」
コラムニストと、ホームレスの音楽家。彼らの互いの人生を変えることになった出会いと友情、それは決して終わることのない、まったく先の見えない戦いでもあった
…。
- 本の長さ409ページ
- 言語日本語
- 出版社祥伝社
- 発売日2009/4/24
- ISBN-104396650434
- ISBN-13978-4396650438
商品の説明
著者について
STEVE ROPEZ スティーヴ・ロペス
『TIME』誌記者などを経て、『ロサンゼルス・タイムズ』記者、コラムニスト、作家。
これまで”Third and Indiana” “The Sunday Macaroni Club”“In the Clear”の三冊の小説を書いている。また、フィラデルフィア・インクワイアラー時代のコラムを集めた”Land of Giants”も出版している。ジャーナリストとして30年以上のキャリアがあり、『タイム・マガジン』や現在もコラムニストをしている『ロサンゼルス・タイムズ』を含む数々の新聞社での仕事に対し多数の賞を受賞している。
成人した息子が2人おり、現在は妻と娘と共にロサンゼルス在住。
『TIME』誌記者などを経て、『ロサンゼルス・タイムズ』記者、コラムニスト、作家。
これまで”Third and Indiana” “The Sunday Macaroni Club”“In the Clear”の三冊の小説を書いている。また、フィラデルフィア・インクワイアラー時代のコラムを集めた”Land of Giants”も出版している。ジャーナリストとして30年以上のキャリアがあり、『タイム・マガジン』や現在もコラムニストをしている『ロサンゼルス・タイムズ』を含む数々の新聞社での仕事に対し多数の賞を受賞している。
成人した息子が2人おり、現在は妻と娘と共にロサンゼルス在住。
登録情報
- 出版社 : 祥伝社 (2009/4/24)
- 発売日 : 2009/4/24
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 409ページ
- ISBN-10 : 4396650434
- ISBN-13 : 978-4396650438
- Amazon 売れ筋ランキング: - 965,349位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 116,911位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
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2009年7月28日に日本でレビュー済み
本書をもとにした映画が、ジェイミー・フォックス&ロバート・ダウニー・Jrの共演で公開されていた。映画の評判も良さそうだし、ロバート・ダウニー・Jrがまた頑張っているのかな、と気になりつつも未見ゆえ、本書をとりあえず読むことにした。
トンネルでバイオリンを演奏しているアフリカ系の男性が、実はジュリアードの出身で、その才能を認められ、ヨーヨー・マとも知り合いだが、統合失調症ゆえに今ではホームレスの路上演奏家というところがドラマティックで人を惹きつける。そこに目を付けたのがコラムニストの著者。
ちなみに著者のホームページを見ると60ミニッツで放映された、このナサニエルという音楽家の演奏風景や、著者本人、ナサニエルの妹ジェニファーなどが登場する。先にこちらを見て読むと、よりイメージが湧いたのだろうけれど、後だったので、頭には映画の2人のイメージで読んだ。
統合失調症がどういうものかよくは分からなかったが、ナサニエルが時々突然怒りを発したり、変化を非常に嫌ったりするあたりがそうかと想像できるくらいで、普段は普通に演奏して音楽を生きがいにしている。また著者も最初はコラムのネタとしてナサニエルに近づいたのだろうけれど、路上生活者の様子(ナサニエルと夜を過ごそうとした)やランプというホームレスを救済するコミュニティの活動を知り、また奥さんの弟も同じ病を抱えていたということから、ナサニエルと深くかかわるようになり、この2人がお互いに影響し合っていくところが興味をひく。
ただ、ナサニエルが完治するということはないので、この本を執筆して終わりとはなっていない。著者のまえがきでも今後も様子を見守る、としている。なので、途中読んでいても終わりなき状態が予想できて、正直しんどいところもあったが、それが現実だと思う。
まあ路上生活をやめたり、コンサートで演奏できるところがせめてもの救いだった。でも路上生活は本人はむしろそのほうが、楽器も盗まれないですむと言い、なかなかやめようとしなかったので、本当はそちらのほうが安心できたのだろうか?部屋に閉じ込められて嫌がったり、そのほうが誰かに物を盗まれる心配をしているのは病のせいなのか?本書によって、自分が常識だと思っていることが覆されるような考え方に遭遇させられた。
トンネルでバイオリンを演奏しているアフリカ系の男性が、実はジュリアードの出身で、その才能を認められ、ヨーヨー・マとも知り合いだが、統合失調症ゆえに今ではホームレスの路上演奏家というところがドラマティックで人を惹きつける。そこに目を付けたのがコラムニストの著者。
ちなみに著者のホームページを見ると60ミニッツで放映された、このナサニエルという音楽家の演奏風景や、著者本人、ナサニエルの妹ジェニファーなどが登場する。先にこちらを見て読むと、よりイメージが湧いたのだろうけれど、後だったので、頭には映画の2人のイメージで読んだ。
統合失調症がどういうものかよくは分からなかったが、ナサニエルが時々突然怒りを発したり、変化を非常に嫌ったりするあたりがそうかと想像できるくらいで、普段は普通に演奏して音楽を生きがいにしている。また著者も最初はコラムのネタとしてナサニエルに近づいたのだろうけれど、路上生活者の様子(ナサニエルと夜を過ごそうとした)やランプというホームレスを救済するコミュニティの活動を知り、また奥さんの弟も同じ病を抱えていたということから、ナサニエルと深くかかわるようになり、この2人がお互いに影響し合っていくところが興味をひく。
ただ、ナサニエルが完治するということはないので、この本を執筆して終わりとはなっていない。著者のまえがきでも今後も様子を見守る、としている。なので、途中読んでいても終わりなき状態が予想できて、正直しんどいところもあったが、それが現実だと思う。
まあ路上生活をやめたり、コンサートで演奏できるところがせめてもの救いだった。でも路上生活は本人はむしろそのほうが、楽器も盗まれないですむと言い、なかなかやめようとしなかったので、本当はそちらのほうが安心できたのだろうか?部屋に閉じ込められて嫌がったり、そのほうが誰かに物を盗まれる心配をしているのは病のせいなのか?本書によって、自分が常識だと思っていることが覆されるような考え方に遭遇させられた。
2009年6月6日に日本でレビュー済み
コラムニストであるロペスが、二本の弦のバイオリンで美しい音楽を奏でる路上生活者と出会います。
彼はナサニエルと言い、かつてジュリアード音楽院を統合失調症で中退した経歴を持っていました。
ロペスは、彼のことをコラムに書くことにより、彼を援助するようになります。
そこから、ロペスの苦悩とナサニエルの「気まぐれな」言動に翻弄され続ける援助活動が始まります。
実際にあった出来事だけに、ロペスの困惑ぶりがよく伝わってきます。
と同時に、統合失調症と言う病気の難しさも良く理解出来ます。
この話がハッピーエンドになる要因は、「音楽」と「友人」です。
「音楽」は、激するナサニエルの感情を鎮め安定させます。
「友人」と言う関係は、ナサニエルの心の支えとなり、彼の心を安定させます。
それにしても、統合失調症と言う病気の難しさをつくづく感じさせてくれた本でした。
彼はナサニエルと言い、かつてジュリアード音楽院を統合失調症で中退した経歴を持っていました。
ロペスは、彼のことをコラムに書くことにより、彼を援助するようになります。
そこから、ロペスの苦悩とナサニエルの「気まぐれな」言動に翻弄され続ける援助活動が始まります。
実際にあった出来事だけに、ロペスの困惑ぶりがよく伝わってきます。
と同時に、統合失調症と言う病気の難しさも良く理解出来ます。
この話がハッピーエンドになる要因は、「音楽」と「友人」です。
「音楽」は、激するナサニエルの感情を鎮め安定させます。
「友人」と言う関係は、ナサニエルの心の支えとなり、彼の心を安定させます。
それにしても、統合失調症と言う病気の難しさをつくづく感じさせてくれた本でした。
2016年10月3日に日本でレビュー済み
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最初良いだから非常に良いじゃなかったので期待してなかったのですが、とても綺麗でした!発送も早かったと思います!