本書は、日本・中国・朝鮮の知識人階級の比較分析を通じて、東アジア近代初期の多様な学・知のありようを明らかにする目的で編集されている。編者の意図は、非常にチャレンジングなものであり、編集方針は首肯し得るものである。しかしながら、著者と編者の意志疎通が疎かになっているのか、各章に収録されている日中朝の知識人が、なぜ比較対象となり得るのか、が必ずしも明確ではない。それゆえ、読み手としては、各章に挙げられた知識人たちを繋ぐ一本の筋道が分かりにくくなっているのが残念である。
とはいえ、それまで各国史別に分析されることが主流であった知識人たちを、一つの地域の中で比較分析する、という手法自体は斬新であり、一読する価値はある。
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