本書は、東漢(やまとのあや)氏、西漢(かわちのあや)氏、秦(はた)氏、西文(かわちのふみ)氏、難波吉士(なにわのきし)氏など、古代の有力な「渡来氏族」について書かれた書である。各種文献や考古学的成果を丹念に検証された労作で、有力な「渡来氏族」にはどんな氏族があったのか、その概要を知ることができた。が、「謎」が多すぎるためなのか、夫々の氏族に関して判明している断片的な情報が、著者の興味に従って単に羅列されているだけの印象があり、初学者が理解しやすい、例えば以下のような整理が為されていると、もっと良かっただろう。
1.いつ頃、どこから渡来した氏族なのか。
2.渡来する前の名前は何で、どんな地位にあり、どんな仕事をしていたのか。
3.渡来後は、どこに住み、誰に仕え、どんな仕事をしたのか。
4.渡来一世、及びその後の子孫の主な人物と夫々の事跡にはどのようなことがあったのか。
5.それはどんな史料にどのように記録されているのか。その言い伝えの真偽をどう考えるべきか。
6.考古学的な発見(墓や古墳など)との繋がりはどう考えられるのか。
7.その後のその氏族の盛衰の歴史はどうだったのか。現代にも続いているのか。
上記の項目に沿って、各氏族の何がわかっていて何がわかっていないのか、まずそれを明らかにして頂くと有難かった。その意味では、秦氏を扱った第三章が、情報量がもともと多いのか、上記の要領で纏められており、すっきりと読むことができた。
本書を初学者向きでなくしているもう一つの理由は、内容が専門的過ぎることにある。同時代の人物や文献、神社仏閣など古代史にかなり通じていて、奈良県をはじめ近畿地方の地理を熟知していないと、書いてあることにまずついて行けない。知っている歴史的人物もあまり登場せず(知っていたのは、東漢氏の一族である坂上田村麻呂くらいだった)、すべての章を高い集中力と好奇心をもって読み進めることが、正直非常に難かしい。相当の古代史通でないと、本書の真価がわからないということだろう。
それにしても。「渡来人」という言葉は、「帰化人」という言葉に既に馴染んでしまった私共の世代には、どうもしっくり来ない。「帰化」とは、もともと中華思想が基にあり、帰属すべき国家の存在と、移住者の自主的な帰属の意識が必要だ、というのが学会の定義のようである。大和朝廷成立前には国家などなかったのだから「帰化」にはならず、「渡来」が妥当だという訳である。本書の著者も、いろいろ議論があるのを知りつつ敢えて「渡来人」という言葉をお使いである。しかし、「帰化人」という言葉は古代から実際に使われていたものなのに、上記の定義は近年の歴史学者が勝手につくったものである。言葉も風習も異なる社会に入り、その文化に馴染んでそこに棲みつくのである。それを「渡来」という語で表すのが妥当なのか?そもそも「渡来人」という語感には、単に「日本にいる外国人」と言っているのと変わらない印象が拭えないのである。
それが「国家」かどうかは別にして、文化の異なる人間の社会には、それぞれ「インサイダー」と「アウトサイダー」がいる。「帰化」は、外から来た人が「インサイダー」になる現象、「渡来」は「アウトサイダー」のままでいる現象と整理したらどうだろうか。「インサイダー」になるとは、外から来た人が、その社会の文化・風習や人間の序列に従うことである。たとえば、15世紀以降アメリカ大陸に進出したヨーロッパ人は、「帰化人」ではなく「渡来人」だ。アメリカ先住民の文化・風俗には従わず、先住民の視点からすれば、現在も「アウトサイダー」の儘である。しかし、古代日本人社会が「倭国」と呼ばれていた時代に、倭国に棲みついた外国人は「帰化人」である。言葉も変え、風俗も倭人に従うことによって、「倭国」という独自の文化を持つ社会の「インサイダー」になったのだ。本書に書かれた「渡来氏族」は紛れもない「インサイダー」であり、その意味では、古代からそう呼ばれてきたように、現代の私たちも「渡来人」ではなく「帰化人」と呼ぶべきだろうと思う。
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渡来氏族の謎(祥伝社新書) (祥伝社新書 510) 新書 – 2017/7/4
加藤 謙吉
(著)
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古代史のミッシングピースを埋める
四世紀末から七世紀後半にかけて、大陸・朝鮮半島から日本列島に移住した渡来人。その有力集団は「ウヂ」を名乗り、大和政権に奉仕した。
大和政権は最先端の技術・知識・文化を有した彼らを積極的に登用、やがて律令国家が形成された。渡来氏族はまさに古代国家形成の立役者であったが、
その功績はもちろん、存在すら明らかでないものも多い。彼らが出自や移住の経緯を改め、さらに政治の表舞台に上がることが少なかったからだ。
東漢氏、西漢氏、秦氏、西文氏、難波吉士氏など、氏族ごとに職掌から盛衰までを追い、謎に包まれた実像に迫る。
<目次>
序 章 渡来氏族とは何か
第一章 東漢(やまとのあや)氏
第二章 西漢(かわちのあや)氏
第三章 秦(はた)氏
第四章 西文(かわちのふみ)氏とフミヒト系氏族
第五章 難波吉士(なにわのきし)氏
終 章 その後の渡来氏族
四世紀末から七世紀後半にかけて、大陸・朝鮮半島から日本列島に移住した渡来人。その有力集団は「ウヂ」を名乗り、大和政権に奉仕した。
大和政権は最先端の技術・知識・文化を有した彼らを積極的に登用、やがて律令国家が形成された。渡来氏族はまさに古代国家形成の立役者であったが、
その功績はもちろん、存在すら明らかでないものも多い。彼らが出自や移住の経緯を改め、さらに政治の表舞台に上がることが少なかったからだ。
東漢氏、西漢氏、秦氏、西文氏、難波吉士氏など、氏族ごとに職掌から盛衰までを追い、謎に包まれた実像に迫る。
<目次>
序 章 渡来氏族とは何か
第一章 東漢(やまとのあや)氏
第二章 西漢(かわちのあや)氏
第三章 秦(はた)氏
第四章 西文(かわちのふみ)氏とフミヒト系氏族
第五章 難波吉士(なにわのきし)氏
終 章 その後の渡来氏族
- 本の長さ320ページ
- 言語日本語
- 出版社祥伝社
- 発売日2017/7/4
- ISBN-104396115105
- ISBN-13978-4396115104
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商品の説明
著者について
加藤謙吉(かとう けんきち)
歴史学者、博士(文学)。1948年、三重県生まれ。1970年、早稲田大学第一文学部史学科卒業。1976年、同大学院文学研究科博士課程単位取得退学。
共立女子第二中学校・高等学校教諭、早稲田大学講師を経て、現在、成城大学・中央大学講師。専門は日本古代史、特に氏族研究。
著書に『蘇我氏と大和王権』『大和政権と古代氏族』『秦氏とその民』『吉士と西漢氏』『大和政権とフミヒト制』など。
歴史学者、博士(文学)。1948年、三重県生まれ。1970年、早稲田大学第一文学部史学科卒業。1976年、同大学院文学研究科博士課程単位取得退学。
共立女子第二中学校・高等学校教諭、早稲田大学講師を経て、現在、成城大学・中央大学講師。専門は日本古代史、特に氏族研究。
著書に『蘇我氏と大和王権』『大和政権と古代氏族』『秦氏とその民』『吉士と西漢氏』『大和政権とフミヒト制』など。
登録情報
- 出版社 : 祥伝社 (2017/7/4)
- 発売日 : 2017/7/4
- 言語 : 日本語
- 新書 : 320ページ
- ISBN-10 : 4396115105
- ISBN-13 : 978-4396115104
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2019年5月11日に日本でレビュー済み
2020年2月12日に日本でレビュー済み
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渡来人の渡来時期を史実+創造推理をうまく繋げて、4~5世紀の歴史空白をある程度埋めて欲しいと、購入したが、やはり、記載のウエイトが6~7世紀に偏っているのが不満であるが、素人にとっては、しらないことを多々教えて貰いありがたい書籍であった
2019年3月22日に日本でレビュー済み
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倭国における渡来人に関する分析。
東漢氏、西漢氏、秦氏、西文氏、難波吉士氏などだ。
古代の文献、古墳、発掘物などから丹念に渡来人の足跡とその立ち位置、功績などをひも解いていく。
勉強になります。
しかし渡来人とはなんぞや。
僕にとっての生半可な知識では単なる朝鮮人というわけではなく、漢人なんかも含まれていたはずだと思っているので、もっとの深堀が贅沢ですが欲しかった。
でも倭国成立までに渡来人の果たした役割の重要性を語る良い本だと思いました。
東漢氏、西漢氏、秦氏、西文氏、難波吉士氏などだ。
古代の文献、古墳、発掘物などから丹念に渡来人の足跡とその立ち位置、功績などをひも解いていく。
勉強になります。
しかし渡来人とはなんぞや。
僕にとっての生半可な知識では単なる朝鮮人というわけではなく、漢人なんかも含まれていたはずだと思っているので、もっとの深堀が贅沢ですが欲しかった。
でも倭国成立までに渡来人の果たした役割の重要性を語る良い本だと思いました。
2017年7月24日に日本でレビュー済み
氏族の研究にとって欠かせない史料として「新撰姓氏録」があるらしい。広辞苑にも大辞林にも見出しとして採用されている。本書はその文献を基礎に他の文献と比較照合を経て著者の推理も含めて渡来氏族について整理されている。なによりも特徴と思われるのは著者の丹念な検証過程がそのままといって詳細さを伴って披露されていることである。
ところが、この詳しいということが私にとっては煩雑であるという印象を残してしまった。私が求めていたのはもっと要約された内容だった。たとえばいつどこから来てどういう役割を果たしていたのかを知れば満足したのである。
本書の評価は読み手の関心領域と知識の深さによって様々な結果となると思われる。
ところが、この詳しいということが私にとっては煩雑であるという印象を残してしまった。私が求めていたのはもっと要約された内容だった。たとえばいつどこから来てどういう役割を果たしていたのかを知れば満足したのである。
本書の評価は読み手の関心領域と知識の深さによって様々な結果となると思われる。
2017年7月6日に日本でレビュー済み
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筆者は『はじめに』で、「渡来人」という言葉から、海外から日本列島に移住してきた人種的・民族的に異なる人々、というイメージを持たれる方が多いと思われるが、これは必ずしも正しい見方とは言えず、彼らはまぎれもなくわれわれの祖先であり、現在の日本人のほとんどが多少の差はあれ、何らかの形で渡来人の血を受け継いでいるとしている。しかし、そんな渡来人や渡来氏族のなかには全容がヴェールに覆われ、実態が杳としてつかめないものも多いとして、本書では代表的な渡来氏族を取り上げ、表面を覆う薄皮を一枚一枚剥ぐように丹念に検証を進め、彼らの正体を探る謎解きを行っていきたいと語っている。
筆者はまず序章で渡来氏族についの基礎知識を解説したうえで、第一章から第五章において、さまざまな古代の史料を掘り起こして、まさに薄皮を一枚一枚剥いでいくように実に丹念に、各渡来氏族の実態(母国、系譜関係、同族・配下集団及びその擬制的集団性、移住地、担っていた職務等)を解き明かしていっているのだが、名の知れた東漢(やまとのあや)氏や秦氏はともかく、代表的な渡来氏族とは言っても、一般には馴染みのない西漢(かわちのあや)氏、西文(かわちのふみ)氏とフミヒト系氏族、難波吉士(なにわのきし)氏の実態まで、新書本でこれほど詳細に知ることができるとは思っていなかった。
ただ、筆者は特に氏族研究を専門にしているというだけあって、本書では、非常に読みにくく、頭に入りにくい氏族名や人物の氏・姓・名が次から次へと大量に出てきて、それがどういう氏族・人物であったかを頭にとどめていないと、筆者の解説がしっかりと頭に入ってこないという面がある。さまざまな古代の史料から、これだけ詳細な研究結果を導き出して読者に提示してくれた労作には敬意を表する一方で、新書本らしく、もう少し、読みやすく、わかりやすい解説に努めてほしかったとの思いも感じてしまう本書だった。
筆者はまず序章で渡来氏族についの基礎知識を解説したうえで、第一章から第五章において、さまざまな古代の史料を掘り起こして、まさに薄皮を一枚一枚剥いでいくように実に丹念に、各渡来氏族の実態(母国、系譜関係、同族・配下集団及びその擬制的集団性、移住地、担っていた職務等)を解き明かしていっているのだが、名の知れた東漢(やまとのあや)氏や秦氏はともかく、代表的な渡来氏族とは言っても、一般には馴染みのない西漢(かわちのあや)氏、西文(かわちのふみ)氏とフミヒト系氏族、難波吉士(なにわのきし)氏の実態まで、新書本でこれほど詳細に知ることができるとは思っていなかった。
ただ、筆者は特に氏族研究を専門にしているというだけあって、本書では、非常に読みにくく、頭に入りにくい氏族名や人物の氏・姓・名が次から次へと大量に出てきて、それがどういう氏族・人物であったかを頭にとどめていないと、筆者の解説がしっかりと頭に入ってこないという面がある。さまざまな古代の史料から、これだけ詳細な研究結果を導き出して読者に提示してくれた労作には敬意を表する一方で、新書本らしく、もう少し、読みやすく、わかりやすい解説に努めてほしかったとの思いも感じてしまう本書だった。
2020年5月1日に日本でレビュー済み
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興味深く、飽きずに読めました
2018年12月14日に日本でレビュー済み
書名から関裕二さんの本みたいな内容を想像しましたが、全然違って、文献を丁寧に読みといた、ある意味論文や研究書のような本でした。秦氏や漢氏などは、知っている人名もありとっつきやすかったのですが、西文氏や吉士氏になるとかなり専門的な内容となり、自分のレベルでは文字を目で追っているだけで、内容が頭に入ってきません。信頼できる事実だけに基づき著者の考えが述べられていますが、「謎」というなら、天日槍や都怒我阿羅斯等の伝承についても触れてほしかったと思います。そういう意味では、同じようなテーマで書かれた上田正昭さんの「渡来の古代史/角川選書」の方が楽しく読めました。
2018年3月31日に日本でレビュー済み
読みやすいかといえば、決して読みやすいとはいえない本である。馴染みのない人名・地名が多数出てくる。
東漢(やまとのあや)氏、西漢(かわちのあや)氏、秦(はた)氏、西文(かわちのふみ)氏、難波吉士(なにわのきし)氏、自分の実力では秦氏以外はフリガナがないと読めない。
しかし、面白い本である。
渡来氏族の移住は4世紀末から7世紀後半の約300年あまりの間に行われ、3回の大きな波があった。
◾️4世紀末〜5世紀初頭 倭が建国間もない百済と連携し、南下した高句麗と激突した時期
◾️5世紀後半〜6世紀初頭 475年高句麗の長寿王により、百済が一時的に滅亡した時期
◾️7世紀後半 663年に白村江の戦いで倭が惨敗し、668年に唐・新羅により高句麗が滅亡した時期
移住の経緯は、大きく3つ、
◾️政治的亡命
◾️朝鮮諸国の王から大和政権の大王(王)に「贈与」
◾️戦時の「俘虜の拉致」
であったようだ。
代表的な渡来氏族である東漢氏は、大王宮が磐余(いわれ)や磯城(しき)に定着する5世紀後半から末に、檜前(ひのくま)の地に安置された安羅(あら)系の諸集団が、王権への職務奉仕を前提として擬似的に作り上げた同族集団であり、
とりわけ軍事力に優れ平安期に到るまで長く軍事氏としての伝統を保持した。東漢氏の族長の地位を占めた坂上(さかのうえ)氏は、征夷大将軍坂上田村麻呂が有名。
筆者は、「渡来人は、まぎれもなくわれわれの祖先である」といいきる。
さらに「渡来人がもたらした多様な生産技術・学識・文化は当時の最先端であり、それらを導入することで日本の社会は飛躍的な進歩を遂げた」と説明する。
文書行政を前提とした外交と内政を推進する実務者としてフミヒトの存在が必要とされたとしており、藤原氏の実質的家祖である藤原不比等(ふひと)とフミヒトの関係が詳しく描かれている第四章「西文(かわちのふみ)氏とフミヒト系氏族」も興味深い。読むのにやや骨が折れるがお薦めの一冊である。
東漢(やまとのあや)氏、西漢(かわちのあや)氏、秦(はた)氏、西文(かわちのふみ)氏、難波吉士(なにわのきし)氏、自分の実力では秦氏以外はフリガナがないと読めない。
しかし、面白い本である。
渡来氏族の移住は4世紀末から7世紀後半の約300年あまりの間に行われ、3回の大きな波があった。
◾️4世紀末〜5世紀初頭 倭が建国間もない百済と連携し、南下した高句麗と激突した時期
◾️5世紀後半〜6世紀初頭 475年高句麗の長寿王により、百済が一時的に滅亡した時期
◾️7世紀後半 663年に白村江の戦いで倭が惨敗し、668年に唐・新羅により高句麗が滅亡した時期
移住の経緯は、大きく3つ、
◾️政治的亡命
◾️朝鮮諸国の王から大和政権の大王(王)に「贈与」
◾️戦時の「俘虜の拉致」
であったようだ。
代表的な渡来氏族である東漢氏は、大王宮が磐余(いわれ)や磯城(しき)に定着する5世紀後半から末に、檜前(ひのくま)の地に安置された安羅(あら)系の諸集団が、王権への職務奉仕を前提として擬似的に作り上げた同族集団であり、
とりわけ軍事力に優れ平安期に到るまで長く軍事氏としての伝統を保持した。東漢氏の族長の地位を占めた坂上(さかのうえ)氏は、征夷大将軍坂上田村麻呂が有名。
筆者は、「渡来人は、まぎれもなくわれわれの祖先である」といいきる。
さらに「渡来人がもたらした多様な生産技術・学識・文化は当時の最先端であり、それらを導入することで日本の社会は飛躍的な進歩を遂げた」と説明する。
文書行政を前提とした外交と内政を推進する実務者としてフミヒトの存在が必要とされたとしており、藤原氏の実質的家祖である藤原不比等(ふひと)とフミヒトの関係が詳しく描かれている第四章「西文(かわちのふみ)氏とフミヒト系氏族」も興味深い。読むのにやや骨が折れるがお薦めの一冊である。