洋画ファンだった私が、小学校から高校まで欠かさず読んでいた映画専門誌「SCREEN」。
毎月21日になると、胸を躍らせて近所の書店に足を運んでいたのを今でも想い出します。
その記事の中で氏が執筆されていた「鑑賞てびき」は、当時映画を選ぶ際の舵取りとなって
くれたと同時に、映画評論とは映画を通して評論家個人の社会観や人生観等を語ることだと
いうことを、私に教えてくれました。
この本は、その「鑑賞てびき」を年代順に纏めてくれた嬉しい一冊です。掲載されている映画は、
1950年代から1980年代の28本の名作や話題作と呼ばれた作品で、洋画の変遷を辿りなが
ら氏の名文が堪能できます。
ページ数の都合もあったのでしょうか、個人的には特に名文と思う「さすらいのカウボーイ」、
「スケアクロウ」、「ナッシュビル」の3作品が抜けたのは残念ですが、事物への深い造詣に
培われた氏の論評を読むと、この本に取り上げられている作品が再度見たくなると思います。

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映画批評真剣勝負 ぼくが映画に夢中になった日々《作品鑑賞篇》 (SCREEN新書) 新書 – 2012/2/27
荻 昌弘
(著)
1988年六十二歳で亡くなった荻昌弘さんは、映画評論家としてばかりでなく、グルメ、あるいはオーディオについても深い造詣を持った方でした。今回は長らく絶版になっていいた荻さんの評論集から、作品についての鑑賞・批評を新書として一冊にまとめました。荻さんの名文といっても過言ではない、その見事な文章を心ゆくまで味わって下さい。
- 本の長さ279ページ
- 言語日本語
- 出版社近代映画社
- 発売日2012/2/27
- ISBN-104764823527
- ISBN-13978-4764823525
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登録情報
- 出版社 : 近代映画社 (2012/2/27)
- 発売日 : 2012/2/27
- 言語 : 日本語
- 新書 : 279ページ
- ISBN-10 : 4764823527
- ISBN-13 : 978-4764823525
- Amazon 売れ筋ランキング: - 971,246位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 18位SCREEN新書
- - 4,957位映画 (本)
- - 113,326位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2013年6月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2017年8月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
メジャータイトルばかりで構成されているので、マイナー編も読みたいとおもいます。
2013年6月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
映画論篇と併せてオススメです。
1950年代と80年代から取り上げられた作品が少なくちょっぴり寂しいです。
1950年代と80年代から取り上げられた作品が少なくちょっぴり寂しいです。
2012年6月23日に日本でレビュー済み
70〜80年代はTV吹き替え洋画劇場の全盛期だったと思うが、一番人気の淀川長治氏とは
また違った個性で、映画の見方を示唆してくれたのは荻昌弘氏だった。一見地味だが、
深い教養と鋭い知性、文学的とも言える豊かな感性に裏打ちされた、真剣で熱い語り口に
つい引き込まれたものだ。
この本でも、彼の映画批評の姿勢がその文体から伝わってくる。
たとえば、メルヴィル監督、ドロン主演のフィルムノワールの傑作「サムライ」の一節:
「全編を通して、映像が私たちに囁くのは、灰色の泥絵具を夕暮れの雨で
にじませたデスぺレイトな冷たいほの暗さである。言うまでもなくそれは
ジェフ自身の心底。」
また女性監督カヴァーニの代表作「愛の嵐」では:
「ヨーロッパの静かなまちの美しい秩序には・・夢魔のような怨念と追懐の愛憎が
こもっている。だからこそ美しいのだ。昔をすぐ忘れてしまう民族には、それは
決して持てない執念の美しさなのだ。この映画は、そういうヨーロッパの生を、
エロスという、のっぴきならない女と男の本質で、ウィーンに描き出した、
どうしようもないくらい、めめしい女の映画である。」
最後に、コッポラの問題作「地獄の黙示録」より:
「十機近いヘリが大空を天翔る映像。その無重力の浮遊も、黒く無機質な機首の
オカルト的な金属音も、すべてが、自然主義を離陸し、幻への飛翔を啓示して
ゆく・・・コッポラが凝視し思念するのは、戦争という信じがたい人間の狂気
であると同時に、むしろ憎むにはあまりに魅惑的でありすぎるその毒性の見事
さなのである。」
また違った個性で、映画の見方を示唆してくれたのは荻昌弘氏だった。一見地味だが、
深い教養と鋭い知性、文学的とも言える豊かな感性に裏打ちされた、真剣で熱い語り口に
つい引き込まれたものだ。
この本でも、彼の映画批評の姿勢がその文体から伝わってくる。
たとえば、メルヴィル監督、ドロン主演のフィルムノワールの傑作「サムライ」の一節:
「全編を通して、映像が私たちに囁くのは、灰色の泥絵具を夕暮れの雨で
にじませたデスぺレイトな冷たいほの暗さである。言うまでもなくそれは
ジェフ自身の心底。」
また女性監督カヴァーニの代表作「愛の嵐」では:
「ヨーロッパの静かなまちの美しい秩序には・・夢魔のような怨念と追懐の愛憎が
こもっている。だからこそ美しいのだ。昔をすぐ忘れてしまう民族には、それは
決して持てない執念の美しさなのだ。この映画は、そういうヨーロッパの生を、
エロスという、のっぴきならない女と男の本質で、ウィーンに描き出した、
どうしようもないくらい、めめしい女の映画である。」
最後に、コッポラの問題作「地獄の黙示録」より:
「十機近いヘリが大空を天翔る映像。その無重力の浮遊も、黒く無機質な機首の
オカルト的な金属音も、すべてが、自然主義を離陸し、幻への飛翔を啓示して
ゆく・・・コッポラが凝視し思念するのは、戦争という信じがたい人間の狂気
であると同時に、むしろ憎むにはあまりに魅惑的でありすぎるその毒性の見事
さなのである。」
2013年4月3日に日本でレビュー済み
「映画から何かを学ぶなんてバカバカしい。
だったら本を読め。映画なんてただのご楽だ」
作品の中でそう言い切った漫画家がいました。
そうでしょうか?
ボクはソ連のポーランド進行やアメリカの赤狩りを
映画を通して学びました。
ちがう国で、ちがう宗教を信じて、
ちがう思想に縛られて生きる人々を
受け入れることを学ぶ機会を与えてくれたのが
荻昌弘さんでした。
間違いなく、知性と教養の人だったのに、
道理を通すようなことのない人でした。
ハリウッド映画を馬鹿にすることも、
アニメを無視することも、しませんでした。
『チャップリンの殺人狂時代』のラスト
死刑執行に向かう主人公が、
一度は断ったシェリー酒を、なぜ飲むことにしたのか
「若い頃の私には、わからなかった。
でも、今ならわかるような気がします」
そんな解説で、大人になるって素敵だなと、
ボクに思わせてくれました。
昨今はサブカルチャーの視点から映画を語ることが
主流になっていますが、
(そっちも大好きですけどね)
映画の文化的な位置づけを的確に批評できる人でした。
この本を読むと映画の見方が変わります。
あなたが映画が好きで、荻昌弘を知らないのなら
読むべき1冊です。
PS
淀川長治みたいに『月曜ロードショー』の
DVDを出してもらえないでしょうかねえ。
だったら本を読め。映画なんてただのご楽だ」
作品の中でそう言い切った漫画家がいました。
そうでしょうか?
ボクはソ連のポーランド進行やアメリカの赤狩りを
映画を通して学びました。
ちがう国で、ちがう宗教を信じて、
ちがう思想に縛られて生きる人々を
受け入れることを学ぶ機会を与えてくれたのが
荻昌弘さんでした。
間違いなく、知性と教養の人だったのに、
道理を通すようなことのない人でした。
ハリウッド映画を馬鹿にすることも、
アニメを無視することも、しませんでした。
『チャップリンの殺人狂時代』のラスト
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一度は断ったシェリー酒を、なぜ飲むことにしたのか
「若い頃の私には、わからなかった。
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ボクに思わせてくれました。
昨今はサブカルチャーの視点から映画を語ることが
主流になっていますが、
(そっちも大好きですけどね)
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PS
淀川長治みたいに『月曜ロードショー』の
DVDを出してもらえないでしょうかねえ。