他の方のレビューや第一章を読んだあたりで、この本はかなりバイアスがかかっているのかと
少し心配になりましたが、通しで読んでみると様々な立場の資料を参照にした分かりやすい良書でした。
元寇が室町時代の出来事だとは書かれていません。ただ残念なのは、肝心の戦闘の
様子が結果だけであっさりと流されている点でしょうか。当時の東アジアの海戦のやり方など
もっと詳しく知りたかったのですが。

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文禄・慶長の役: 空虚なる御陣 (講談社学術文庫 1541) 文庫 – 2002/4/1
上垣外 憲一
(著)
秀吉の朝鮮出兵はなぜ行われ、何を残したのか。日朝双方の史料の緻密な読み込みを通して鮮やかに描き出される、戦いにいたる交渉過程と苛烈な戦闘、戦後処理の実状。そして、戦火と蛮行のはてに人々が見出した、友好の懸け橋・朱子学の可能性とは。近現代の日韓関係にまで影を落とす「空虚」な戦争を、東アジア史の視座から問いなおす壮大な試み。
- 本の長さ221ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2002/4/1
- ISBN-104061595415
- ISBN-13978-4061595415
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商品の説明
著者について
■上垣外憲一(かみがいとけんいち)
1948年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。専攻は比較文化。国際日本文化研究センター助教授を経て、現在、帝塚山学院大学教授。著書に『日本留学と革命運動』『雨森芳洲』『「鎖国」の比較文明論』『聖徳太子と鉄の王朝』『ある明治人の朝鮮観』『日本文化交流小史』『暗殺・伊藤博文』など。
1948年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。専攻は比較文化。国際日本文化研究センター助教授を経て、現在、帝塚山学院大学教授。著書に『日本留学と革命運動』『雨森芳洲』『「鎖国」の比較文明論』『聖徳太子と鉄の王朝』『ある明治人の朝鮮観』『日本文化交流小史』『暗殺・伊藤博文』など。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2024年3月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
戦記物ではありません。秀吉の朝鮮出兵を私たちは日本史でエピソード程度に習いますが、どこかに他人ごと意識がありました。明国・李氏朝鮮にとって非常に重大な戦争だったことを知りました。秀吉の誇大妄想とか国内統一の手段として語られますが全く酷いことをやらかしたものだと思う。伊藤さんや秀のつく名前の人は韓国駐在を避けるなどという影響は最近まで残っていました。今はどうか知りませんが・・・
全く大義名分のない『空虚なる御陣』とはよく云ったものです。日本史の一部としてでなく、朝鮮半島の人々の側から見る視点は重要だと思います
全く大義名分のない『空虚なる御陣』とはよく云ったものです。日本史の一部としてでなく、朝鮮半島の人々の側から見る視点は重要だと思います
2010年11月27日に日本でレビュー済み
文禄・慶長の役については、北島万次氏の著書などいくつかがありますが、本書はもっともコンパクトで明快な説明がなされているという点で一番におすすめします。
さて、まずは他の方が言及されているバイアスについて。確かにあまりに現代からの視点に偏っているかな、という印象を受けました。秀吉が西国を攻めた延長としてしか明・朝鮮攻めを捉えていなかったとありますが、それは致し方のないことでしょう。当時の国家はエトニ(民族の集まり)であるのにネイション(国民国家)と混同している印象を受けました。
『武功夜話』を引用しているのは実際に現場で何があったのかをオーラルヒストリー的に語ろうとしたものと受け止めているので、私は気になりませんでした。
評価についてはともかく、事実の経過については、要を得てかつ双方に目配りした記述をしているので、心配無用です。
本書で色々なことがわかりました。朝鮮・明側では李舜臣が有名ですが、その他の活躍した人を挙げようとしても誰もいないこと。本当に李舜臣一人無双状態です。
戦術面については、日本側は鉄砲の優位がありましたが、朝鮮・明側は大砲(重火器)や造船技術で日本を圧倒していたのです。
文禄・慶長の役について知りたい方にはオススメの一冊です。
さて、まずは他の方が言及されているバイアスについて。確かにあまりに現代からの視点に偏っているかな、という印象を受けました。秀吉が西国を攻めた延長としてしか明・朝鮮攻めを捉えていなかったとありますが、それは致し方のないことでしょう。当時の国家はエトニ(民族の集まり)であるのにネイション(国民国家)と混同している印象を受けました。
『武功夜話』を引用しているのは実際に現場で何があったのかをオーラルヒストリー的に語ろうとしたものと受け止めているので、私は気になりませんでした。
評価についてはともかく、事実の経過については、要を得てかつ双方に目配りした記述をしているので、心配無用です。
本書で色々なことがわかりました。朝鮮・明側では李舜臣が有名ですが、その他の活躍した人を挙げようとしても誰もいないこと。本当に李舜臣一人無双状態です。
戦術面については、日本側は鉄砲の優位がありましたが、朝鮮・明側は大砲(重火器)や造船技術で日本を圧倒していたのです。
文禄・慶長の役について知りたい方にはオススメの一冊です。
2006年9月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本人は華やかで明るい秀吉が大好きで、関白秀次事件とともに言わば太閤記のダークサイドとでも言うべき文禄・慶長の役はあまり興味を持たないのかと感じます。しかしこれは実質的に日本国家における最初の外国への侵略戦争であり、現代の日韓、日中関係を考える上でももっと研究されるべきテーマであると考えます。本書で特に興味深かったのは対馬・宗氏の役回りについての記述で、二国間の狭間でギリギリの生存をする為に問題を先送りし続ける弱者の悲痛が、やがて巨大な悲劇に繋がっていく経緯は非常に判りやすいです。また急成長した豊臣家は走り続けなければその平衡を保てない姿は、カリスマ創業社長が一代で築いた大企業のようで、現代の企業論にも通じると感じます。
2007年6月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は、文民統制を至上と位置づけながらも、変化できない官僚制を批判し、結果として韓国・朝鮮人がなぜ日本人を嫌うかという問題に一つの回答を与えています。
既に、イザベラバートの朝鮮紀行を読めば、日本の支配以前の朝鮮が日本人を嫌悪していたことが読みとれますが、この朝鮮出兵にどうやらその濫觴があるように考えられます。
明の属領から清の属領へ、そして、再び大中華の一角に戻ってしまうのでしょうか?
過度の官僚制が変化を嫌い、有事には対応できない、それがよく分かります。
既に、イザベラバートの朝鮮紀行を読めば、日本の支配以前の朝鮮が日本人を嫌悪していたことが読みとれますが、この朝鮮出兵にどうやらその濫觴があるように考えられます。
明の属領から清の属領へ、そして、再び大中華の一角に戻ってしまうのでしょうか?
過度の官僚制が変化を嫌い、有事には対応できない、それがよく分かります。
2011年4月18日に日本でレビュー済み
著者は『倭人と韓人』講談社学術文庫など、まとめるのがうまい。それゆえ、学校の教科書でも背景や文脈をきちんと教えることもない文禄・慶長の役について基本的な知識を俯瞰している、とはいえる。
しかしながら、東アジア史の観点から日本史をはじめ見直す動きは現在、もはや常識となっている。著者が80年代から90年代にかけてそうした歴史観を改編していったことに寄与したことはたしかであるが、しかし本書は原著が1989年のものという点を考慮しても、普遍的な価値を有した研究書とはとうていいえるものではない。それにそもそも著者は比較文学者であり、厳密な歴史学的な査読を経たものでもない。
そのような意味で、もはや前時代の遺物である。
本書をよんで隔靴掻痒の感想をいだくひとも多いだろう。そういうひとのためには、中野等『文禄・慶長の役』戦争の日本史16、吉川弘文館、2008年が推薦できる。
しかしながら、東アジア史の観点から日本史をはじめ見直す動きは現在、もはや常識となっている。著者が80年代から90年代にかけてそうした歴史観を改編していったことに寄与したことはたしかであるが、しかし本書は原著が1989年のものという点を考慮しても、普遍的な価値を有した研究書とはとうていいえるものではない。それにそもそも著者は比較文学者であり、厳密な歴史学的な査読を経たものでもない。
そのような意味で、もはや前時代の遺物である。
本書をよんで隔靴掻痒の感想をいだくひとも多いだろう。そういうひとのためには、中野等『文禄・慶長の役』戦争の日本史16、吉川弘文館、2008年が推薦できる。
2004年7月26日に日本でレビュー済み
歴史の教科書に必ず登場することもあり、普通の日本人で「太閤秀吉の朝鮮出兵」というのを聞いたことがない人というのは珍しいだろうと思います。しかしながら、何故この不幸な戦争を避け得なかったのか、一体この戦争は何をもたらしたのか、そうしたことについて、一体如何ほどの日本人が思いを致したことでしょうか。
正直に言って、小生もそこいら辺のところは全くと言ってよいほど考えたことがなく、「メガロマニアック化したワンマン社長が、おかしな事業に手を出して火傷した」くらいの認識でした。この本を手にしたのも、16世紀末という世界史的背景の中での日本の姿をもう少しはっきりとイメージ・アップしたいというだけの動機からでした。
ところが、読んでみて「目から鱗」というのは本当にあるもので、これまで省みることの少なかったこの出来事が、その当時の歴史にとって如何に大きなインパクトをもたらしたか、人々の生活に如何に破滅的な不幸をもたらしたか、いまさらながらに認識を新たにしました。
とはいえ、本書は、イデオロギー的に特別の立場から書かれたものではありません。著者は比較文化の専門家で、特定の国や人の視点に偏ることなく、たいへん広い視野の下、客観的な語り口で史実が展開していきます。淡々としたスタンスでありながら、これほど深い読後感を与えるのは、著者のインプリケーションに富んだ視覚と、やはり事件それ自体が持つ迫力が然らしめるのでしょうか。
日韓関係・日朝関係の来し方行く末など、いろんなことを感じさせられました。
正直に言って、小生もそこいら辺のところは全くと言ってよいほど考えたことがなく、「メガロマニアック化したワンマン社長が、おかしな事業に手を出して火傷した」くらいの認識でした。この本を手にしたのも、16世紀末という世界史的背景の中での日本の姿をもう少しはっきりとイメージ・アップしたいというだけの動機からでした。
ところが、読んでみて「目から鱗」というのは本当にあるもので、これまで省みることの少なかったこの出来事が、その当時の歴史にとって如何に大きなインパクトをもたらしたか、人々の生活に如何に破滅的な不幸をもたらしたか、いまさらながらに認識を新たにしました。
とはいえ、本書は、イデオロギー的に特別の立場から書かれたものではありません。著者は比較文化の専門家で、特定の国や人の視点に偏ることなく、たいへん広い視野の下、客観的な語り口で史実が展開していきます。淡々としたスタンスでありながら、これほど深い読後感を与えるのは、著者のインプリケーションに富んだ視覚と、やはり事件それ自体が持つ迫力が然らしめるのでしょうか。
日韓関係・日朝関係の来し方行く末など、いろんなことを感じさせられました。
2009年10月3日に日本でレビュー済み
豊臣秀吉の朝鮮侵略をコンパクトに書いておりわかりやすい。ただ、コンパクトなこともあって朝鮮の政治制度や朱子学のとらえ方がやや図式的だと思う。実態はもっと複雑だと思う。
日本と朝鮮がともに互いの実情を知らず、かつ知ろうともせず、自分たちの思考・行動パターンを押し付けあって大きな災厄をもたらしたことは悲しいことであるし、教訓としなければならないところだと思う。
また、儒教や朱子学を外交のための思想とするのは面白い。この点はもっと研究すべき分野の気がする。
秀吉が漢字を読めなかったということは初めて知った。
日本と朝鮮がともに互いの実情を知らず、かつ知ろうともせず、自分たちの思考・行動パターンを押し付けあって大きな災厄をもたらしたことは悲しいことであるし、教訓としなければならないところだと思う。
また、儒教や朱子学を外交のための思想とするのは面白い。この点はもっと研究すべき分野の気がする。
秀吉が漢字を読めなかったということは初めて知った。