(1)私は、道路公団民営化委員会の経緯を新聞で読んでいた程度であり、あまり理解していなかった(特に猪瀬委員の行動や発言をどう解釈すればいいのかという点について)が、この本を読んで、7人の委員それぞれがどのような考え方のもとに行動したかがよくわかった。
(2)改題前のタイトルが「権力の道化」であったことでわかるように、猪瀬委員がどんな役回りを演じ、いかに改革の方向をゆがめていったかを「これでもか」とばかりに書き込んでいる。1つ1つの猪瀬氏の主張に対して、丹念に執念をもって論破するのは興味深い。しかし、その反面、余りにもこの記述が多くウンザリもする。
(3)もう少し、それぞれの民営化案の長所・短所の解説があればよかったと思う。また、公団の経理方式や「このままいくと収支や経営はどうなるか」の客観的な解説も欲しい。
(4)以上を総合すると、本書は、猪瀬氏をやりこめるために書いた本とさえ言えるものであり、道路改革の方向性を客観的に分析しようとした本ではない。私は興味深く読んだが、不満や不快感を感じる人も多いのではないかと思う。

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改革の虚像: 裏切りの道路公団民営化 (新潮文庫 さ 41-6) 文庫 – 2006/10/1
櫻井 よしこ
(著)
- 本の長さ277ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2006/10/1
- ISBN-104101272263
- ISBN-13978-4101272269
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著者について
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ベトナム生まれ。ハワイ州立大学歴史学部卒業。「クリスチャン・サイエンス・モニター」紙東京支局員、アジア新聞財団「DEPTH NEWS」記者、同東京支局長、日本テレビ・ニュースキャスターを経て、現在はフリー・ジャーナリスト。1995年に『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』(中公文庫)で第26回大宅壮一ノンフィクション賞、98年には『日本の危機』(新潮文庫)などで第46回菊池寛賞を受賞。2007年 12月「国家基本問題研究所」を設立し理事長に就任(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 日本を愛すればこそ、警鐘を鳴らす―論戦2010 (ISBN-13: 978-4478013793 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
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2011年2月16日に日本でレビュー済み
2010年,40兆円の借金は30兆円になった.
道路公団民営化後5年間で10兆円も返済した.
経営は順調といえる.
道路の維持管理費も6千億円から4千億円に下げられた.
SAPAのサービスも以前より良くなった.
改革は改悪であり,上下分離案では借金は返せず,必ず破綻する,と著者は断言するが,今のところその影は見えない.
時が経って,改めてこの本を読んでみると,ひどいものである.
こんなものを読んで喜ぶ人間は,よほどの猪瀬アレルギーを持つ者だろう.
純粋に真偽を見極めたい目的で,「道路の決着」(猪瀬直樹)と読み比べてみたが,嫌気が刺してくる.
目的と無関係な感情論が多すぎるのだ.
櫻井よしこは,薬害エイズや北朝鮮問題など,白黒がはっきりしている場合,圧倒的な説得力と迫力を持った文章で迫ってくるが,白黒の微妙な本件のような問題になると,強引なトゲトゲしさが目立つ.
短絡的に猪瀬直樹にさまざまなレッテルを貼るが,その指摘によって何を証明したいのか,よく見えない.
猪瀬を「ぼくちゃん」呼ばわりして幼児性を強調するが,櫻井よしこにこそ幼児性を感じた読者は少なくないだろう.
本書は「我が天敵・猪瀬直樹の化けの皮」とでも題打つべきだった.
著者は,猪瀬直樹に「捏造」を糾弾されたのがよほど悔しかったのだろうか.
本書で「道路の権力」には猪瀬直樹の捏造が溢れている,とやり返すが,何例か挙げるそのくだりを数回読んでも,捏造の確たる証拠はないし,どうも捏造と言うには無理を感じる.
しかし,櫻井よしこの方は,第3者の作成した,日付の異なる議事録の文面をつなぎ合わせ,存在しない場面の存在しない物語を作りあげ,イメージを操作してしまった.
意図したかどうかはさておき,異論の出ない致命的「捏造」だ.
民営化における委員会(猪瀬直樹)の選択が正しかったか否か,今もって私には分からない.
しかし,借金を税金なしで返済できれば,多くの批判は当たらなかったことになる.
今のところ,猪瀬直樹に有利な雲行きだ.
道路公団民営化後5年間で10兆円も返済した.
経営は順調といえる.
道路の維持管理費も6千億円から4千億円に下げられた.
SAPAのサービスも以前より良くなった.
改革は改悪であり,上下分離案では借金は返せず,必ず破綻する,と著者は断言するが,今のところその影は見えない.
時が経って,改めてこの本を読んでみると,ひどいものである.
こんなものを読んで喜ぶ人間は,よほどの猪瀬アレルギーを持つ者だろう.
純粋に真偽を見極めたい目的で,「道路の決着」(猪瀬直樹)と読み比べてみたが,嫌気が刺してくる.
目的と無関係な感情論が多すぎるのだ.
櫻井よしこは,薬害エイズや北朝鮮問題など,白黒がはっきりしている場合,圧倒的な説得力と迫力を持った文章で迫ってくるが,白黒の微妙な本件のような問題になると,強引なトゲトゲしさが目立つ.
短絡的に猪瀬直樹にさまざまなレッテルを貼るが,その指摘によって何を証明したいのか,よく見えない.
猪瀬を「ぼくちゃん」呼ばわりして幼児性を強調するが,櫻井よしこにこそ幼児性を感じた読者は少なくないだろう.
本書は「我が天敵・猪瀬直樹の化けの皮」とでも題打つべきだった.
著者は,猪瀬直樹に「捏造」を糾弾されたのがよほど悔しかったのだろうか.
本書で「道路の権力」には猪瀬直樹の捏造が溢れている,とやり返すが,何例か挙げるそのくだりを数回読んでも,捏造の確たる証拠はないし,どうも捏造と言うには無理を感じる.
しかし,櫻井よしこの方は,第3者の作成した,日付の異なる議事録の文面をつなぎ合わせ,存在しない場面の存在しない物語を作りあげ,イメージを操作してしまった.
意図したかどうかはさておき,異論の出ない致命的「捏造」だ.
民営化における委員会(猪瀬直樹)の選択が正しかったか否か,今もって私には分からない.
しかし,借金を税金なしで返済できれば,多くの批判は当たらなかったことになる.
今のところ,猪瀬直樹に有利な雲行きだ.
2006年11月27日に日本でレビュー済み
ちょうど郵政民営化造反議員の復党問題が話題になっているが、小泉首相の5年半は後世の歴史に明確に刻まれる「異常な」時代だったと愚生は思う。著者の言葉を借りるなら「小泉改革の失敗」が「日本の失敗」になると考える。
中でも、「道路公団民営化」は大変な失敗であったことは確実である。
小泉改革を支えた竹中平蔵が郵政民営化に「反対する勢力」として、「IQが高く、道路改革の失敗を理解している人々」を明記したことがその表れだ。
端的に言うならば私は著者を評価しない。
だが、HIV問題など一部には優れた仕事もあるようなので文庫化を期に読んでみた。
が、期待は無残に裏切られた。
本書は「道路公団民営化」という大問題を論じるようでいて(実際に、小泉のなした「改革」は殆ど無意味で、問題自体はほぼ丸ごと、いや国費での計画路線全線建設が決まったことで小泉以前より悪い状況で、今後に委ねられた)、実は「猪瀬直樹」批判の書である。
確かに道路公団民営化で猪瀬が果たした役割は無視できない。彼の言説の不明瞭さは明らかであった。
が、彼はややひどすぎるにしてもタウンミーティングでの「やらせ」に見られるように政府が設置する各種の委員会等のメンバーは、基本的に官僚の用意した路線を擁護する「御用学者」「御用文化人」の類であるのは常識である。米国産牛肉問題で委員が辞任したのは例外的な事例だろう。
それだけに大混乱した「道路公団民営化委員会」の問題は「丸投げ」と言いながら道路族・国交省との妥協に傾く小泉自身や担当大臣となった石原伸晃の無能ぶりを含め、大きな見地から検証されるべき大問題であるはず。
それを、この著者は、僕があまり接することのない保守系マスコミで展開した「論争」を基にした猪瀬直樹批判に矮小化してしまった。最後まで猪瀬と行動を共にした大宅映子への言及がほぼ皆無なのがその証。
愚見では二流かそれ以下の自称ジャーナリスト同士の醜い喧嘩だ。
中でも、「道路公団民営化」は大変な失敗であったことは確実である。
小泉改革を支えた竹中平蔵が郵政民営化に「反対する勢力」として、「IQが高く、道路改革の失敗を理解している人々」を明記したことがその表れだ。
端的に言うならば私は著者を評価しない。
だが、HIV問題など一部には優れた仕事もあるようなので文庫化を期に読んでみた。
が、期待は無残に裏切られた。
本書は「道路公団民営化」という大問題を論じるようでいて(実際に、小泉のなした「改革」は殆ど無意味で、問題自体はほぼ丸ごと、いや国費での計画路線全線建設が決まったことで小泉以前より悪い状況で、今後に委ねられた)、実は「猪瀬直樹」批判の書である。
確かに道路公団民営化で猪瀬が果たした役割は無視できない。彼の言説の不明瞭さは明らかであった。
が、彼はややひどすぎるにしてもタウンミーティングでの「やらせ」に見られるように政府が設置する各種の委員会等のメンバーは、基本的に官僚の用意した路線を擁護する「御用学者」「御用文化人」の類であるのは常識である。米国産牛肉問題で委員が辞任したのは例外的な事例だろう。
それだけに大混乱した「道路公団民営化委員会」の問題は「丸投げ」と言いながら道路族・国交省との妥協に傾く小泉自身や担当大臣となった石原伸晃の無能ぶりを含め、大きな見地から検証されるべき大問題であるはず。
それを、この著者は、僕があまり接することのない保守系マスコミで展開した「論争」を基にした猪瀬直樹批判に矮小化してしまった。最後まで猪瀬と行動を共にした大宅映子への言及がほぼ皆無なのがその証。
愚見では二流かそれ以下の自称ジャーナリスト同士の醜い喧嘩だ。
2007年9月6日に日本でレビュー済み
櫻井よしこがすぐれたジャーナリストであるのはまちがいないだろう.しかし,この本では私怨に目をくもらされているとおもわざるをえない.猪瀬直樹の強引さは猪瀬の著書を読んでもあきらかだし,櫻井に対して攻撃的だったこともたしかだろう.しかし,猪瀬が「名誉欲」で民営化委員をしていたというような記述には根拠がなく,生産的とはおもえない個人攻撃がくりかえされている.猪瀬の個人攻撃をするのでなく,どのように民営化がだめにされていったのかを冷徹にとらえれば,もっと価値ある本になったのではないだろうか.
追記: この本だけで猪瀬という人物を判断するのは危険だろう.猪瀬の著書「道路の権力」のほうが迫力があることはまちがいない.
追記: この本だけで猪瀬という人物を判断するのは危険だろう.猪瀬の著書「道路の権力」のほうが迫力があることはまちがいない.
2007年8月31日に日本でレビュー済み
「可能性」「思います」「だそうです」「ありえます」「期待できます」「はずです」で、気に入らない対象をボロクソにいい、それで知識人を気取るのはあまりに滑稽です。
資料や発言などを恣意的に自分の都合の良いように切り張りし、いい加減な議論ばかり展開するスタイルには、もはや呆れるしかありません。
ニュースキャスターあがりの言説家など、所詮この程度のものなんですね。
姜尚中や宮台真司、藤原帰一など、大学教授の言論には決してこのような稚拙さは見られませんよね。
資料や発言などを恣意的に自分の都合の良いように切り張りし、いい加減な議論ばかり展開するスタイルには、もはや呆れるしかありません。
ニュースキャスターあがりの言説家など、所詮この程度のものなんですね。
姜尚中や宮台真司、藤原帰一など、大学教授の言論には決してこのような稚拙さは見られませんよね。
2021年4月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
たいへん良い商品でした。