ノンフィクション小説だけあって面白い。それ以上に役に立つ。
ソニーに入社した著者が、仕事を通して異端の交渉人として育っていく様子が段階的に語られている。会社に辞表を二回出して、課長へ、さらに部長へと昇進した著者。この著者にとって、ソニーのリストラなど、まったく問題外だったのだろう。国際交渉や社内交渉、官庁との付き合い方、日収30万円の副業翻訳の方法など、内容は深くて広い。
人生は交渉の連続であるが、その交渉の本質を突く稀有な本である。ソニーとモトローラ、フィリップスの日米欧三つ巴戦になったJR東日本のスイカ(Suica)市場獲得競争、マイクロソフトとIBMの文書フォーマット標準獲得競争など、さまざまな企業間ビジネス戦争の実際がリアルに描かれている。
この著者の本は、忌憚なく人間としての生き方を述べている。国際標準化の専門家だけでなく、広くビジネスマンの読むべき書として、「ハーバード流何々」と銘打つ本よりもずっと優先されるべき書だろう。この書評では書ききれないことが多い。一度、ななめ読みでもよいから目を通されることをお奨めする。
追記:この本の著者が書いた「会議術・交渉術・闘争術」という題名の本がアマゾンのPODで出版されている。交渉の本質を語るものであり、やはり稀有な本だと思う。人生の必携本。

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実録・交渉の達人ーー国際標準化戦争秘録 単行本 – 2017/6/22
原田 節雄
(著)
日の丸規格の国際標準化交渉で連戦連勝だったソニーの凄腕交渉人の手記。この人がいなければ、Suicaの国際標準化はなかった。
日米欧の企業が激突する国際交渉の舞台裏を赤裸々に描いたノンフィクション。以下は、本書「まえがき」から。
「本書は、ソニーに勤務していた「交渉人」の私が当事者として経験した日の丸規格の国際標準化の舞台裏を、ソニーのフェリカ(JR東日本のSuica)、
デンソーのQRコード(二次元バーコード)、東京電力のUHV(1100キロボルト超高圧標準電圧)について初めて明かすノンフィクションである。
国際標準という言葉は一般には馴染みがないかもしれないが、たとえばSuicaという便利な交通用のカードは、私たちがあらゆる交渉のテクニックを駆使して反対勢力の裏をかき、
多数派工作に成功していなければ、国際標準化に失敗していまほど広く普及していなかったかもしれない。
そう考えると、意外に身近に思えるのが国際標準なのだ。
誰もが知っている典型的な国際標準は、長さや重さ、時間などの計量単位の度量衡標準である。その他、ネジのサイズやピッチ、各種標識なども国際標準だ。
これらの標準がなければ、私たちの社会生活は大変不便になる。
(中略)
国際標準化という企業同士が争う戦場で力もカネも技術もない日本が勝利するのは、絶望的な状況になった。米国も欧州も中国も、すでにマイナーな日本の味方ではない。
本書で取り上げた事例は、日本にとって最後の輝きだったのかもしれない。」
日米欧の企業が激突する国際交渉の舞台裏を赤裸々に描いたノンフィクション。以下は、本書「まえがき」から。
「本書は、ソニーに勤務していた「交渉人」の私が当事者として経験した日の丸規格の国際標準化の舞台裏を、ソニーのフェリカ(JR東日本のSuica)、
デンソーのQRコード(二次元バーコード)、東京電力のUHV(1100キロボルト超高圧標準電圧)について初めて明かすノンフィクションである。
国際標準という言葉は一般には馴染みがないかもしれないが、たとえばSuicaという便利な交通用のカードは、私たちがあらゆる交渉のテクニックを駆使して反対勢力の裏をかき、
多数派工作に成功していなければ、国際標準化に失敗していまほど広く普及していなかったかもしれない。
そう考えると、意外に身近に思えるのが国際標準なのだ。
誰もが知っている典型的な国際標準は、長さや重さ、時間などの計量単位の度量衡標準である。その他、ネジのサイズやピッチ、各種標識なども国際標準だ。
これらの標準がなければ、私たちの社会生活は大変不便になる。
(中略)
国際標準化という企業同士が争う戦場で力もカネも技術もない日本が勝利するのは、絶望的な状況になった。米国も欧州も中国も、すでにマイナーな日本の味方ではない。
本書で取り上げた事例は、日本にとって最後の輝きだったのかもしれない。」
- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社日経BP
- 発売日2017/6/22
- 寸法13.2 x 2.4 x 19.6 cm
- ISBN-104822255239
- ISBN-13978-4822255237
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商品の説明
著者について
桜美林大学客員教授。経済産業省と農林水産省の「国際標準化交渉人材育成講座」の主任講師。1970年から2010年までソニーに勤務する傍ら、
ジュネーブの国際電気標準会議(IEC)の標準管理評議会(SMB)日本代表委員や電子実装技術専門委員会(TC91)国際幹事を務めた。
著書に『世界市場を制覇する国際標準化戦略』(東京電機大学出版局、大川出版賞受賞)、『国際ビジネス勝利の方程式』(朝日新書)、
『ソニー 失われた20年』、『ソニー 破壊者の系譜』(以上、さくら舎)。
ジュネーブの国際電気標準会議(IEC)の標準管理評議会(SMB)日本代表委員や電子実装技術専門委員会(TC91)国際幹事を務めた。
著書に『世界市場を制覇する国際標準化戦略』(東京電機大学出版局、大川出版賞受賞)、『国際ビジネス勝利の方程式』(朝日新書)、
『ソニー 失われた20年』、『ソニー 破壊者の系譜』(以上、さくら舎)。
登録情報
- 出版社 : 日経BP (2017/6/22)
- 発売日 : 2017/6/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 336ページ
- ISBN-10 : 4822255239
- ISBN-13 : 978-4822255237
- 寸法 : 13.2 x 2.4 x 19.6 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 680,063位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 83位工業規格
- - 88,657位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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山口県防府市出身。桜美林大学大学院経営学研究科客員教授。日本規格協会技術顧問、国際標準化協議会理事、ファインバブル産業会顧問、経営コンサルタントなども兼任。東京工業大学や岐阜大学の大学院非常勤講師、経済産業省や農林水産省が主催する人材育成講座の専任講師なども務めている。40年余りソニーに勤務し、井深大社長からハワード・ストリンガー社長まで、歴代8人の社長の時代を経験。2008年、国際標準化活動への功績で内閣総理大臣表彰を受ける。著作では「世界市場を制覇する国際標準化戦略」で大川出版賞を受賞。工業英検1級の資格を持ち、著作分野は標準化や知財権のビジネスから、技術英語、交渉術、経営論、国際ビジネスマナーなど多岐にわたる。また、著作関連の講演も精力的にこなしている。クラーク博士で有名な明治時代の札幌農学校を四期生として卒業した河村九淵の孫。ペンネーム(ペン・ハナサーズ)での著作もある。(2018年現在)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年6月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2017年6月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「実録」に惹かれ早速購入して読みました。
経営戦略のフレームワークや自己啓発などの本が多い中、ビジネスの現場での事実を書いた本で大変勉強になった。
マネジメントの概念も重要だが、この本にあるような、生きる本質、ビジネスの本質を押さえた上での、実践の成功と失敗のケーススタディが
最も参考になると思う。またビジネスパーソンとしての生き抜き方としても今後のお手本になるのではないか。特に官庁と仕事する人にはお勧めの本。
経営戦略のフレームワークや自己啓発などの本が多い中、ビジネスの現場での事実を書いた本で大変勉強になった。
マネジメントの概念も重要だが、この本にあるような、生きる本質、ビジネスの本質を押さえた上での、実践の成功と失敗のケーススタディが
最も参考になると思う。またビジネスパーソンとしての生き抜き方としても今後のお手本になるのではないか。特に官庁と仕事する人にはお勧めの本。
2017年7月5日に日本でレビュー済み
国際標準化に携わる人の必読書である。
国際標準化には技術よりもビジネスや交渉が重要であることがよく判る。国際的にビジネスを展開する企業の経営者、事業責任者にぜひ読んでほしい。
国際標準化には技術よりもビジネスや交渉が重要であることがよく判る。国際的にビジネスを展開する企業の経営者、事業責任者にぜひ読んでほしい。