評者が昨年7月に読んだ望月衣塑子著 『同調圧力』の共著者であったマーティン・ファクラー氏の本書『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』に興味をもっていたので遅まきながら入手して読むことにした。
第二次安倍政権後、ますます日本のメディアが萎縮してしまったことを多岐にわたって本書のなかで事例をあげながら指摘している。
本書が刊行されたのが2016年2月だから「モリカケ事件」も「桜を見る会」もなかったが、ますます日本のメディアは、安倍政権へのひれ伏度がエスカレートしているようだ。
本書の第5章「失われる自由」のなかの“「西山事件」が教えてくれる報道の自由の現実„を、読んでいたら本書の共著者でもある前川喜平氏が「出会い系クラブ」へ行くことを、読売新聞が矮小した記事でバッシングしていたこととデジャブを見るような感を覚えながら読んでしまったのです。
安倍政権が「日本国民の生命と財産」を、新型コロナ危機でどうにもならないところまで追いやる前の今こそ「安倍政権にひれ伏しない日本のメディア」の時代が来ることを期待しながら本書を読み終えたのです。
<8月28日の追記>
昨日、このレビューを投稿したばかりなのに突然安倍総理が辞任してしまった。
残念なのは「モリカケ」「桜を見る会」などなかったことになってしまうことである。
せめて森友学園の財務省による公文書改ざん問題で近畿財務局職員が自殺しているが、その自殺した奥様の訴訟を忘れず継続してメディヤは報道してほしい。
次期首相が誰になろうと安倍お仲間政権が続くだろうから、メディアの状況が改善するということは期待できないだろう。
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安倍政権にひれ伏す日本のメディア 新書 – 2016/2/20
マーティン・ファクラー
(著)
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2012年末に第二次安倍政権が誕生してから早や3年。その間、大きく変わったことが権力とメディアの関係だ。
朝日新聞に代表される政権に批判的な大手メディアはなぜ軒並み"大人しく"なったのか。
その背景には安倍政権の巧みなメディアコントロールと、ネットによる大転換期に対応できず組織防衛に走る既存メディアの腰砕けぶりがあった――。
前ニューヨーク・タイムズ東京支局長の著者が明らかにする「世界から見たアベ・ジャパン」の真実。
朝日新聞に代表される政権に批判的な大手メディアはなぜ軒並み"大人しく"なったのか。
その背景には安倍政権の巧みなメディアコントロールと、ネットによる大転換期に対応できず組織防衛に走る既存メディアの腰砕けぶりがあった――。
前ニューヨーク・タイムズ東京支局長の著者が明らかにする「世界から見たアベ・ジャパン」の真実。
- 本の長さ248ページ
- 言語日本語
- 出版社双葉社
- 発売日2016/2/20
- 寸法18.2 x 11.3 x 2 cm
- ISBN-104575309966
- ISBN-13978-4575309966
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登録情報
- 出版社 : 双葉社 (2016/2/20)
- 発売日 : 2016/2/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 248ページ
- ISBN-10 : 4575309966
- ISBN-13 : 978-4575309966
- 寸法 : 18.2 x 11.3 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 308,159位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 667位マスメディア (本)
- - 23,909位新書
- カスタマーレビュー:
著者について
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米国ジョージア州出身。
ダートマス大学卒業後、東京大学大学院に国費留学。1996年からジャーナリストになり、AP通信やウォールストリートジャーナル、ブルームバーグ通信に勤め、2005年からニューヨークタイムズに入り、2009年から2015年まで東京支局長を務めた。
2011年の東日本大震災直後から被災地を取材し、東北各地の被害を伝えるとともに、福島第一原子力発電所の事故、また日本の原子力行政や原発を巡る利権構造などについて調査報道を続け、2012年ピューリッツア賞のファイナリスト(次点)にノミネートされた。
著書『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』(2012年)、『データ・リテラシー フェイクニュース時代を生き抜く』(2020年)、『吠えない犬 安倍政権7年8カ月とメディア・コントロール』(2020年)など。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年8月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2017年2月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本におけるメディア業者間の仲間意識の欠如及びジャーナリトとしての職種への責任とプライドの欠如が情けないメディアにしていることよくわかった。
2020年11月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
非常に良く安価であった。
2017年2月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
『前ニューヨーク・タイムズ東京支局長の著者が明らかにする「世界から見たアベ・ジャパン」の真実』のとおり,ジャーナリストの目から見た日本のメディアに関して,さすが前ニューヨーク・タイムズ東京支局長とうならせる非常に平易かつ説得力ある文章で書かれています。
本著は,以下の6章から構成されています。
・安倍政権のメディアコントロール
・メディアの自壊
・ネット右翼と安倍政権
・権力vs調査報道
・失われる自由
・不確かな未来
前半は,日本の報道体制,政府によるメディアコントロールから,近年のネット右翼によるノイジー・マイノリティ(声の大きな少数派)の台頭を含め,今後の日本にとってとても大切な点について,ジャーナリストによる多角的な面から洞察されて書かれています。
特に朝日新聞の福島第一原発事故における「吉田調書」と慰安婦問題を考える「吉田証言」に関しては,言論の自由・調査報道の在り方・記事の取り消しに関して,丁寧に論じられており,このような検証を日本のメディア自身が行わない(行えない?,行いたくない?)ことへの憤りを強く感じたほどでした。逆に,自分たちのことを考えると,本当に表現,知ることの自由をどこまで大切に,サイレントマジョリティではなく声を上げてきているのか,将来の子どもたちへの責任という意味で考えさせられる良著でした。
(個人的には「報道ステーション」に関する記述を読みながら,10年以上前の田原さんの番組をはじめ,もっと気概のある報道ががされていたような記憶があります。そのような報道が少なくなったことも,テレビ・新聞からネットへ情報収集の中心が移ってきた一因があるのかもしれません)
後半には,厳しい状況の中での新しい調査報道の取り組みについても書かれていて,一筋の光明も見られます。それでも,そのような適正なメディアを支えるのは,受け手である私たちの責任も大きいと考えざるをえません。
本著は,メディアに関わる人に,政府関係者に,そして日本国民全員に読んでほしい名著であると感じ星5つとしました。
本著は,以下の6章から構成されています。
・安倍政権のメディアコントロール
・メディアの自壊
・ネット右翼と安倍政権
・権力vs調査報道
・失われる自由
・不確かな未来
前半は,日本の報道体制,政府によるメディアコントロールから,近年のネット右翼によるノイジー・マイノリティ(声の大きな少数派)の台頭を含め,今後の日本にとってとても大切な点について,ジャーナリストによる多角的な面から洞察されて書かれています。
特に朝日新聞の福島第一原発事故における「吉田調書」と慰安婦問題を考える「吉田証言」に関しては,言論の自由・調査報道の在り方・記事の取り消しに関して,丁寧に論じられており,このような検証を日本のメディア自身が行わない(行えない?,行いたくない?)ことへの憤りを強く感じたほどでした。逆に,自分たちのことを考えると,本当に表現,知ることの自由をどこまで大切に,サイレントマジョリティではなく声を上げてきているのか,将来の子どもたちへの責任という意味で考えさせられる良著でした。
(個人的には「報道ステーション」に関する記述を読みながら,10年以上前の田原さんの番組をはじめ,もっと気概のある報道ががされていたような記憶があります。そのような報道が少なくなったことも,テレビ・新聞からネットへ情報収集の中心が移ってきた一因があるのかもしれません)
後半には,厳しい状況の中での新しい調査報道の取り組みについても書かれていて,一筋の光明も見られます。それでも,そのような適正なメディアを支えるのは,受け手である私たちの責任も大きいと考えざるをえません。
本著は,メディアに関わる人に,政府関係者に,そして日本国民全員に読んでほしい名著であると感じ星5つとしました。
2017年3月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
うすうす気づいていた事をまとめてくれており
色々と考えさせられる内容でした。
メディア論に詳しいわけでもないためレビューする気はなかったのですが、
本書を読んで声だけ大きい右派に好き勝手やられる前に普通の人も声を上げた方がよいと思いました
レビューに「反日」などと書き込み低評価するアホが多いですし
色々と考えさせられる内容でした。
メディア論に詳しいわけでもないためレビューする気はなかったのですが、
本書を読んで声だけ大きい右派に好き勝手やられる前に普通の人も声を上げた方がよいと思いました
レビューに「反日」などと書き込み低評価するアホが多いですし
2017年2月15日に日本でレビュー済み
ここ最近、ジャーナリズム論というのはウヨサヨみたいな単語と共に大声で語られる
大変香ばしい話題になってきてしまいました。
おぞましい罵詈雑言だらけのインターネット空間の論評を目にすることに辟易して
本屋に足を運んでみましたが、本屋の棚もネット世界の争いの延長の様相で、
大変見苦しい言論の広がる空間となっています。
目に入った本を一通り流し読みしてみましたが、「政権とメディアの両方への批判」または
「政権とメディアの両方への理解」といったような、ヒートアップするウヨサヨ論者の立場から
一歩離れた立ち位置の本はあまりにも少なく感じられます。
ケント・ギルバートの本のようなインターネットに溢れる罵詈雑言の丸写しレベルの
めまいがするようなふざけた本が所狭しと並ぶ様子はある種の狂気です。
そういった中でこの本の立ち位置は珍しく「政権とメディアの両方への批判」に属するものです。
いわゆる「右」な人は表紙を見ただけでアレルギー症状を起こしそうなタイトルの本ですが、
内容はそう単純なものではありません。
日本の政府の報道に対する姿勢、そしてメディア自身の報道の姿勢について
元ニューヨーク・タイムズ東京支局長を務めた記者が感じた疑問をストレートにぶつけています。
他のレビュアーの方の指摘の通り、マーティン・ファクラー氏の母国アメリカにおけるジャーナリズムも
問題が表面化してきていて、「より優れたジャーナリズムを知っている高位の者の声」というよりは
いわゆる「ここがヘンだよ日本人」的な内容と言うべき本なのかもしれません。
個人的にはこの本で指摘されている内容はもっともな話であるように思いましたし、
現在の日本の政治報道を取り巻くさまざまな問題を考えるうえで大変有用な本だと感じました。
大変香ばしい話題になってきてしまいました。
おぞましい罵詈雑言だらけのインターネット空間の論評を目にすることに辟易して
本屋に足を運んでみましたが、本屋の棚もネット世界の争いの延長の様相で、
大変見苦しい言論の広がる空間となっています。
目に入った本を一通り流し読みしてみましたが、「政権とメディアの両方への批判」または
「政権とメディアの両方への理解」といったような、ヒートアップするウヨサヨ論者の立場から
一歩離れた立ち位置の本はあまりにも少なく感じられます。
ケント・ギルバートの本のようなインターネットに溢れる罵詈雑言の丸写しレベルの
めまいがするようなふざけた本が所狭しと並ぶ様子はある種の狂気です。
そういった中でこの本の立ち位置は珍しく「政権とメディアの両方への批判」に属するものです。
いわゆる「右」な人は表紙を見ただけでアレルギー症状を起こしそうなタイトルの本ですが、
内容はそう単純なものではありません。
日本の政府の報道に対する姿勢、そしてメディア自身の報道の姿勢について
元ニューヨーク・タイムズ東京支局長を務めた記者が感じた疑問をストレートにぶつけています。
他のレビュアーの方の指摘の通り、マーティン・ファクラー氏の母国アメリカにおけるジャーナリズムも
問題が表面化してきていて、「より優れたジャーナリズムを知っている高位の者の声」というよりは
いわゆる「ここがヘンだよ日本人」的な内容と言うべき本なのかもしれません。
個人的にはこの本で指摘されている内容はもっともな話であるように思いましたし、
現在の日本の政治報道を取り巻くさまざまな問題を考えるうえで大変有用な本だと感じました。
2016年4月9日に日本でレビュー済み
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著者は前ニューヨーク・タイムズ東京支局長マーティン・ファクラー氏。日本のメディアの現状を論評するには最も適任者であろう。その理由は以下の3つである。1.記者クラブにも日本の大手メディアにも属さないために自由に発言できる。2.アメリカなど民主主義国のメディアの事情に通じている。3.在日20年、日本の政治やジャーナリズムに精通し、日本文化にも詳しい。(本書の日本語の文章は秀逸である)。
ジョージ・オーウェルは「1984年」において「ジャーナリズムとは、報じられたくない事を報じることだ。それ以外は広報にすぎない」との名言を残した。メディアにとって最も大事な仕事、それは権力監視である。しかし、日本のメディアは近年その「権力監視」という大事な仕事をないがしろにしていると、以下のような具体的な事例を示しながらファクラ―氏は警鐘を鳴らす。
安倍政権はメディアを巧みにコントロールしている。メディアを敵と味方に分け、対応を変えている。ネット右翼も利用するフシがある。就任以来、安倍首相はマスコミ首脳と頻繁に会合を持っているが、それが「圧力」にならないはずがない。その上で、官邸は記事やTV番組を細かくチェックして、政権に対して批判的な報道の担当には電話を入れている。萎縮せざるを得ないように相手を追い込むのだ。ニュースキャスターの相次ぐ交代はその「効果」であろう。自民党からのTV局への圧力も年々強まっている。最近も総務相が放送法を援用した電波停止の可能性に触れたばかりだ。
他方でメディア側の劣化が進んでいるとファクラ―氏は指摘する。朝日は吉田証言、吉田調書における誤報に関して対応を誤ったが、産経、読売はこれぞとばかりに朝日パッシングを展開し、問題の本質をそらす役割を果たした。おまけに朝日のミスを自紙の拡販に利用しようとした。左と思われていた毎日も便乗して朝日叩きをやった。一方の朝日は池上彰コラム不掲載事件を起こし、調査報道の推進のために設けた特報部を解散するなど、言論の自由を守ることから後退する道を歩んだのである。
アメリカやヨーロッパでは政治的立場を明確にしているメディアが多数である。公平中立・不偏不党ではないのである。しかし、どのメディアも「権力の監視」の役割を心得ており、政治的主張は異なっても、右も左も団結して権力と闘い、仲間のメディアを護る、とファクラ―氏は力説する。こうした民主主義国では当然のメディア間のルールが日本ではまったく働いていない。日本は「権力の監視」を放棄したようなメディアが力をもつ国である。「アメリカのメディアが野球のメジャーだとすれば日本のメディアはまだ高校野球である」と著者は嘆いている。アメリカにおける政府とメディアの闘いの事例を豊富に紹介しながら、ジャーナリズムの本来の精神を取り戻そうとのファクラ―氏の訴えに胸が打たれた。
ジョージ・オーウェルは「1984年」において「ジャーナリズムとは、報じられたくない事を報じることだ。それ以外は広報にすぎない」との名言を残した。メディアにとって最も大事な仕事、それは権力監視である。しかし、日本のメディアは近年その「権力監視」という大事な仕事をないがしろにしていると、以下のような具体的な事例を示しながらファクラ―氏は警鐘を鳴らす。
安倍政権はメディアを巧みにコントロールしている。メディアを敵と味方に分け、対応を変えている。ネット右翼も利用するフシがある。就任以来、安倍首相はマスコミ首脳と頻繁に会合を持っているが、それが「圧力」にならないはずがない。その上で、官邸は記事やTV番組を細かくチェックして、政権に対して批判的な報道の担当には電話を入れている。萎縮せざるを得ないように相手を追い込むのだ。ニュースキャスターの相次ぐ交代はその「効果」であろう。自民党からのTV局への圧力も年々強まっている。最近も総務相が放送法を援用した電波停止の可能性に触れたばかりだ。
他方でメディア側の劣化が進んでいるとファクラ―氏は指摘する。朝日は吉田証言、吉田調書における誤報に関して対応を誤ったが、産経、読売はこれぞとばかりに朝日パッシングを展開し、問題の本質をそらす役割を果たした。おまけに朝日のミスを自紙の拡販に利用しようとした。左と思われていた毎日も便乗して朝日叩きをやった。一方の朝日は池上彰コラム不掲載事件を起こし、調査報道の推進のために設けた特報部を解散するなど、言論の自由を守ることから後退する道を歩んだのである。
アメリカやヨーロッパでは政治的立場を明確にしているメディアが多数である。公平中立・不偏不党ではないのである。しかし、どのメディアも「権力の監視」の役割を心得ており、政治的主張は異なっても、右も左も団結して権力と闘い、仲間のメディアを護る、とファクラ―氏は力説する。こうした民主主義国では当然のメディア間のルールが日本ではまったく働いていない。日本は「権力の監視」を放棄したようなメディアが力をもつ国である。「アメリカのメディアが野球のメジャーだとすれば日本のメディアはまだ高校野球である」と著者は嘆いている。アメリカにおける政府とメディアの闘いの事例を豊富に紹介しながら、ジャーナリズムの本来の精神を取り戻そうとのファクラ―氏の訴えに胸が打たれた。
2016年4月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
タイトルがやや扇動的に聞こえますが、現政権の非常に巧みなメディアコントロールと、それに対抗できていない日本の新聞/TVの現状と問題について、分かり易く説明されています。普段レビューは面倒で書かないのですが、右翼・左翼とかイデオロギーに関係なく多くの人に手に取って頂きたく書きました。
著者のスタンスは、コントロールを強める安倍政権が問題という以上に、それに対抗できていない日本のメディアへの危機感の方が強いというもの。また、9.11以降に監視社会化が進むアメリカにおけるジャーナリストとホワイトハウスとの闘いや、ネットとデジタル化の進行により世界の調査報道がどのような潮流にあるのかなど、新書ながら広いトピックがカバーされています。
ニュースキャスターの立て続けの降板や報道自由度ランキングの悪化が報道されていますが、政権のメディアコントロールについて(圧力を受けている)TVも新聞もほぼ全く正面から報道していないですし、現時点ではAmazonで検索しても他にこういった本は見当たらず、とても貴重な学びが得られた本でした。
ベテランのジャーナリストらしい冷静かつ多面的な現状分析と共に、悪い意味でアメリカのような監視社会になってほしくないという日本への応援もあとがきに込められており、レビューの★1つの方々が書かれているような、反日だとか日本後進国論といった一面的なスタンスや主張とは対極にある良書だと思います。
著者のスタンスは、コントロールを強める安倍政権が問題という以上に、それに対抗できていない日本のメディアへの危機感の方が強いというもの。また、9.11以降に監視社会化が進むアメリカにおけるジャーナリストとホワイトハウスとの闘いや、ネットとデジタル化の進行により世界の調査報道がどのような潮流にあるのかなど、新書ながら広いトピックがカバーされています。
ニュースキャスターの立て続けの降板や報道自由度ランキングの悪化が報道されていますが、政権のメディアコントロールについて(圧力を受けている)TVも新聞もほぼ全く正面から報道していないですし、現時点ではAmazonで検索しても他にこういった本は見当たらず、とても貴重な学びが得られた本でした。
ベテランのジャーナリストらしい冷静かつ多面的な現状分析と共に、悪い意味でアメリカのような監視社会になってほしくないという日本への応援もあとがきに込められており、レビューの★1つの方々が書かれているような、反日だとか日本後進国論といった一面的なスタンスや主張とは対極にある良書だと思います。