コンパクトリーマン多様体間の写像のエネルギー汎関数の臨界点となる写像を「調和写像」といい、多様体上の測地線や極小部分多様体などの概念の自然な拡張になっている。調和写像の理論を基礎から解説する本書は、この理論の面白さを実感できる格好の入門書である。本書のどこが良くて素晴らしいのか、以下に述べてみたい。
先ず、有限次元多様体間の写像空間C(M,N)を通して、バナッハ空間をモデルとする無限次元多様体を研究する必然性を教えてくれる。この写像空間における可微分写像φ: (M,g)→(N,h)の接空間がφに沿うベクトル場全体の空間Γ(φ*TN)と同一視できるという事実が重要で、これから誘導束φ*TN上の線形接続でファイバー計量φ*hと両立する「誘導接続」を考察する必然性が理解できる処が素晴らしい。
次に、無限次元多様体上の関数が最小値を持つためのパレ・スメールの条件(C)の詳しい解説やエネルギー関数の第1変分公式(テンション場=0という調和写像の定義)、第2変分公式(ヤコビ作用素の導出)の解説は、ミルナーの名著『
モース理論
』の現代版と見なす事ができる。特に、第2変分公式と調和写像の安定性の関係を解説する第5章は、ラプラシアンのスペクトル幾何との関係も非常に深く、本書のハイライトといえる。
最後に、Nが非正曲率である場合に調和写像の存在を主張するイールス・サンプソンの有名な定理に加え、Nが球面、複素射影空間、ユニタリ群の場合の解説があり、面白くとても有益である。水平的な調和写像ψとリーマン沈め込みπの合成π・ψは調和写像になるが、この逆はどの様な場合に成り立つのだろう?と想像してみるのも楽しいと思う。
久しぶりに本書を読み直してみて、「とても良書である」との意を一層強くした。この方面ではJ. Jost教授の『Riemannian Geometry and Geometric Analysis』も面白く、本書と併せてお薦めしたい。
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変分法と調和写像 Kindle版
理工系学生にとって重要な「変分法」と応用編である「調和写像」(場の理論)の発展の様子を、その基礎から初学者向けに丁寧に解説した。
※この電子書籍は、「固定レイアウト型」で配信されております。説明文の最後の「固定レイアウト型に関する注意事項」を必ずお読みください。
理工系学生にとって重要な「変分法」と応用編である「調和写像」(場の理論)は近年、めざましい発展を遂げ、自然科学において必須の分野となりつつある。これらの理論の発展の様子を、その基礎から初学者向けに丁寧に解説したものが本書である。4章以降の応用編のみを切り離しても読み進めるように配慮されている。
●目次
1 変分法
1.1 本書の目標
1.2 変分法と場の理論
1.3 変分法の例
1.4 反省と今後の指針
ティー・タイム 古典力学と変分法
2 多様体
2.1 連続性と微分積分
2.2 Ck多様体
2.3 有限次元C∞多様体
2.4 多様体の例
3 モース理論
3.1 滑らかな関数の臨界点
3.2 滑らかな関数の最小値
3.3 条件(C)
3.4 応用
ティー・タイム 等周問題とディドー女王
4 調和写像
4.1 調和写像とは
4.2 第1変分公式の別の表示
4.3 調和写像の例
ティー・タイム 石けん膜と極小曲面(プラトー問題)
5 第2変分公式と安定性
5.1 第2変分公式
5.2 不安定性定理
5.3 正則写像の安定性
6 調和写像の存在・構成・分類
6.1 存在・構成・分類の問題
6.2 球面の場合
6.3 対称空間のとき
6.4 変分法による存在証明法
固定レイアウト型に関する注意事項(必ずお読みください)
この電子書籍は、全ページ画像の「固定レイアウト型」で配信されております。以下の点にご注意し、購入前にプレビュー表示をご確認の上、ご購入ください。
■使用できない機能
・文字拡大(ピンチイン・ピンチアウトは可能ですが、画面におさまらない場合は画面をスワイプ)/文字のコピー/マーク/ハイライト/文字列検索/辞書の参照/Web検索/引用
■推奨環境
・タブレットなど大きいディスプレイを備えた端末
・Wi-Fiネットワーク経由でのダウンロード(Kindle端末の場合)
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理工系学生にとって重要な「変分法」と応用編である「調和写像」(場の理論)は近年、めざましい発展を遂げ、自然科学において必須の分野となりつつある。これらの理論の発展の様子を、その基礎から初学者向けに丁寧に解説したものが本書である。4章以降の応用編のみを切り離しても読み進めるように配慮されている。
●目次
1 変分法
1.1 本書の目標
1.2 変分法と場の理論
1.3 変分法の例
1.4 反省と今後の指針
ティー・タイム 古典力学と変分法
2 多様体
2.1 連続性と微分積分
2.2 Ck多様体
2.3 有限次元C∞多様体
2.4 多様体の例
3 モース理論
3.1 滑らかな関数の臨界点
3.2 滑らかな関数の最小値
3.3 条件(C)
3.4 応用
ティー・タイム 等周問題とディドー女王
4 調和写像
4.1 調和写像とは
4.2 第1変分公式の別の表示
4.3 調和写像の例
ティー・タイム 石けん膜と極小曲面(プラトー問題)
5 第2変分公式と安定性
5.1 第2変分公式
5.2 不安定性定理
5.3 正則写像の安定性
6 調和写像の存在・構成・分類
6.1 存在・構成・分類の問題
6.2 球面の場合
6.3 対称空間のとき
6.4 変分法による存在証明法
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■推奨環境
・タブレットなど大きいディスプレイを備えた端末
・Wi-Fiネットワーク経由でのダウンロード(Kindle端末の場合)
- 言語日本語
- 出版社裳華房
- 発売日1990/11/25
- ファイルサイズ83483 KB
この本はファイルサイズが大きいため、ダウンロードに時間がかかる場合があります。Kindle端末では、この本を3G接続でダウンロードすることができませんので、Wi-Fiネットワークをご利用ください。
- 販売: Amazon Services International LLC
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商品の説明
著者について
東北大学名誉教授、理学博士。1946年 兵庫県生まれ。東北大学理学部卒業、大阪大学大学院理学研究科修士課程修了。名古屋大学助手、東北大学助教授、マックス・プランク数学研究所客員教授、東北大学教授などを歴任。主な著書に『解析入門』『ラプラス作用素とネットワーク』(以上 裳華房)、『ラプラシアンの幾何と有限要素法』『微積分の基礎』(以上 朝倉書店)などがある。
登録情報
- ASIN : B01LWJOM98
- 出版社 : 裳華房 (1990/11/25)
- 発売日 : 1990/11/25
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 83483 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効になっていません。
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : 有効になっていません
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- - 1,738位数学 (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
著者について
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