俳句は感性であると、言われたことがある。従って「只ごと俳句」しか作れない者は感性がないのだとも。 その点での著者の感性の鋭さは並大抵のものではない。しかも句幅が実に広いのである。自分の心奥から、夫のこと、神のこと、自然界のこと、宇宙のこと、動植物のこと等々句にならざるものはないのである。しかもそれらを的確な表現で表している。観察眼が秀でている証左でもあろう。
私は『藍衣』の４３８句を全て書き写した。俳句を始めたばかりの頃、著名な句集を書き写したことはある。だが今回ほど勉強になった事はなかった。
略歴によれば「野火」「馬醉木」に入会して、たちまちその結社の最高の賞を獲得しているのもムベなるかなと思う。
目を閉じると美しい女性が毛筆で短冊に俳句を書いている様子が浮かんでくる。それが著者なのであろう。
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