経済学の本では、初期投資が巨額で民間企業では負担しきれない公共サービスは政府が行うのが当然だと教える。その例としてよく上がるのは郵便である。しかし本書が記すとおり、17世紀の英国では民間の企業家による私営郵便が立派に市民の役に立っていた。官営郵便を運営する政府はこれを弾圧し、廃業に追い込む。
私営郵便の中継所として機能したのは、これも私営のコーヒー・ハウスである。コーヒー・ハウスはジャーナリズムや保険業の発展の拠点にもなる。以下、抜粋。(数字は位置ナンバー)
1680年にウィリアム・ドックラが創設したペニー郵便は、戸別配達制度を取り入れた点で革命的なものであったといってよい。〔略〕市街地からやや離れた地区は局留めが普通だが、1ペニー余計に払えば戸別配達も行なわれる。(2012)
〔民営のペニー郵便によって〕ロンドン市民は大いに手紙のやりとりを行なったのだが、官営の郵便制度を有していた政府の弾圧もあって、1683年には廃業を余儀なくされた。(2020)
船舶郵便というのは、外国向けの郵便物のことだが、普通は官営の郵便船によって運ばれていたものの、船の数が少なく需要に追いつかなかったので、商船や軍艦に託して送られていた。(2015)
政府はこうした〔外国向けの郵便物を商船や軍艦に託す〕方法は、官営の郵便制度を邪魔するものだとして規制したが、その効果もなく、直接船長に郵便を渡す方法がよくとられていた。(2026)
船長は〔略〕コーヒー・ハウスの店のなかに麻の袋を下げて出港日時、行先などを掲示し、郵便物の受付けを行なった。〔略〕コーヒー・ハウスは船舶郵便物を取り扱う〝私設〟外国郵便局として機能し、官営の郵便制度の不備を補完した。(2030)
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コーヒー・ハウス (講談社学術文庫) 文庫 – 2000/10/10
小林 章夫
(著)
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17世紀半ばから1世紀余にわたり繁栄を見せた欧州カフェ文化の先駆、コーヒー・ハウス。そこは政治議論や経済活動の拠点であると同時に、文学者たちが集い、ジャーナリズムを育んだ場として英国に多大な影響を与えた、社会の情報基地でもあった。近代都市・ロンドンを舞台にした、胡乱(うろん)で活力にみちた人間模様と、市民の日常生活を活写する。(講談社学術文庫)
17世紀半ばから1世紀余にわたり繁栄を見せた欧州カフェ文化の先駆、コーヒー・ハウス。そこは政治議論や経済活動の拠点であると同時に、文学者たちが集い、ジャーナリズムを育んだ場として英国に多大な影響を与えた、社会の情報基地でもあった。近代都市・ロンドンを舞台にした、胡乱(うろん)で活力にみちた人間模様と、市民の日常生活を活写する。
17世紀半ばから1世紀余にわたり繁栄を見せた欧州カフェ文化の先駆、コーヒー・ハウス。そこは政治議論や経済活動の拠点であると同時に、文学者たちが集い、ジャーナリズムを育んだ場として英国に多大な影響を与えた、社会の情報基地でもあった。近代都市・ロンドンを舞台にした、胡乱(うろん)で活力にみちた人間模様と、市民の日常生活を活写する。
- 本の長さ296ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2000/10/10
- ISBN-104061594516
- ISBN-13978-4061594517
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商品の説明
商品説明
「さまざまな意見の人たちが、コーヒーの香りと紫煙の中で、政治を論じ、権力を批判する」。17世紀半ばから18世紀にかけロンドンで繁栄した「コーヒー・ハウス」は、そんな場所だったらしい。時代背景といい、そのブルジョワ的喧噪ぶりといい、江戸時代の「浮き世風呂」や「浮き世床」を彷彿とさせるが、著者が「人間のるつぼ」と表現するこの市井のサロンには、政治家、芸術家、詩人、小説家、ジャーナリストから、政府の隠密、海運業者、株屋、はては賭博師、詐欺師、スリ、その他もろもろの犯罪者まで、およそ大都会にうごめくありとあらゆる人種が立ち混じっていた。その日常のにおい、出入りする「ボー(粋人)」「ウィット(才人)」の人間模様、政治・経済・社会的機能を、著者は、ダニエル・デフォー、ジョナサン・スウィフト、日記作家のサミュエル・ピープスらの記述、当時の新聞記事、広告などから、克明に活写している。しかし、そうして再現された「コ-ヒ-・ハウス」なるもののかたちは、町人だけの社交場だった江戸の湯屋とはかなり様相が違うようだ。
この「人間のるつぼ」は、政治的には「トーリー(保守党)」と「ホイッグ(自由党)」の苗床だったし、経済的には世界最大の保険機構「ロイズ」を萌芽させる土壌だった。文化的には、「詩人ジョン・ドライデンを中心として17世紀末のイギリス文学、とくに詩と演劇の分野に大きな影響を与え」「ジャーナリズム、エッセー文学の成立に貢献した」。そればかりか、たとえば、ロンドン大火(1666年)の原因として「カトリックの陰謀事件」を捏造するようなデマゴギー機関としての役割も果たしている。言ってみれば、ロンドンのコーヒー・ハウスは、イギリス18世紀文化の内臓機関だった。この本を読むと、それがよくわかる。(伊藤延司)
この「人間のるつぼ」は、政治的には「トーリー(保守党)」と「ホイッグ(自由党)」の苗床だったし、経済的には世界最大の保険機構「ロイズ」を萌芽させる土壌だった。文化的には、「詩人ジョン・ドライデンを中心として17世紀末のイギリス文学、とくに詩と演劇の分野に大きな影響を与え」「ジャーナリズム、エッセー文学の成立に貢献した」。そればかりか、たとえば、ロンドン大火(1666年)の原因として「カトリックの陰謀事件」を捏造するようなデマゴギー機関としての役割も果たしている。言ってみれば、ロンドンのコーヒー・ハウスは、イギリス18世紀文化の内臓機関だった。この本を読むと、それがよくわかる。(伊藤延司)
著者について
1949年東京生まれ。上智大学大学院文学研究科修了ののち、同志社女子大学教授を経て、上智大学文学部教授。専攻はイギリス文学、文化。主な著書に、『イギリス名宰相物語』(講談社現代新書)、『物語イギリス人』(文春新書)、『ロンドン都市物語』(河出書房新社)、『ロンドン・シティ物語』(東洋経済新報社)ほかがあり、主な訳書に『ワイン物語』(NHK出版)、『とびきり哀しいスコットランド史』(ちくま文庫)などがある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2000/10/10)
- 発売日 : 2000/10/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 296ページ
- ISBN-10 : 4061594516
- ISBN-13 : 978-4061594517
- Amazon 売れ筋ランキング: - 166,480位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 31位イギリス・アイルランド史
- - 88位西洋史
- - 425位ヨーロッパ史一般の本
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2010年9月26日に日本でレビュー済み
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17−18世紀にロンドンに見られたコーヒーハウスの話を興味深く読んだ。
本書で紹介されるコーヒーハウスとは、文人が集まるクラブであり、ロイズのように保険の売買が成立される商売の場であり、政治が論じられる討論の場である。「情報」というものの価値が上昇し始めた歴史の中で、ある一時代に輝いた「場」であったという点が著者の主張だと読んだ。
現在において、コーヒーハウスに相当するものは、インターネットであろう。
文学談義、政治討論、商売が、無数の無名な人で為されている場を考えてみると、インターネット以外にはあり得ない。
そう考えると、僕らが今やっていることと、17−18世紀の英国人のやっていることの間には、実は大した差は無いとも感じてきてしまう。いや、著者が本書で描きだすコーヒーハウスにたむろする人々は、現在の僕らと似たようなものなのだ。そんな妙な親近感が読後に残った。
本書で紹介されるコーヒーハウスとは、文人が集まるクラブであり、ロイズのように保険の売買が成立される商売の場であり、政治が論じられる討論の場である。「情報」というものの価値が上昇し始めた歴史の中で、ある一時代に輝いた「場」であったという点が著者の主張だと読んだ。
現在において、コーヒーハウスに相当するものは、インターネットであろう。
文学談義、政治討論、商売が、無数の無名な人で為されている場を考えてみると、インターネット以外にはあり得ない。
そう考えると、僕らが今やっていることと、17−18世紀の英国人のやっていることの間には、実は大した差は無いとも感じてきてしまう。いや、著者が本書で描きだすコーヒーハウスにたむろする人々は、現在の僕らと似たようなものなのだ。そんな妙な親近感が読後に残った。
2013年3月11日に日本でレビュー済み
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内容的には、コーヒーハウスの名前や、あまり知られていない人物の名前が沢山出てくるので、当時の世相に興味がなければ面白く感じないかもしれません。しかし、コーヒーハウスで行われた多くのこと、新聞や雑誌といったジャーナリズムの発展、保険や郵便の場として、政治・経済の主体としての、等々当時のロンドンの文化発展に対する寄与は驚くべき広がりを持ったものあったようです。
『編集知の世紀』(日本評論社)では一言しか言及されていないロンドンの文化中心について知ることができたので、それを補うものとしても私は非常に楽しめました。
しかし、何と言っても素晴らしいのは、18世紀ロンドンの空気を感じさせてくれるということです。とにかく、当時の文化人、商人、さらにはコーヒーハウスのオーナーまで、有象無象の人間が蠢く様子が楽しいものです。原本の刊行は1984年と若干古くはありますが、内容は充実しており決して古さは感じないので、興味があれば読んでみてください。
『編集知の世紀』(日本評論社)では一言しか言及されていないロンドンの文化中心について知ることができたので、それを補うものとしても私は非常に楽しめました。
しかし、何と言っても素晴らしいのは、18世紀ロンドンの空気を感じさせてくれるということです。とにかく、当時の文化人、商人、さらにはコーヒーハウスのオーナーまで、有象無象の人間が蠢く様子が楽しいものです。原本の刊行は1984年と若干古くはありますが、内容は充実しており決して古さは感じないので、興味があれば読んでみてください。
2018年11月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者が書きたいことをそのまま詰め込んだ本のようだ。引用した資料が本当に正しいのか検討していないので正確性に欠ける。話が横にそれることが多すぎる。ピープスともう一人を最初に取り上げた理由がわからなかった。ぼんやりと読むには良いかもしれない。学術文庫なのだから編集者も頑張って欲しかった。
2013年4月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容はあるが、読みにくい本。もっと項目を区切って書けば、一般にも売れるのに。
2004年8月14日に日本でレビュー済み
読んでいるとコーヒーが飲みたくなってくる!
コーヒーの香り、煙草の煙、そして喧騒。
ロンドンのコーヒーハウスと市井の人々の日常の様子がうかがえる一冊。
いまやイギリスにおいてはコーヒーハウスよりもパブのほうが多いように思うが(というか、コーヒーハウスでも酒を出すようになった、という見方のほうが正しいのかもしれないが)、パブにおいても、そこでの議論の文化が今でも残っているように思われる。
とはいえ、ハバーマスの言う「公共圏」としてのコーヒーハウスは、やはりこの時代のことで、いまや存在しないのだな、などと思った。
そんな時代認識にも手軽に読める書であろう。
残念なのは、それぞれが奇抜な色でできた不器用なパッチワーク状の構成。
どういうことかというと、それぞれのエピソードはそれぞれに光っているのに、そのつなぎ方があまりにも不器用で、ぐいぐい読める、という感じではないということ。
構成さえ上手くいけば、もっと面白い本になったのではないだろか。
なんだかちょっと消化不良感が残った。
コーヒーの香り、煙草の煙、そして喧騒。
ロンドンのコーヒーハウスと市井の人々の日常の様子がうかがえる一冊。
いまやイギリスにおいてはコーヒーハウスよりもパブのほうが多いように思うが(というか、コーヒーハウスでも酒を出すようになった、という見方のほうが正しいのかもしれないが)、パブにおいても、そこでの議論の文化が今でも残っているように思われる。
とはいえ、ハバーマスの言う「公共圏」としてのコーヒーハウスは、やはりこの時代のことで、いまや存在しないのだな、などと思った。
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残念なのは、それぞれが奇抜な色でできた不器用なパッチワーク状の構成。
どういうことかというと、それぞれのエピソードはそれぞれに光っているのに、そのつなぎ方があまりにも不器用で、ぐいぐい読める、という感じではないということ。
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なんだかちょっと消化不良感が残った。