ミネルヴァのシリーズものなので編集社の力もあると思うが、各トピックが2－4ページできれいにまとめられており、非常に分かりやすい。数名の著者によって書かれているので、トピックごとに質や偏りの差異はあるものの、総じてバランスよく書かれていたように思える。
欲を言えば労働市場や経済への効果を検証した「投資としての教育」についてもう少し紙面を割いた解説が欲しかった。教育のもたらす影響は多岐にわたり、議論しなくてはならない事が山ほどあるのは理解できるが、国家としても個人としても、教育に関心が持たれるのはその「投資」としての役割が背景にあることが多い。脱工業化が進み、教育、特に公教育の役割が急激に変化する中、経済成長だけでなく、安定的な政治・社会環境を創出する担い手となる人材をどう育成していくかの議論がますます重要になっている。教育社会学においてもこの分野の研究を深めていくことが求められているものと思われる。
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出版社より
やわらかアカデミズム〈わかる〉シリーズとは
人文社会科学の幅広い分野の入門テキストシリーズ。
「よくわかる〇〇」というタイトルがつけられており、文字通り「よくわかる」テキストを目指して創刊されました。
本シリーズは大学の教科書としては大きめの“B５判”で、“見開きで１つのキーワードについて解説”が特徴です。
見開いた頁の両脇には、“語句解説”や“参考文献”などを掲載。
それぞれについてより詳しく知りたい人のための読書ガイドにもなり、独学にもおすすめです。
