著者は『奇想の系譜』によって、それまで傍流の存在だった芸術家たちを再評価し、美術史研究の主流にまで位置づけた、日本美術史の権威。また本書は、別々に発表した論文をまとめた『遊戯する神仏たち – 近世の宗教美術とアニミズム』(角川書店、2000年)を加筆、修正したもの。
全ページにカラー印刷に耐えうるだろう印刷紙を使っているにもかかわらず、カラーの口絵が4点しかなく、挿絵はすべてモノクロなのが残念でした。
近世というと、世俗化すなわち脱宗教化の文脈において語られることが多い。けれど著者は、むしろその時代に宗教家たちの「個性」が花開き、宗教が多様化したと主張します。そうした神道や仏教における美術のなかにも、縄文時代から伏流していたアニミズム的な感性が受け継がれているとも述べます。
日本美術における「アニミズム」という観点に惹かれて手にとってみたものの、本書全体をとおして見るとさほどアニミズムを押し出しているわけでもありません。どちらかというと意図されているのは、宗教美術にとどまらず近世美術における広義での「宗教性」を読み解くこと、という印象を受けました。くわえて、もともと別のところで発表した論文を集めたものなので仕方のないことだけれど、論文ごとにクセがあって、全体的なまとまりに欠けているように感じられた。
それでも自分のような日本美術の門外漢でも十分楽しめる内容でした。ふだん西洋美術史系の本しか読まない方でも、おもしろく読めると思います。
以下は目次。
第1部
日本美術に流れるアニミズム
第2部
変容する神仏たち − 近世宗教美術の世界
謎多い友行僧円空にひかれて
木喰と東北・上越
野に生きた僧 − 風外慧薫の生涯と作品
近世禅僧の絵画 − 白隠・仙厓
白隠 “阪神達磨蔵像” (永明寺本)
第3部
浮世絵春画と性器崇拝
北斎の信仰と絵
北斎晩年の “ふしぎな世界”
第4部
天龍道人源道の仏画
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あそぶ神仏: 江戸の宗教美術とアニミズム (ちくま学芸文庫 ツ 7-4) 文庫 – 2015/4/8
辻 惟雄
(著)
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白隠の禅画、空海の仏像から北斎の浮世絵まで。『奇想の系譜』など、日本美術史の傍流に光をあててきた大家が知られざる近世仏教…
- 本の長さ260ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2015/4/8
- 寸法10.6 x 1.1 x 14.8 cm
- ISBN-104480096612
- ISBN-13978-4480096616
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2015/4/8)
- 発売日 : 2015/4/8
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 260ページ
- ISBN-10 : 4480096612
- ISBN-13 : 978-4480096616
- 寸法 : 10.6 x 1.1 x 14.8 cm
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年4月14日に日本でレビュー済み
2015年8月17日に日本でレビュー済み
これまでに岩佐又兵衛や伊藤若冲等、所謂「奇想の絵師」達を幅広く紹介して来た辻惟雄氏が本書で挑むのは近世の宗教美術である。
依って、もしかしたら、この構想自体に疑問を抱く方もいるかもしれない。
何故なら、御自身が認めていらっしゃるように、辻氏は決して仏教美術を専門としている訳ではないからである。
然しながら、その一方で「だからこそ」…とでも言うのであろうか、本書は厳かなる仏教美術書とは一線を画し、実にユニークな一冊として仕上がっている。
「楽しい、可愛い、微笑ましい」宗教美術のオンパレード。
ページを開けば、そこには素朴で身近な仏達が待っているのだ。
本書は先ず、第一章「日本美術に流れるアニミズム」に於いて、縄文土器や埴輪に表された動物達に着眼したり、木霊やつくも神に言及したり…と、日本に於けるアニミズム、或いは神仏に対する意識全体を捉える所から始まる。
また、頁数は少ないものの、若冲や北斎にも触れているので、彼等ならではのアニミズムを考える良い機会を与えてくれたように思う。
そして、続く第二章は「楽しい仏達」が続々と登場し、円空、木喰、風外彗薫、白隠などの個性派が勢揃い。
特に、白隠に関してはその生涯から作品に至るまでを重点的に扱った評伝としても高く評価出来、愛好家の方達は必読であろう。
更に、第三章では浮世絵に垣間見られる信仰について説くと同時に、北斎の神秘思想とアニミズムを多角的に検証している。
北斎特有の虚構性等を論じながら、彼の信仰心に上手く結び付けていく流れは中々の読み応えがあるので、是非とも御一読頂きたいと思う。
尚、最終章で「近代の清僧」とも言えるアマチュア画家、天龍道人源道の仏画を紹介しているのも非常に新鮮であった。
因みに、個人的に興味深かったのは、円空を取り上げた箇所である。
何故なら、円空については辻氏自身が東北にいらした際に実物を目にした経験を踏まえて語っているので、単なる作品解説の枠を超えた臨場感を感じる事が出来たからである。
その独特の空気の中での円空仏を目の当たりにしたようでもあり、実に感慨深かった。
尚、残念ながらモノクロではあるものの図版掲載も豊富である。
また、一般的な仏教美術書では隅に追いやられがちな作品を全面的に扱っている所も画期的であった。
勿論、どうしても辻氏自身の専門に偏りがちな傾向もなくは無い。
然しながら、何よりも着眼点の面白さや歯切れの良い論評が際立っているので、物足りなさを感じる事は皆無であったように思う。
白隠、円空、木喰…何れも既に著名ではあるが、本書の登場に依って、一層多くの愛好者を獲得出来るのではなかろうか。
本書は、近世日本に於ける「神仏の表現」に迫った良書であると同時に、「素朴で小さくて身近な神仏達」の魅力を実感出来る一冊である。
依って、もしかしたら、この構想自体に疑問を抱く方もいるかもしれない。
何故なら、御自身が認めていらっしゃるように、辻氏は決して仏教美術を専門としている訳ではないからである。
然しながら、その一方で「だからこそ」…とでも言うのであろうか、本書は厳かなる仏教美術書とは一線を画し、実にユニークな一冊として仕上がっている。
「楽しい、可愛い、微笑ましい」宗教美術のオンパレード。
ページを開けば、そこには素朴で身近な仏達が待っているのだ。
本書は先ず、第一章「日本美術に流れるアニミズム」に於いて、縄文土器や埴輪に表された動物達に着眼したり、木霊やつくも神に言及したり…と、日本に於けるアニミズム、或いは神仏に対する意識全体を捉える所から始まる。
また、頁数は少ないものの、若冲や北斎にも触れているので、彼等ならではのアニミズムを考える良い機会を与えてくれたように思う。
そして、続く第二章は「楽しい仏達」が続々と登場し、円空、木喰、風外彗薫、白隠などの個性派が勢揃い。
特に、白隠に関してはその生涯から作品に至るまでを重点的に扱った評伝としても高く評価出来、愛好家の方達は必読であろう。
更に、第三章では浮世絵に垣間見られる信仰について説くと同時に、北斎の神秘思想とアニミズムを多角的に検証している。
北斎特有の虚構性等を論じながら、彼の信仰心に上手く結び付けていく流れは中々の読み応えがあるので、是非とも御一読頂きたいと思う。
尚、最終章で「近代の清僧」とも言えるアマチュア画家、天龍道人源道の仏画を紹介しているのも非常に新鮮であった。
因みに、個人的に興味深かったのは、円空を取り上げた箇所である。
何故なら、円空については辻氏自身が東北にいらした際に実物を目にした経験を踏まえて語っているので、単なる作品解説の枠を超えた臨場感を感じる事が出来たからである。
その独特の空気の中での円空仏を目の当たりにしたようでもあり、実に感慨深かった。
尚、残念ながらモノクロではあるものの図版掲載も豊富である。
また、一般的な仏教美術書では隅に追いやられがちな作品を全面的に扱っている所も画期的であった。
勿論、どうしても辻氏自身の専門に偏りがちな傾向もなくは無い。
然しながら、何よりも着眼点の面白さや歯切れの良い論評が際立っているので、物足りなさを感じる事は皆無であったように思う。
白隠、円空、木喰…何れも既に著名ではあるが、本書の登場に依って、一層多くの愛好者を獲得出来るのではなかろうか。
本書は、近世日本に於ける「神仏の表現」に迫った良書であると同時に、「素朴で小さくて身近な神仏達」の魅力を実感出来る一冊である。