非常に、評価のわかれる書物であるかもしれないが、邪念を排除している筆者の姿勢に感銘を受ける。
中に、
『「スマイス報告」には、中立を装いながらさりげない筆致での日本批判がみてとれる。国民党国際宣伝処の依頼により作成されたからには当然といえようか』
など、冷静に検証した記述が多い。

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その実像をもとめて 「南京事件」の探究 (文春新書 207) 新書 – 2001/11/20
北村 稔
(著)
まず結論ありの“神学論争”をやめ、大虐殺があったという「認識」がどのように出現したのかを、歴史学の基本に戻って分析検証する
- ISBN-104166602071
- ISBN-13978-4166602070
- 出版社文藝春秋
- 発売日2001/11/20
- 言語日本語
- 本の長さ197ページ
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商品の説明
商品説明
南京事件については、今でもなお大虐殺説から、いわゆる「まぼろし」説まで、さまざまな論争が繰り広げられている。その一つの原因は、事件を確定した南京と東京の戦犯裁判が戦勝国主導のきわめて偏ったものであったことにもよるが、それぞれの主張に感情的なものが多かったことも関係しているだろう。
本書は、南京による大虐殺が「あった」のか「なかった」のかを性急に議論するのではなく、「南京で大虐殺があった」という認識がどのような経緯で出現したかを順序だてて確認したものである。南京事件が初めて世界に発信されたのはイギリスの日刊紙「マンチェスター・ガーディアン」の特派員・ティンバーリーによる書物だが、それは実際には中国国民党中央宣伝部の意を体して発行されたものであり、巧妙な戦時外交戦略であった。著者は、徹底した史料探索によってその事実を確認し、さらに南京事件の真実に迫っている。
当時、南京において日本軍による相当数の捕虜、あるいは民間人の殺害行為が行われたことは覆い隠せないことであるが、「30万人大虐殺」はすでに戦争中から準備されていた戦犯裁判のシナリオに沿って、日本の戦争犯罪を告発するためのハイライトとして作り上げられたといわざるを得ない、と著者は結論づけている。もちろん、だからといって日本軍の行為が許されるべきものではないが、ひたすら謝罪を続けるのみが「戦争責任」の取り方であるかのような戦後の日本外交のあり方を見るとき、歴史に対する正確な事実認識を持ち、それによるきちんとした申し開きをすることは国際社会で生きていく上での必要最小条件であるとの思いを強くせざるを得ない。(杉本治人)
本書は、南京による大虐殺が「あった」のか「なかった」のかを性急に議論するのではなく、「南京で大虐殺があった」という認識がどのような経緯で出現したかを順序だてて確認したものである。南京事件が初めて世界に発信されたのはイギリスの日刊紙「マンチェスター・ガーディアン」の特派員・ティンバーリーによる書物だが、それは実際には中国国民党中央宣伝部の意を体して発行されたものであり、巧妙な戦時外交戦略であった。著者は、徹底した史料探索によってその事実を確認し、さらに南京事件の真実に迫っている。
当時、南京において日本軍による相当数の捕虜、あるいは民間人の殺害行為が行われたことは覆い隠せないことであるが、「30万人大虐殺」はすでに戦争中から準備されていた戦犯裁判のシナリオに沿って、日本の戦争犯罪を告発するためのハイライトとして作り上げられたといわざるを得ない、と著者は結論づけている。もちろん、だからといって日本軍の行為が許されるべきものではないが、ひたすら謝罪を続けるのみが「戦争責任」の取り方であるかのような戦後の日本外交のあり方を見るとき、歴史に対する正確な事実認識を持ち、それによるきちんとした申し開きをすることは国際社会で生きていく上での必要最小条件であるとの思いを強くせざるを得ない。(杉本治人)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年4月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2016年11月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これまで、南京事件を扱った書物を肯定論、否定論を含め、10冊程度読んできましたが、本作品は、これまで読んだことのないアプローチで南京事件を解明しようという内容でした。
著者曰く、「歴史研究の基本に立ち戻る研究」として、「『南京での大虐殺』が<在った>か<無かった>かを性急に議論せず、『南京で大虐殺があった』という認識がどのような経緯で出現したかを順序だてて確認する」のだという。
本書は、四部構成であるが、この検討結果が、【第四部「三十万人大虐殺説」の成立】へと繋がっていくのです。
一見すると、南京事件研究の画期的なアプローチに思えますが、「南京で大虐殺があったという認識」が「出現」したと表現しているということは、大虐殺ということが跡付けで主張された、つまり虐殺は歴史的事実でなかったことを前提としているようにも読めます。
思ったとおり、最終的には、三十万人大虐殺説を否定しているのですが、そこに至るまでの検証は、労作には違いないけれど、その実効性には疑問が残ります。
なぜなら、現代の日本では、虐殺を肯定する人たちでさえ、誰も、三十万人が虐殺されたとは思っていないからです。
また、東京や南京での戦犯裁判の判決に疑問を呈していますが、あの判決で書かれたことが史実だと思っている日本人なんていないでしょう。
先勝国が敗戦国を裁くのだから、証拠資料の信憑性だって綿密に裏付けが取られているとも思えないし、計画的に中国人の殺害を目論んだ、ホロコーストのような虐殺ではないことは、専門家ではない、私のような素人でも知っています。
結局、始めから述べているとおり、虐殺を肯定するのか、否定するのかは、明確に示されず、単に「三十万人という虐殺はなかった」と結論づけているだけで、新しいアプローチを試みたわりには、誰もが思っていることを追認しただけに終わってしまったのは、何とも残念でなりません。
ちなみに、私の考える南京事件の内容は、次のとおりです。
・虐殺と呼ばれる歴史的事実は存在した。
・ただ、虐殺数については、正確なところは不明。
・それでも、三十万人という説には納得できない。
以上は、政府見解に近いものとなっています。
政府見解の正確な表現については、外務省のHPで簡単に検索できますので、ご確認ください。
著者曰く、「歴史研究の基本に立ち戻る研究」として、「『南京での大虐殺』が<在った>か<無かった>かを性急に議論せず、『南京で大虐殺があった』という認識がどのような経緯で出現したかを順序だてて確認する」のだという。
本書は、四部構成であるが、この検討結果が、【第四部「三十万人大虐殺説」の成立】へと繋がっていくのです。
一見すると、南京事件研究の画期的なアプローチに思えますが、「南京で大虐殺があったという認識」が「出現」したと表現しているということは、大虐殺ということが跡付けで主張された、つまり虐殺は歴史的事実でなかったことを前提としているようにも読めます。
思ったとおり、最終的には、三十万人大虐殺説を否定しているのですが、そこに至るまでの検証は、労作には違いないけれど、その実効性には疑問が残ります。
なぜなら、現代の日本では、虐殺を肯定する人たちでさえ、誰も、三十万人が虐殺されたとは思っていないからです。
また、東京や南京での戦犯裁判の判決に疑問を呈していますが、あの判決で書かれたことが史実だと思っている日本人なんていないでしょう。
先勝国が敗戦国を裁くのだから、証拠資料の信憑性だって綿密に裏付けが取られているとも思えないし、計画的に中国人の殺害を目論んだ、ホロコーストのような虐殺ではないことは、専門家ではない、私のような素人でも知っています。
結局、始めから述べているとおり、虐殺を肯定するのか、否定するのかは、明確に示されず、単に「三十万人という虐殺はなかった」と結論づけているだけで、新しいアプローチを試みたわりには、誰もが思っていることを追認しただけに終わってしまったのは、何とも残念でなりません。
ちなみに、私の考える南京事件の内容は、次のとおりです。
・虐殺と呼ばれる歴史的事実は存在した。
・ただ、虐殺数については、正確なところは不明。
・それでも、三十万人という説には納得できない。
以上は、政府見解に近いものとなっています。
政府見解の正確な表現については、外務省のHPで簡単に検索できますので、ご確認ください。
2015年1月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
歴史学者として、克明に資料を調査している。
私たちは日中戦争、太平洋戦争について多くの知識がない。
それは、日本史を熱心に学ばなかったこと、
あるいは戦後の日本について「戦争の現実」を中立に教えてもらわなかったこと、
が考えられる。
この本から学んだことは、
① 中国人の誇張気質
②情報操作が世論を形成する。
③戦時の殺人を平和時に裁く難しさ
④日本人の気質(おとなしい)
今後の、日・米・中の関係について、大きな示唆を与えてくれました。
私たちは日中戦争、太平洋戦争について多くの知識がない。
それは、日本史を熱心に学ばなかったこと、
あるいは戦後の日本について「戦争の現実」を中立に教えてもらわなかったこと、
が考えられる。
この本から学んだことは、
① 中国人の誇張気質
②情報操作が世論を形成する。
③戦時の殺人を平和時に裁く難しさ
④日本人の気質(おとなしい)
今後の、日・米・中の関係について、大きな示唆を与えてくれました。
2016年6月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本は表題に掲げる通り、探求心に満ちていると思います。
もう70余年前の事件であるから、真相解明には主に当時の文献に頼らざるを得ないのだろう。
しかも当時から情報戦の手段として報道記事が使われていたのだから、真実と嘘の見極めは慎重を要する。
この本は矛盾に満ちた彼我の原資料集を幅広く公正に突き合わせ学問的手続きにおいても誠実に「南京事件」の真実を探求していると納得いたしました。
中国も真実そっちのけで日本非難の政治的プロパガンダにまい進するだけでは日本が納得しないことを理解してほしい。
もう70余年前の事件であるから、真相解明には主に当時の文献に頼らざるを得ないのだろう。
しかも当時から情報戦の手段として報道記事が使われていたのだから、真実と嘘の見極めは慎重を要する。
この本は矛盾に満ちた彼我の原資料集を幅広く公正に突き合わせ学問的手続きにおいても誠実に「南京事件」の真実を探求していると納得いたしました。
中国も真実そっちのけで日本非難の政治的プロパガンダにまい進するだけでは日本が納得しないことを理解してほしい。
2005年8月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
南京事件に対する資料のうさんくささを論じる本を近頃よく見かけるが、この本もその内の一冊。
資料そのものを誰が書いたか、それはどこの誰かを調べ中共の宣伝戦略を明らかにしてくれる。
しかし、後半で筆者が述べているとおり日本軍の南京攻略戦に対する軍中央部の
事前準備・戦略方針の皆無さにはあきれかえる。
とりあえず攻略してみて問題が起きたら現地判断まかせでは、宣伝上手な中共に
つけこまれても仕方ないし、余裕のない個々のレベルでは非人道的な行動も起きたと思う。
嘘は嘘と世界に主張し続けることは重要だが、そういう嘘八百を作り出せる状況を
呼び寄せた日本のわきの甘さは猛省すべきであろう。
資料そのものを誰が書いたか、それはどこの誰かを調べ中共の宣伝戦略を明らかにしてくれる。
しかし、後半で筆者が述べているとおり日本軍の南京攻略戦に対する軍中央部の
事前準備・戦略方針の皆無さにはあきれかえる。
とりあえず攻略してみて問題が起きたら現地判断まかせでは、宣伝上手な中共に
つけこまれても仕方ないし、余裕のない個々のレベルでは非人道的な行動も起きたと思う。
嘘は嘘と世界に主張し続けることは重要だが、そういう嘘八百を作り出せる状況を
呼び寄せた日本のわきの甘さは猛省すべきであろう。
2015年9月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
真実を知りたい気持ちにひとつ物足りない感があった。いろんな本を読んでいてある程度の知識をつけてから読むと共感を覚えるのかもしれない。
2017年2月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
感情的な視点や事実の分析から南京事件を論説するのではなく、所謂南京大虐殺事件論がどういう経過で形成されて来たのかを論証しています。反日或いは反中の視座を離れて調査資料に立脚した著書です。
2015年12月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
データーの出所が明らかで、公になっているものばかりで記述されているので、これが事件の本当の姿だと納得できます。
このような内容がなぜもっと広く日本人に知られれば良いのに、いやそうなるように努力すべきだ。しかし自分に何ができるのか。
このような内容がなぜもっと広く日本人に知られれば良いのに、いやそうなるように努力すべきだ。しかし自分に何ができるのか。