【7月16日 AFP】1912年ストックホルム五輪の陸上十種競技と五種競技で金メダルを獲得するも、その後メダルを剥奪された米国の故ジム・ソープ(Jim Thorpe)氏について、国際オリンピック委員会(IOC)は15日、単独の優勝者とすると発表した。メダル剥奪から100年以上も経過しての出来事となる。

 ソープ氏は五輪の翌年の1913年、野球のプロ選手としてプレーしていた経歴があると報じられ、メダルを剥奪された。代わりに十種競技はフーゴ・ビスランデル(Hugo K. Wieslander、スウェーデン)氏、五種競技はフェルディナンド・ビー(Ferdinand Bie、ノルウェー)氏が金メダリストとなった。

 しかしその後、IOCは失格にする場合は30日以内に行わなければならないという規則を認め、ソープ氏のアマチュア資格を回復。同氏が亡くなってから30年後の1983年、家族に金メダルのレプリカを贈呈していた。

 一方、ロビー団体はソープ氏の完全な名誉回復を模索。ビスランデル氏の家族も、「(ビスランデル氏本人が)自身に与えられた五輪の金メダルに納得したことは一度もなく、ソープ氏こそが正当で唯一の五輪金メダリストであると常に考えていた」と主張していた。

 IOCは「今後はソープ氏の名前が、十種競技と五種競技の唯一の金メダリストとして示される」とし、ビスランデル氏とビー氏は銀メダルとなるが、他のメダリストの扱いに変更はないとした。

 ソープ氏はアメフト選手として41歳まで米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)でプレーし、同リーグの前身であるアメリカン・プロフェッショナル・フットボール・アソシエーション(APFA)の初代会長も経験。米国プロフットボール殿堂(Pro Football Hall of Fame)入りも果たした。また、野球の大リーグ(MLB)でもプレーした。(c)AFP