【12月24日 AFP】イラク当局は24日、サダム・フセイン(Saddam Hussein)独裁政権によるクウェート侵攻から30年余りを経て、同国への戦争賠償金を支払い終えたと明らかにした。

 イラク軍は1990年8月2日、フセイン元大統領の命を受けてクウェートを「(イラクの)19番目の州」とするため侵攻。しかし7か月後、米軍主導の多国籍軍の攻撃を受け敗走した。

 国営イラク通信(INA)によると、首相の経済顧問を務めるモザー・サレハ(Mozher Saleh)氏は「イラクはクウェートへの戦争賠償金を払い終えた」と述べた。

 サレハ氏と中央銀行によると、賠償金の総額は524億ドル(約6兆円)で、最後の支払い分は4400万ドル(約50億円)だった。

 サレハ氏は「小さな額ではない」とするとともに、「これだけの資金があれば、長年にわたってイラクのために役立つ電力網を整備することができただろう」と語った。

 イラクは石油・天然ガス資源が豊富であるにもかかわらず、長年の保守管理不足と紛争で電力網が劣化し、たびたび停電が起きている。

 サレハ氏は、賠償金の支払いに充てられていた予算の一部が開発事業に振り向けられることを期待すると述べた。

 賠償金の原資には、石油と石油製品の販売に課される5%の税金が充当された。賠償金は国連(UN)機関を通じて、イラクによる侵攻で損害を被った当事者に分配される。(c)AFP