【5月28日 CNS】世界銀行(World Bank)の公式ウェブサイトで先日、「世界経済の購買力平価および規模 2017年国際比較プログラム」が発表された。国際比較プログラム(ICP)の計算法による購買力平価(PPP)で比較した17年世界各国のGDPは、中国が19兆6000億ドル(約2110兆円)で、米国より980億ドル(10兆5500億円)多く、世界一になった。

 しかし、為替レートを使う一般的計算法のGDPでは、今年の1~3月期、中国が2兆9600億ドル(約318兆6000億円)、米国が5兆2600億ドル(約566兆2400億円)で、やはり米国が世界一だ。

 統計学者によると、GDPの数値が異なるのは、長年使われてきた為替レート法と世界銀行のPPP法の統計方法の違いによるという。清華大学(Tsinghua University)中国経済社会数値研究センターの許憲春(Xu Xianchun)主任は、「PPP法では、中国の経済規模や1人当たりの経済水準の値が高く出る」と指摘している。

 PPP法で計算した発展途上国のGDPの世界序列は、為替レートによる通常の序列よりも順位が上り、先進国の大部分は順位が下がる。例えば中国は2位から1位へ、インドは7位から3位に上がる。

 また17年ラウンドの世界経済の総数値も、為替レート法よりも高い数値になっている。許憲春主任は「その中でも発展途上国の数値が顕著に高くなるが、これには不合理な要素もある」という。

 中国統計学会の責任者は「国際的に長く使われてきた為替レート法は、簡明で分かりやすい。しかし、為替レートでは主に国際貿易の貨物やサービスの貨幣換算価値が反映され、国家間の価格レベルの格差は考慮されていない。また為替レートは国際貿易と金融市場の変動の影響を受け、レートが大きく変化した時に、GDPの国家間の比較に影響を及ぼす」と指摘する。

 為替レート法の変動影響克服のため、国際連合(UN)の統計部と米国のペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)の連携で68年から展開しているのがICPのPPP計算法で、すでに9ラウンドの世界規模の比較調査が行われている。

 学会責任者は「PPP法は経済構造が似た経済体同士の比較に適しているが、構造が大きく異なる経済体の比較にはあまり適さない。また貨物の価値に対するPPP数値の信頼性は高いが、サービスの価値では多少劣る。PPP法が為替レート法にとって代わるものではない」という。

 中国は、PPP法のGDP規模では世界一になったが、やはり「世界最大の発展途上国」である。

 許憲春主任は「PPP法の値の中で、1人当たりGDPの方が生活水準の高低をよく表している。17年は1万4150ドル(約152万3250円)で、米国の1人当たりGDPの23.6%にすぎない」と話す。

 学会責任者は「PPP法で17年の中国の1人当たりGDPは、世界の平均水準の85.3%で、世界序列では90位。これは為替レート法の序列79位から11位後退した数値だ」という。

 1人当たりの消費支出が世界の平均水準と比べまだ低いという点で、中国は依然として発展途上国だといえる。(c)CNS/JCM/AFPBB News