riku hagiwara
シャツ ¥39,600 エイトン(エイトン青山 tel. 03-6427-6335)  その他スタイリスト私物
photo : Shintaro Oki

子役時代からキャリアを積み重ね、演技派俳優として数多くの話題作に出演している萩原利久。今年だけでもドラマ『月読くんの禁断お夜食』、『真夏のシンデレラ』、映画『美しい彼』シリーズ2作、『おとななじみ』、『キングダム 運命の炎』と出演作が目じろ押し。本人はというと、そのクールな外観に反して、常に飾らず自然体。時折見せる少年ぽい表情と、演技を語るときの真剣な眼差しのギャップこそが、彼の最大の魅力かも知れない。

そんな彼の最新作『ミステリと言う勿れ』(2023年9月15日公開)は、月9ドラマでブームを巻き起こした同作が映画化。今度の舞台は広島。原作ファンの中でも支持者が多い、通称“広島編”が展開されると聞くと、期待値はもう高まるばかり。

萩原は、荒っぽい性格の会社員・波々壁新音(ははかべ・ねお)役に扮している。

This content is imported from YouTube. You may be able to find the same content in another format, or you may be able to find more information, at their web site.

「波々壁新音って、素直な性格だと思います。起こった出来事を真っ直ぐストレートにとらえる。思ったことをすぐに口に出してしまうし、感情に波がある。裏表のないキャラクターなんですよね。狩集家の一族は落ち着いた人が多い中で、テンションも高め。ただ、原作の通りに演じればいいのかというと、すこし違うなと思って。会話って、文字で読むスピードと現実は必ずしも一緒ではないですよね。会話の流れだったり、感情の起伏を原作のままストレートにやり過ぎると、若干雰囲気が変わる。だから原作そのままではなく、僕なりに落とし込んで演じました。もちろん、新音がアクションを起こすことで場の空気をガラッと変えるシーンでは意図して粗っぽくもしましたが、感情や声の抑揚がデカ過ぎるのは違うなと考えていました。原作でサラッと言っていた台詞をあえて強めに言ってみたり、その逆もあったり。そこは現場のリアルなやりとりに合わせて調整していった感じですね」

 
(C)田村由美/小学館 (C)2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社

繊細な性格をどう表現するか

物語は、久能整(菅田将暉)が広島の美術館から出てくるところから始まる。偶然を装って近づいてきた女子高生・狩集汐路(原菜乃華)に連れられ、祖父の遺言書公開の場に同席することになる整。これをきっかけに、名家・狩集家をめぐる謎だらけの遺産相続事件に巻き込まれていく。

遺産相続者のひとり、波々壁新音(萩原利久)はヤンチャな見た目で根は真面目な会社員。気性が荒く、広島弁でまくしたてるシーンがたびたび登場する。 そんな乱暴な言葉遣いの裏側には、不幸な事故で母を亡くしたさびしさや、苛立ちが込められ、それでも隠せない優しさが垣間見える。それらを細やかに表現した演技が印象に残る。一方で、慣れない広島弁を使うことに苦労したとも語る。

「今作でガッツリ広島弁をしゃべっているのは、新音役の僕だけです。理紀之助さん(町田啓太)が話すのは、きれいめな広島弁ですよね。僕の広島弁は、まさに方言指導の方との二人三脚でした。そして、演じる上で意識したのは新音の性格が単純ではないということ。意外と真面目だし、とても繊細な性格なんです。でも、ただ演じているだけだと、浅はかな人物に見えてしまう。それでは新音ではない。その部分の演技に心を砕きました。言いなじみのない言葉でもあったので、難しかったところです」

 
(C)田村由美/小学館 (C)2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社

クランクインは2022年12月。狩集家のロケは、岡山県倉敷市にある国重要文化財・旧野﨑家住宅で行われた。撮影現場では、その日のシーンについて監督・キャスト全員で何時間もディスカッションするのが日常だったという。

「ミステリーですから、すべてのシーンに意図が存在します。1アクション、ひと言、小道具にいたるまで理由があり、伏線を張り巡らせています。現場では菅田さんと松山監督を中心に、細かく打ち合わせしながらディテールを詰めていきました。あんなに手間をかけて、丁寧に話し合いながら作品を撮ることって贅沢だなって、今も思い返しますね」

主演の菅田将暉とは、ドラマ『運命の人』(2012年)で初共演。その当時、萩原利久は中学1年生。兄役の菅田将暉の演技に感銘を受け、役者として生きていくきっかけとなった。

「菅田さんとは『3年A組-今からみなさんは、人質です-』(2019)以来の共演でした。あのときは菅田さんが教師で僕は生徒。今回は菅田さんが大学生で僕が年上の役ですもんね(笑)。こんな日が来るなんて、不思議な感覚でした。菅田さんには、今回もチーム全体を引っぱっていただいて。これぞ座長のあるべき姿だなあと。ひとつのものを作る上での、高め方や向き合い方。人としての現場の立ち方。共演する度に思うんです、菅田さんは日々進化されているって。一緒にいるだけで、ほんとに得るものが多いです」

映画の中ではシリアスなストーリー展開が続くが、共演者同士はむしろ和気藹々。撮影の待ち時間には輪になっておしゃべりをしたり、ゲームに興じることもあったとか。

「とにかくみんな仲が良かったですね。特にいとこ役の町田啓太さんとは空き時間に話すことも多くて。狩集家のみんなとは、本物のいとこ同士みたいに打ち解けていましたね。たいした話はしていないんですよ、ビックリするくらい。僕は大好きなダチョウの話ばっかりしてたし、柴咲コウさんも動物好きなので、猫の話でも盛り上がりました」

riku hagiwara
photo : Shintaro Oki

観終えると、もう一度観たくなるはず

「先日初号試写を観てきたんですが、自分が内容を知っているとは思えないくらい、初見感のある試写でドキドキしました。僕がいるシーンも、共演者が“こんな顔をしていたんだ”という発見もあって。映画ならではのスケール感と、細かなディテールの積み重ねの両面が楽しめる映画になったと思います。原作を知らない方にとっては、謎解きの過程がすごく面白いと思いますし、原作ですでにストーリーを知っている方には、映像化で生まれた違う側面を楽しんでもらえたらな、と。物語の終盤、すべての謎が解き明かされてから、あのシーンのあの人の表情どうなってたっけ? とか気になりますよね(笑)。僕も、すぐにもう一度観たくなりました。だから劇場では、思いっきり集中して観てもらいたいです」

 
(C)田村由美/小学館 (C)2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社

Photo SHINTARO OKI Styling SHINYA TOKITA Hair & Makeup YUSUKE KASUYA Interview & Text TOMOKO KAWAI Editor: MIKI KOBAYASHI


PROFILE
萩原利久

俳優。1999年2月28日生まれ。埼玉県出身。血液型A型。2008年デビュー。主な出演作にドラマ『美しい彼』(2021)、映画『牛首村』(2022)、ドラマ『月読くんの禁断お夜食』(2023)、ドラマ『真夏のシンデレラ』(2023)、映画『キングダム 運命の炎』(2023)など。好きな食べものは、卵料理とメロンパン。

INSTAGRAM: @RIKUHAGIWARA_OFFICIAL


『ミステリと言う勿れ』

天然パーマがトレードマークで友達も彼女もいない、カレーをこよなく愛する大学生の主人公・久能整の、時に優しく、時に鋭い魔法のようなお喋りだけで、いつの間にか登場人物たちが抱える様々な悩みも、事件の謎までも解かれてしまうという新感覚ミステリー。本映画では広島を訪れた整が、代々、遺産を巡る争いで死者さえ出るといういわく付きの名家・狩集家の遺産相続事件に巻き込まれていく。

監督はドラマシリーズから松山博昭、脚本は相沢友子がそれぞれ続投。主人公の久能整役は菅田将暉が引き続き演じる。広島編のストーリーを支える狩集(かりあつまり)家の遺産相続の候補者4人には柴咲コウ、町田啓太、原菜乃華、萩原利久。そして狩集家の顧問弁護士の孫を松下洸平が演じる。このほか、鈴木保奈美、滝藤賢一、松坂慶子、松嶋菜々子ら超豪華キャストが揃う。

原作:田村由美 監督/松山博昭 脚本/相沢友子

出演/菅田将暉、松下洸平、町田啓太、原菜乃華、萩原利久、鈴木保奈美、滝藤賢一、でんでん、野間口徹、松坂慶子、松嶋菜々子、伊藤沙莉、尾上松也、筒井道隆、永山瑛太、角野卓造、段田安則、柴咲コウ
2023年9月15日(金) 公開

This content is imported from YouTube. You may be able to find the same content in another format, or you may be able to find more information, at their web site.

作品公式サイトを見る