3歳の女の子、プロポーズ予定のカップル…出航直前の表情を見た 知床の観光船「KAZUⅠ」元従業員が証言
北海道放送(株)
観光船「KAZUⅠ」は事故から7日目のきょう消息を絶った「カシュニの滝」の沖の海底でようやく発見されました。 事故当日、港で船を見送った運航会社の元従業員があの日の様子を語りました。 元従業員 「何もこれから予期できないことが起こるとは思っていない、普通に笑っていたりしてた感じ」 観光船「KAZUⅠ」の出航直前の様子を語るのは運航会社「知床遊覧船」の元従業員です。今はもう会社には所属していませんが23日に唯一、運航を始めた「KAZUⅠ」の客の案内を手伝っていました。船上でプロポーズを計画する若いカップルをはじめ乗客の表情を今も鮮明に覚えています。 元従業員 「そのカップルも知っている、若いカップル。(親に)抱かれて入ってきたからタラップで、小さい子もいるんだって、その時見たんだ3歳の子はね」 3歳の子どもとは、両親と観光船に乗った加藤七菜子ちゃんとみられます。 「KAZUⅠ」が異変を伝える最初の無線は、23日午後1時すぎ、事務所で休憩中に飛び込んできました。 元従業員(28日) 「(別の観光船会社に)無線入って『浸水している』と連絡が来たと…。(船が)30度ほど傾いていて、お客さん全部2階に上げていると。それから無線はない」 そして「KAZUⅠ」との交信は途絶えました。 元従業員 「どうする?という話になり(社員が)海上保安庁に電話した。沈没しかかっているぞ、救助に行こう!と(社員と海に)2人で行ったけど海を見たら、こんなの行けないと思った」 この時、海は3メートルの高波。9メートルの風も吹いていて助ける術はありませんでした。元従業員は、出航する前の日から豊田徳幸船長に対し、出航を取りやめるよう話したと言います。 従業員 「豊田さんに声かけている。『これからシケるからな』と、船長判断なんだけど未熟だったのね。同業者も『23日はダメだぞっ』と言っていた。本人もたくさん色々やることあって、頭に入ってなかったかもしれない」 また、この元従業員は事故が起きた23日以前から、壊れた無線のアンテナを修理するよう何度も進言しました。 元従業員 「何かあるな?とパッと見たら(アンテナが)下に落ちていた。何回も言った『アンテナ折れてるぞ』って。 『無線つながらないからな』と豊田船長に2~3日前に言ったとき『(会社に)携帯でもいいって言われたんだよな』と言っていた」 元従業員は連日、地元の船に乗り込み、捜索に加わっています。 元従業員 「お客さん連れていっているから、だからお客さんの顔も知ってる。ライフジャケットを着せたのも私だから」
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